表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アールグレイの日常  作者: さくら
アールグレイの冒険
32/615

契約

 契約の更新はしない。

 契約の一週間限定ですが、必ず殿下は守りきる。

 以上2つを、僕は決めた。


 分相応という言葉がある。

 良い言葉である。

 自分が出来る枠を決めて守りきるという意味と解釈する。

 それこそ蜂が何匹も来たら、僕程度は刺されて御陀仏だと思うし、たまたま一回防ぐことができたが危なかった。


 庶民は、やはり庶民らしく、分相応に仕事を選ぶべし。

 貯金、年金を積み立てて、マイホームを建てて、半自給自足生活のスローライフを、僕は目指すのだ。

 以上、ギャルさん、殿下、クラッシュさんに、僕の持論を聞いてもらった。


 …


 殿下は、キョトンとしていた。

 やはり貴族と庶民では、住む世界が違うのであろう。感覚的にピンと来ないのは、仕方ないことだ。


 クラッシュさんも元騎士であり、今はお坊様であるから、庶民の夢とか生活信条とかと、かけ離れている気がする。

 一番僕に近いのは、ギャルさんだけど…。

 「アールちゃん、若者の特権はね、夢をみることよ。アールちゃんの夢を年寄りくさいとか、夢が無いとか、地味だとか、否定はしないわ。でもね、夢は大きいほうがいいわよ。ちなみに私の夢は、世界平和。皆が争わず、日々幸せに暮らせる世界。私は幸せになりたい。でも私が幸せになる為には、まず、私の周りが幸せにならなくては。だからアールちゃんも幸せにならなくちゃダメよ。」

 ギャルさんの言葉を聞くと、僕は切なくなる。


 ギャルさんが、この後、儚く散ってしまうような…。

 もしかして、これはフラグですか?

 ま、まずいのでは?


 「あと、私の信条は[全力疾走]だから。いよいよマズイと思ったら殿下とアールちゃん抱えて、全力で逃げるから。ちゃんと付いてきてね。アールちゃん。」

 どうやらフラグでは無かったようだ。

 実に逞しいです。


 前世で、天下を統一した徳川家康は、逃げの名人だったと聞いたことがある。

 ギャルさんにも、徳川家康並みの逃げる為の判断力と逃走能力があることを望む。

 「大丈夫。私の魔法は、常に逃げる為に、増強系特化だから。殿下とアールちゃん抱えて、100メートル10秒切って逃走可能だから。」

 何故に僕を抱える前提なんでしょうか。

 「大丈夫。アールちゃん、小さくて羽根のように軽いから、殿下と同じだから。」

 …解せぬ。


 でも、ギャルさんの周りを気遣う心の暖かさに、ホッコリくる。

 僕が居なくなっても、ギャルさんなら大丈夫。

 たとえ衛士隊がボンクラのせいで潰れたとしても、ギャルさんなら案外大丈夫だろ。

 殿下が直接雇用しても良いし。


 問題は、今現在の敵だ。

 この時期、急に、殿下を暗殺して誰得というのだ?

 暗殺の為だけに一軒家を車に改装する資金、一流の殺し屋[蜂]を雇う資金、かなり高くついたはずだ。


 組織の弱体化を図る敵とは、別口の敵だ。

 真綿で首を絞めるやり方とは違う今回の襲撃は、まるで蜂の一刺し。…危険だ。


 いったい、何処の誰だ。

 蜂の雇い主を潰さぬ限り、又は理由が消えない限り、また蜂は来るに違いない。

 何故なら殺し屋にとって信用は第一だから。

 だから一流の殺し屋ほど契約を遵守する。

 蜂は一流だ。

 よって蜂はまた来るぞ。




 どうする?

 

 

 

 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ