崩壊の序曲
滅びを願い、滅びの芽を大地に埋めた。
順調にスクスクと育っているようで嬉しい。
組織化はしない。
繋がりて組織化すれば、組織に囚われてしまう。
それはいけない。それはダメだなぁ。
自然現象だよ。
人類の内側から食い破り、人類に成り替わり、その後バラバラとなりて消えていく。
青空を見上げながら呟く。
「…… 滅びよ …… 都市は朽ちて… 花は枯れ… …。」
ああ、空が、とても高いや。
今日はとても気分が良い。
白い雲が高い気層を流れていく。
…
砂漠の砂の上に座りて、流れて行く雲を眺めていた。
そうだな…既存のような組織化はしないけれど、…名前くらいはつけようか?
そうだな…くもはどうだろうか?
くも、くも、くも…ああ、蜘蛛…ああ、なんか良い感じ。
どうだい…良いだろう?
さあ、蜘蛛の子供達、人類を苗床に、親たる人類の胎からを食い破るがいい。
これで、人類の役割りは終わりかな?
さあ、みせてくれよ。
滅ぶのは、いったい誰が相応しいんだい?
天日に干されたサラサラの砂を手に握りしめると、指間から砂がササーと零れ落ちる。
その感触をしばし楽しむ。
砂状の楼閣と言う。
人類め、面白い言葉を思い付くな。
自虐ネタか…。
なんて蜻蛉のように儚い。
滅びるならば、それで良い。
だが、ただ滅ぶだけではつまらない。
さあ、みせてくれ、おまえらの価値を…。