[閑話休題]ラーメン放浪記(前編)
そうだ!…ラーメンを食べに行こう。
今日、夜通しの護衛依頼を達成させました。
無事に護衛対象を守り抜きて、依頼終了。
依頼者から感謝され別れ、ほぼ何もなく平和で仮眠も取れて ラッキーな一日であった。
…こんな日もある。
誤解なきように明言しておくけど、僕は毎回、何かしら戦っているわけではない。
どちらかと言うと戦う日の方が少ないかな?
終了したら安堵して、一気に緊張が解れ、眠くて瞼が半分落ちてきている。
うんうん…何事もなかったけど、やはり、明けは明けです。
多少の疲労を感じるだけなのは、まだまだ若い証拠です。
歳を取ると多大に疲労を感じ、回復もままならないのだ。
前世では、既にそれは経験済み。
若い時の無理が、歳を取ったときに返ってくることを僕は既に知っている。
だから僕は無理はしない。
仕事中でも休憩は少なくとも必ず入れるようにしているし。
仕事中は、辺りにセンサーを張り巡らせてるので、常に緊張しているので、精神的にも肉体的にも疲労が蓄積するし、 カロリーも消費して、どうしてもお腹も空いてしまう。
活動食は携行してるけど、正直それぽっちでは足りません。
朝御飯も食べてないし…つまり、お腹空きました。
時刻は、ちょうどお昼頃です。
奇しくも肉体は多大なエネルギーを欲している。
これは、…行かずばならないだろう。
そう、ラーメンです。
カロリーの塊、朝昼2食分位あるかもしれない…でも大丈夫、朝食べてないし。
最近、金銭的に割高になって来た感もありますが、変わらずに庶民の食べ物の代表作の一つと言えるあのラーメンです。
だからこその、先程の、そうだ!ラーメンを食べに行こうです。
潮風に吹かれながら、端末をイジる。
これはもちろん、一緒に食べに行く人を捜すため。
…だって一人では寂しいじゃないか。
僕には友達が少ないから選択肢も限られている。
いや…少数精鋭と言えば良いのか。
しかし、誘うにしても立場的に強制してしまう家来待遇の人には掛けられない。
だって、休日に仕事場の上司から連絡が来て昼食を強要されるなんて、考えるだけで最悪だと僕でも分かるから。
やはり、ここは僕でも公私の区別は付けたく思うのだ。
だから、ルフナやアナは候補から外す。
端末を一旦しまい、駅に歩きながら考える。
貴族の人も、ラーメンには誘いにくい。
前にジャンヌを誘ったのは、彼女の許してくれるような人柄故のこと。
とても、ラーメン屋に、高位貴族のショコラちゃんや令嬢然としたアンネを誘えない。
そう考えると意外と選定は難しい。
しかも昼間帯は、普通、皆働いてるだろうし。
急には無理だろう。
…
「それで私ですか?」
Wii、そのとおり。
諤々と首を縦に振る。
僕の目前には、端末で呼び出し、待ち合わせに来たフォーチュン准尉が立っている。
いろいろ考えたけど、ラーメン屋に行くと場所によっては隠形の術を使っていても、僕の小さい形では、偶に絡まれることもあるのだ。
前世では、一度もそんな目に合わなかったのに難儀なことです。
ならば、相方は強く見える人か、男性がよい。
フォーチュン君は、見た目、私と背丈がそれほど変わらぬ割と格好良い系の男子です。
おちゃらけて軽いノリだけど、中身はシッカリとした大人の苦労性であろうと、勝手に推測している。
昼間、働かない暇人で、真っ先に彼が浮かびました。
彼は、会うと僕の胸や尻を遠慮なく観て来るので、こちらも代わりに遠慮なく我儘を言える感がある。
もっともフォーチュン君に見られていても、実は、彼からは、それ程にいやらしさを感じないので、嫌ではない。
僕が気にしなければ良いだけの話。
うんうん…男子が女の子の身体に目が行くのは自然の理、人格とは関係ないと認識しております。
フォーチュン君には、自身に遠慮ない正直さと、相手を尊重する礼節さを感じる…だから、そんな気やすい友達感覚で、呼んでしまいました。
…迷惑だったかしら?
実際に呼んだら彼、来たから嫌ではないと思うけど、観察してみた。
… …
表情と所作からの印象は、…多少来るの面倒くさいけど、ちょうどお腹空いてて、ラーメン食べたいから、来たよ…みたいな感じです。
ちょっと、ひと安心です。
さて、今日いただくラーメンは、「サークルⅡ」というラーメン屋さんです。エ系のラーメンだとか。