入校準備②
教科書、資料を少しだけ、読んでみる。
…
太陽が、中天に至り、少し下がった辺りで、紙面に影が差し込み、目前にペンペン様が佇んでいるに気がついた。
わっ!…ビックリしました。
ジト目で、見られていました。
「…ああ、お腹空いたのですね。ソーメンにしましょうか?」
まだ、表情は変わらない。
「ん…タンパク質が無いから、たまご焼きとベーコンも付けますか?薬味は大葉を切りましょう。」
「…クェ。」
ペンペン様は、僅かに満足そうに吐息を漏らすように小さく鳴くと、ノシノシと去って行きました。
どうやら、僕が集中して動かないから、心配してお昼の催促に来たらしい。
陽は下がり、あと半時もすれば、二つ目の時である。
だいたい見通しは…つきました。
確かに、ペンペン様ではないけど、気づけば僕のお腹も、空いている。
僕は、鍋に水を入れてお湯を沸かすことにした。
お昼のメニューは、先に言った通りのソーメンです。
…簡単に済ませられるからお手軽なのです。
…
ペンペン様と一緒に、お昼を食べながら考えた。
因みにシロちゃんは、取り分けた小皿から器用にソーメンを啜っている。
うん…シロちゃんは、絶対魔法生物だよ。
ソーメンを啜るモモンガは流石に自然界にはいない。
資料は、果たして教科書の虎の巻だった…それでも一山出来ている。
教科書を抜粋簡略化してるふうだけど、分かりやすく具体化、図面化したため、まだ理解出来そうな感じだけど、その分紙面が増えて、結局、量が教科書と同じくらいになっている。
ツインタワーです。
しかし、内容はダブっているので、その実態はタワー1つ分に減じる。
…二分の一です。
目前の現実は変わらないけど、双肩にかかる重みは、半分に減った気がします…気分だけだけど。
とにかく、紙面だけなら、半日掛かって全体量は概ね把握した。
…内容は、サッパリだけど。
入学まで、もう10日間しかない。
こんな状態で始まったら…皆に付いていけないよね。
それが分かっただけでも進歩です。
把握したから危機感を抱くことが出来たのだ。
予習は必須事項です。
事前情報なし、戦略戦術を練らずして戦端を開いたら、徒手空拳で戦うようなものです。
そう言う意味で、僕の講習は既に始まっていると言える。
前世の僕は、これを認識していなかった。
これとは、全体の把握からの戦略・戦術と実践の着手…即ち、予習です。
そして、前世では認識さえしないまま、何とか為してしまったのだ…なまじっか出来てしまったのが、良くなかった。
僕は、最初に失敗すべきだったのだ。
…
だが、前世の失敗を反省した今世の僕は一味違う。
完璧は求めない…量の多寡も関係無い、とにかく着手は早い方が良いと分かっている。
先鞭を付けるのだ。
嚆矢を放つのだ。
早さが優先順位第一位である。
しかし、日常も何より大切です。
日常を疎かにしては、いけません。
やるべきことはやります。
…よし、食べ終わったら、食器を洗い、掃除機かけて、お風呂の浴槽洗ってから、洗濯物を取り込みたたんでから、軽く筋トレと10km走ってから…
…戦略を練ろう。




