僕の休日(中編)
お天気が良いので出掛ける。
街中か自然か、それが問題だ。
なんちゃって。
自由です。
足の向くまま気の向くまま、お出かけする。
目的地は無いのだ、
自由なのだ。
よし、無いから途中で決めよう。
…
南に向けて1時間ほど歩いていたら大きな川に突き当たったのだよ。
ここまで来ると流石に周辺には家屋を見かけない。
遥かな昔には、きっと家屋がひしめき合ったのであろう。
前世の記憶持ちである僕には分かる。
全く自然に呑まれてかつての景色は跡形もない。
それでも獣道のように川に沿った土手沿いの道が出来ていた。
景色がダブって見える。
前世の僕が走っていた。
ああ…ひどい、笑ってしまうほど遅い。
まるで牛歩です。
もしかして、それで走っているつもり?
もちろん僕自身なので走っているつもりなのは分かっている。
あまりの遅さに笑ってしまう。
木枯らしが吹いて、…幻影が消えた。
こうして歩いてみると、何か懐かしい。
かつては前世でこの道を通った。
もはや景観はまるで違うけども。
クヌギ、ナラ…樹々の種別はよく分からないけど。
周りは皆、雑木林に見える。
これが、本来の武蔵野の地。
かつて人が住んでいた地が、完全に自然に還っている。
ああ、そうか…。
人は、さも土地を所有しているかの如く振る舞っていたけど、自然から、ほんの少しの間だけ借りてるに過ぎないんだと気づく。
実感した。
searchを打つ。
周りには人の気配など無い。
少なくとも1kmには居ない。
僕は今独りである。
誰も周りには居ない。
雑木林には秋の気配。
広葉樹は葉っぱを落として枯葉が風に舞っている。
空はどこまでも遠く高かった。
虚空の空が広い。
風が僕を吹き抜けていった。
ああ、これが孤独という感情ですね…。
人には孤独が必要であると思った。
だからこそ。孤独を尊重しなければならない…。
僕自身は皆と一緒が良いと感じる。
だって一人だと寂しいもの。そうだよね?
それでも極偶に、ふと独りになりたい時もある。
前世の自分は違った。
僕と真逆で孤独を好んだ。
それでも社会に属し、皆と一緒であるを選んだ。
着かず離れずの距離感で。
思うに…人は独りでは生きられない。
しかし独りも必要なのだ。
どちらも必要で、人によってその強弱の度合いが違うのであろう。…と思う。
…
…少し寒いかも。
体内を燃焼させて熱を纏う。
自然に帰れ!と誰かが言ったとか…。
いやいや自然には還れないよ。
自然は厳し過ぎる…人が住める場所ではない。
それこそ着かず離れずの適度な距離感を持ってお付き合いしたい。
ましてや自然を所有するなど人間の傲慢に過ぎる。
今世では土地所有の概念は薄れている。
あくまでも所有は仮に都市政府とし、僕達は土地を借りてるだけである。
管理してるだけで、管理出来なければ土地は都市政府の管理に戻るのだ。
うんうん…これは中々実態に即していると思う。
前世でも、土地を所有出来るけど、固定資産税など払っているから所有するなどと実態は嘘であるから。
僕は、ありのままに実情に即した状況に合わせなければならないと思う。
数字で誤魔化してはならない。
それは子孫に負荷を負わせるだけだと思う。
あなたの成すべき事を先送りにするだけ。
分かっているのか?
今、成すべき事をすべきであると感じた。
あなた達は、それを感じないのか?
我は問う?
今、読み、感じ、何を為すべきか…?
…
まあ…どうでもいいけどね。
何故なら、これは受け取り手の感受性の問題であるから。
まさに僕に取ってはどうでも良いのだ。
…
楽しみて、都心方向に右折する。
うん…楽しかった。
孤独は味わった。
次は何?