朝食
手を洗い、厨房に入り、食材を確認する。
冷蔵庫の中を物色する。
お!…アールグレイは野菜置場から蕪と芹を発見した。
チャララッチャンチャー♪
僕は脳内で勝手に発見の音楽の音を鳴らす。
早速取り出し洗って切った蕪を、水をはった雪平鍋に入れ、火を付ける。
うん…蕪は煮ると柔らかく口に入れて噛むと程よく解れるようで柔らかさを堪能できる。
青菜のシャキシャキ感もよろし。
美味しさを思い描きながら、生姜と柚子の皮を微塵切りにして、一緒に入れる。
蕪を菜箸で刺し、柔らかくなってたら味噌を入れ、最後に切ってあった蕪の菜と芹を入れて一煮立ち。
あまり煮すぎると緑が燻んで美味しく見えなくなるから、煮るのは少しだけなのだ。
蕪を、煮てる間に、納豆混ぜ混ぜておく。
青紫蘇微塵切り、茎わかめ混ぜ、お碗に生卵を入れ醤油を一雫垂らし混ぜて、その上に暖かいご飯を入れ、納豆と茎ワカメ入れ、納豆の上に刻んだ大葉を乗せ、脇に味海苔を添えて入れると完成。
えーと、何とか丼です。
名前は、まだ無い。
蕪と芹のお味噌汁を、お椀についで出す。
料理とも言えないような朝食ですが、朝は簡単で手間の掛からないのが良いです。
途中で、クラッシュさんも来たので、納豆と生卵大丈夫か聞いて食べるか聞くと、「御相伴にお預かりします。」と返答があったので、簡単に作ってだす。
さあ、召し上がれ。
皆でいただきますと唱和していただく。
殿下がシズシズと食す。
ギャルさんは、バクバク食べる。
クラッシュさんは、ガツガツ食べている。
…
「…お替わりないですよ。」
「え?!」「え!!」
ギャルさんとクラッシュさんが驚いた顔をして、こっちを見たけど、ご飯炊いてないので、もうないのです。
納豆も、それで終わりですから。
ガッカリした顔を見せても僕は、朝、これくらいでちょうど良いので、作りませんよ。
殿下は食べ終えると僕の方を見て、ご馳走様でしたと言う。
当たり前の礼儀正しさにストンと得心がいくような気がする。
クラッシュさんとギャルさんも倣って言ってたけど、こちらをチラチラ何度も見てた。
いやいや、何度も見られても何も出ませんから。
…
食後に、珈琲豆をガリガリ引いて、お湯を沸かして珈琲を入れてみる。
珈琲の良い香りが辺りに漂う。
ギャルさんの瞼が閉じて、鼻をヒクヒク動かしている。
良い匂いですね、私の分はまだですか?という顔を僕に向ける。
…なんかペンペン様を彷彿とさせますね。
分かりました。
珈琲入れて出しますから。
皆に珈琲を出し、殿下にはお茶を入れて出す。
さあ、今後の方針を決める会議です。
まずは、依頼していた情報収集の回答を提供する。




