[閑話休題]ラーメン放浪記(フォーチュン編)
アールグレイ少尉から、ランチのお誘いが来た。
ギルドの[暗部]から少尉殿付きとして、毎月高額な依頼料が振り込まれている俺は、無理に働く必要はない。
俺は怠けられるなら、怠ける主義だから、依頼はカモフラージュ用に適当に少な目でこなしている…だから基本暇だ。
対象からのランチの誘いを断る理由もない。
ラーメンかぁ…。
日頃から少尉殿を陰日向に見守っている生活を続けている俺からすれば、「アールグレイの日常」という映画を観てる最中に、上映中の主人公から、いきなり話し掛けて来られた様な不思議な感覚。
だがそれは、今までの殺伐として来た依頼をこなして来た俺からしてみれば、ラーメンの食事の誘いだとしても、胸が暖かくなるような誘いだった。
…女の子からのラーメンの誘いかぁ。
それは妙な笑いたいようなおかし味を彷彿とさせた。
うん、いいね。
可愛い女の子から、ランチの誘いを受けて行かない男がいるだろうか?…いやいない。
ルフナの旦那、悪いな、クククッ。
おそらくながら、少尉殿は、部下とは休日には会わない主義のようだ。
それ自体は、少尉殿の家来でさえ尊重する崇高なほどの優しさから来ているものだが、ルフナの旦那からしてみれば甚だ不本意に違いない。
しかし、本当に少尉殿は、仲間と認識した者には甘いですなぁ…隙だらけですよ。
それが自分であると思うと悪くはないが、若い女子が男と二人きりでランチに行くなど誤解されまいかと余計な心配をする…特にショコラ准尉やダージリン嬢から苦情が来そうな感じ。
…
何故に俺がそこまで心配しなければならないのかとも思うが…ここは少尉殿の名誉のためと、俺自身の身の安全のために布石を打っておく必要があるだろう。
少尉殿に、喜んで、とニコヤカに返答してから、今度は俺が誘いの連絡を掛ける。
男はムサイから最初から範疇にない。
女の子が良いね…だったら少尉殿と両手に花だ。
さて、俺が選んだ人とは…