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アールグレイの日常  作者: さくら
アールグレイ士官学校入校する
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蝉の鳴く頃⑤

 瞬時悩んだのが敗因であると察した。

 しかしながらNewtype並みの察しの良い優秀な同僚を持つのも考えものだと思う。


 人見知りな僕がスカウトとは、絶対不適任だと思うけど、ここは仕事であると割り切って、進めてみようと思う。

 適否も合否もともかくお願いするは無料です。

 会って見なければ話しにもなりはしない…誰か本人知っている人居ないかしら?

 成功確率を上げるためにも誰か紹介して欲しい。



 そんな僕の悩みなど関係なしに時は過ぎ去って行く。分刻みのスケジュールをこなすだけで庶民の僕には精一杯。

 ああ、エトワールなみの頭脳が欲しいや。

 授業は、もし予習してこなかったら、箸にも棒にも引っ掛からず、呆然とチンプンカンプンだろう内容。

 危ない、危ない。

 意外だが武術系の実践形式の授業は、ほぼない。

 エトワールに聞いたら、本来の士官学校では毎日組み込まれているが、夏季講習の短い期間では、とてもカリキュラムに組み込むのは無理と諦めたらしい。

 よって授業では、各種武術の紹介とさわりだけで課外で武術教官に習うのは自由だそうだ。

 魔法についても、理論だけで実践はしない。但し課外で魔法担当教官に習うのは自由だそうだ。

 …またかい?!


 では、授業でいったい何を習うかと言うと、座学では戦略・戦術論、数学を駆使した砲術、大規模魔術、補給計算、暗号通信、実践では指揮、号令などの教練を毎日繰り返し行う。

 つまり個人思考より、軍隊を指揮運営するために意識を切り替えられていくのだ。

 なるほど…個を尊重し自由を尊ぶ冒険者とは真逆の思考形態。

 実は叩き上げのレッドが少ない理由は、これに理由があるのかもしれない。

 准尉とほぼ同格とされるブルーの星4つの名誉曹長たる大曹長に留まるブルーは年配者に目につく。

 因みに彼らは、レッドと同様の敬意を払われる。


 周りの若いレッド達は、年配者が二の足を踏む団体運営、集団戦の指揮を前提にした授業に、割と頓着せず平気で、ラピスでさえ苦い顔しながらサクサク吸収していくのだ。

 頭が先入観にとらわれることなく、柔軟に吸収しているみたい。

 若いって、素晴らしいと思った。


 しかし、僕には性が合わないみたい。

 理解はするが、聞いてるだけでムズムズしてくる。

 卒業したら、きっと忘れることだろう。

 個で動く僕には使う機会は、そうそうないと思うのだ。

 そんなことを思いながら、授業の合間に窓枠から外の景色を見る。

 蒼い空に、白い雲が流れている。

 …

 一見して静かだけど上空は風が音をたてて流れていることだろうと想像した。





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