暗闇に微笑む
それは世界を包む世界の、更なる何層のもの果ての果て、暗闇の底に巣くっていた。
大いなる意志を非常に簡略化した一部が、泡沫のようにブクブクと上がり、電波の如き弾けて飛ぶ…。
…暗闇の中に揺蕩いながら夢をみる。
鮮明な光りに満ちた映像がノイズの先に偶に見ゆるのだ。
フフッ…。
意識を眠りの底に沈める。
まだだ、起きるのは、…まだ早いから。
滅ぶがよい…興隆したものはいつかは滅ぶしかない。
それが定型であり、長短の差しかない。
待てばよい。もう一眠りであるから。
なによりも、このような思考するのが面倒このうえない。
…どうでもよい、好きにすればよい、そう、…あれだ、自由というやつだ。
…だが、いささか太陽のやりたいようにさせるのも業腹だ。
…務めは成さねばならぬな。
でも…我は為さぬよ。眠らねばならぬ。眠りの時だから。
全ては泡沫の夢よ。
だが、夢は、良夢がよかろう。
我の安眠の為であるからな…うんうん。
だから…代理人を置いた。
しかも今回は特異点で、我に似せた。
ほんの一滴、我を混ぜてみた…気まぐれだ。
ふふ…我にも先は分からない…だから、面白いのだ。
滅ぶのか…未だ滅ばぬのか…まあ、どーでも良いがな。
フフッ…。
さて…我は未だ暗闇に鎮むか。
… … …
… …
…
小さな点の世界の中の住人には、大いなる意志の思惑など伺い知る事はない。