蝉の鳴く頃②
今日は一日中超忙しかった。
カリキュラム詰め込み過ぎて、消灯直前に急いで歯磨きする始末。
部屋長のメリーさんのお休みの声に、それぞれが返事をして布団に入ると、消灯時間が来て明かりが消えた。
暗闇の中で微睡みながら、今日一日を復習する意味で考える。
因みにペンペン様達は、言われなくても自主的に
既に寝ている。
この子達、魔法生物は、自主自立自尊を地でいく生き物です。だからか大抵は早寝遅起きで睡眠時間が長い。作業途中でも身体優先なのかパタリと電池が切れた様に寝る。はたして生物固有の習性なのか、固別の習慣なのか分からないけど…ペンペン様は常に自由だ。その根性がブレることはない(断言)。
素晴らしい。
流石、ペンペン様だ。
尊敬できる生き様です。
これぞ、真に自由な生き方だと思う。
ペンペン様達のことはともかく、今日僕は忙しくて気が立ってる時に、気が逆立つようなことを平然と言われたとはいえ、エトワールの食べていたチョコパフェを勝手に食べてしまった。
※(そのパフェのチョコは痺れるほどにエッジの効いた甘さで、前世でも食べたことがないほどの美味さが脳天を突き抜け、幸せ感が半端なかった!もしかしたら男女では、味覚に差異があるのかもしれない。特に甘味には!)
しかし、今、落ち着いて思い返せば、僕のやってることはチョコパフェ強奪である。
…ひどいことしてしまった。
エトワールだって、僕の雑用の何倍も処理しているし、余裕そうに見えるだけで忙しい中、チョコパフェを食べるのを楽しみにしてたに違いない。
…
胸がズキンと痛む。
少しだけ、後悔…鼻の奥がツンとなる。
んんッ、チクショー。
唇を噛み締めて小さく呟く。
エトワールのくせに僕にこんな思いをさせるなんて、こんなことなら…半分譲ってあげれば良かった。
チョコパ本当に美味しかったし。
欠伸を噛み殺すと涙が出るってよくあるよね?
目元が潤んだので指でぬぐう。
よし、今度会ったら謝って、奢って貰おう。
ん?僕にこんな思いをさせた慰謝料です。
そして、もちろんエトワールの分は、僕がお詫びに奢るのだ。
脳内で、無理くり問題解決したので、安心して眠りにつく。
何処からか牛蛙の鳴き声が聴こえて来た。
近くの池で繁殖したらしい。
窓が全開なのでボオボオ五月蝿いなぁ…。
密閉して熱帯夜になるよりマシだけど…夜風からは潮の香りがした。
エトワールが独り月に向かって哀しそうにボアボア言ってる夢を見た。