朝
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護衛4日目。
目覚める。…朝が寒い。寒波だ。冬はこれだから。
同じベッドで、殿下が抱き着いて寝ていた。
柔らかくて暖かい。子供は熱が高くて湯たんぽのようだ。うちなる太陽が、きっとあるに違いない。
こんな小さいお子を殺めようとするなんて許さない。
ギュッと抱きしめる。
スースーと寝息をたてていた殿下も、反射的にか、グッと抱きしめ返してきた。
その時、バーンと部屋の扉が開いた。
「殿下、アールちゃん、おはようございます。今日は良い天気ですよー。朝練して来たので、お腹とても空きました。アールちゃん。」
朝からテンションが高い、ギャルさん。
今日は、中日で、お出掛けはない。つまり休みだ。
休みだと、早起きの人いるよね。
僕は、まだ眠いよ。昨日寝るの遅かったしね。
とりあえず殿下を抱えたまま、上半身を起こすと、寒い、寒いぞ、布団をかぶる。
寒いけど、まだ脳が寝てるようで、頭が働かない。
殿下も眠いのか、ムニャムニャ言いながら、頭を僕の胸辺りに擦り付けてくる。
か、可愛い。
膝の上に乗せて抱きしめ直すと、殿下は、またスースーと寝始めた。
「おはよう御座います。殿下、アールちゃん、朝です、朝でーす。ご飯の時間です。起きましょう。」
扉の近くから、元気良く呼びかけるギャルさん。
「ギャルさん、おはようございます。殿下は、まだ寝てるので、先に食堂行って食べててください。」
と、言ったら、ギャルさんは、「アナタナニ言ってるの?」といった顔をした。
「アールちゃん。今日は皆お休みだよ。つまり邸宅も施設護衛以外はお休みですから。そして私はお腹スキました。」
「なら、僕達のことは気にしなくていいですよ。先に食べてて下さい。」
そしたら、またもギャルさんは、「君、分かってないね。」という顔をした。
「アールちゃん、皆がお休みということは料理人もお休みということなんだ。そして私は、とてもお腹すいているんだ。」
なんだか、ギャルさんの顔つきが、自宅にいるはずのペンペン様に見えてきた。
ペンペン様も、お腹すいてる時は、「私は今、不当な扱いを受けているんです。飼主の義務を果たすべし。」みたいな不服そうな顔をする。
僕とギャルさんが不毛な問答してる間に、殿下が瞼を擦って起き出した。
「お姉さま、私もお腹すきましたの。お姉さまが作ったご飯食べたい。」
上目遣いで、お願いしてくる殿下。
うっ、可愛い…殿下のお願いでは仕方ない。
「おはようございます。殿下。ではまずは顔を洗って着替えましょう。ギャルさんは食堂を暖めておいてください。」
ギャルさんは、「オッケー。」と言いながら、クルクルランラン回りながら去っていった。
ギャルさん、げんきんだなぁ。
ペンペン様ご飯食べてるかしら。
身体を伸ばして、魔力を全身に通して震わす。
力を全身に隅から隅まで入れて、身体を起こす。
僕の身体よ。今日もよろしくお願いします。