[閑話休題]ラーメン放浪記(中編)
僕は、女の子は皆可愛いと認識している。
だから、十人並みな容姿を持つ僕自身も可愛い範疇には入っているのであろうと思っている。
…自意識過剰?
真偽の程はともかく、何の対策もせぬまま外出すると、不快な経験をしてきたことから今では隠形の術を稼働させ、外出着は前世を思い出して、男が着るようなシンプルで目立たない色の服を着用している。
因みに帽子は嫌いなので被らない。
ジャラジャラしたアクセサリーも嫌いだからしない。
だから、今日も黒系のズボンに青系のシャツで光り物は身に付けておりません。
髪も黒山羊様のお陰で、黒髪になったから目立たない。
モブ山モブ子と改名しても良いくらいの出立ちです。
実に満足する目立たないモードです。
これならば、目立たないし、声を掛けられることもないでしょう。
待ち合わせ場所に来たフォーチュン君も、似たような格好だ…ん、分かっているね、君。
彼は、なかなか優秀です。
でも、その服、ブランド物ですね。
目立たないシンプルかつ地味な色なのに、どこかセンスあるカッティングと高級な生地から分かります。
格好良いフォーチュン君が、それを着こなすと、まるで芸能人がお忍びで街中に繰り出しているように見えます。
綺麗な輝くような金髪とモノクロな服のコントラストが逆にセンス良く見えてしまう。
更に彼の不精で安穏な気配も、魅力に拍車を駆けています。
その証拠に、道ゆく女の子達がチラチラとフォーチュン君を見ながら通り過ぎています。
…なんてことでしょう。
僕の思惑が、この時点で違ってきている。
コンセプトが一緒で、僕と似たような格好をしてるのに、周りへの反響、影響が違ってきている、何故?
なんてこったい、このスットコドッコイめ!
あわわ…前世の憤りが、何故か噴き出して来ました。
何故でしょう?
慌てて祝詞を唱えて鎮め奉る。
…フーフーハー、フーフーハー。
呼吸を整えて気持ちを落ち着かせるのだ。
でも…まあ、良いでしょう。
周りが彼の格好良さに気付いても、スルーしてくれるなら許容範囲内です。
釈然としないながらも、急な呼び出しに応じてくれたフォーチュン君に、今日彼を選んだ説明をして感謝の意を伝える。
この際、彼が蚊取り線香の役割りを果たしてくれれば、僕に文句はない。
社交辞令で、にこやかに対応する。
ここで、陽が影った。
気配を感じて振り向くと、其処には…