ルフナ・セイロンの独白
俺は、人生において、ほぼ悩まない。
正答解を知っているからだ。
人生はシンプルなのに、複雑怪奇化するのは、人が悩むからだ。
どんなあり得ない答えでも、それしかなかったら、それが最適解。
…あとは、ただひたすらやるしかないのだ。
byルフナ・セイロン
俺の名前は、ルフナ・セイロン。
何の因果か分からんが、万年ブラックだった俺が、いまやブルー通り過ぎて、レッドになり、士官学校の夏季講習中ときたもんだ。
ウゼー。…帰りたい。
(手当てが出るので、逆に帰れない、契約不履行になってしまうから)
しかも入学し、未だ授業が始まる前に、オクタマ湖まで徒歩による行き帰りレクリエーション(タイムリミット付き)だとか。
…あり得ない。
どう考えてもレクリエーションじゃないだろ。
しかもそれ、相当走らなきゃ間に合わないよね?
俺にとって完走も厳しい難題が、お遊びのレクだとは、痛烈に洒落が効き過ぎているぜ。
気分は、超人達の集団にいつの間にか紛れてしまった一般人だ。
不参加希望は俺だけで、周りは当然参加するらしい。
やれやれ…若者との体力の差を痛感する。
いやはや、しかしこの俺も30歳かぁ…そろそろ身体を労ってあげたい。
ガムシャラに好き勝手やっていた20歳代を過ぎて、周りを見渡せば、まだまだ若い者には負けねえなんて言う立場になっていて、同年代が少ないことに気づく。
一抹の寂しさを覚えてしまうが、別に仲良し子良しで御手手繋いで仕事していたわけでもない。
だが皆んな、何処に行ってしまったんだろう…?
俺ぐらいの年齢のブラックならば、嫁さん貰って危険な第一線から身を引いて、半引退的な依頼…毎日勤の河川管理、運転技術を活かしたハイヤー業、はたまた懇意にしていた企業への転職などなど、楽な道へとシフトする者が多い。
はたまたギルド内でも、専門職や技術職、事務や管理部門に移る者達も少なくないのだ。
働く場所は違えど、きっと、何処で、自由な人生を謳歌してるのだろうと願う。




