秋の夜
夕方、買い物に行く。
秋と言えば秋刀魚、秋刀魚と言えば秋。
スーパーに行き秋刀魚を買おう。
スーパーの屋上から西を見ると陽は既に落ち、巷は真っ暗に成り掛けています。
空は夜の群青色、地平線近くは茜色、暗がりのビルの窓には煌々と明かりが灯っています。
美しい景色であると思う。
うん…今日も一日平和であった。
尊い日常に感謝を。
平和を維持する為だけに僕が覚知しないだけで、どれほどの努力が為されているのか考えるだけで気が遠くなり震えるほどおそろしくなる。
今も努力している僕の知らない誰かへ感謝を伝えたい。
多分、聞いたとしても返答は無いと思うけど。
黙祷を献げる。…ありがとう。
…
さて、それはそれ、これはこれ。
僕は僕の日常を生きていかなければならない。
さあ、牡蠣フライのリベンジです。
秋刀魚と米、生活に必要な諸々…買って両手に下げて帰る。
自宅に戻り、手を洗って準備です。
お風呂は洗ってあるのでペンペン様に入っていただく。
ラフな室内着に着替えて髪を括り、エプロンをして台所に立つ。
よし!包丁を取り出す。
秋刀魚の鱗を包丁で表面を逆向きに撫でて鱗を取る。
内臓は殆ど消化器官無いので取らなくても良い。
水で洗って、包丁で秋刀魚の表面である左側に縦線何本か切れ目を入れる。
こうするとキレイに焼けるとか。
あらかじめ焜炉の下請けに少し水を張る。
こうすると水分でフックラするとか。
網にはあらかじめ油を塗っておく。
こうすると秋刀魚が網にくっつかないとか。
焜炉にあらかじめ火を入れて、暖めておく。
キッチンペーパーで拭いた秋刀魚に塩を振り15分置く。
余分な水分が抜けるとか。
最初表面を下にして5分焼く。
次にひっくり返して5分焼く。
完成である。
テーブルを拭き漬物と箸を出して置く。
今日は浅利のお味噌汁です。
ご飯をよそう。
焼き立ての秋刀魚を出す。
よし!お粗末。どうぞ!お上がりよ。
食卓には風呂上がりのペンペン様とシロちゃんが待っている。
ペンペン様と食卓を囲んで、いただきます。
うん、なかなか…自画自賛ながら美味しい。
ふと見ると、ペンペン様を見ると携帯をいじっていた。
ペンペン様、冷めちゃいますよ。
…
ご馳走様でした。
まだ携帯をピコピコいじっているペンペン様。
秋刀魚もお味噌汁もスッカリ冷えている。
…少し、悲しい。
お味噌汁だけでも温め直す。
ペンペン様は携帯を弄った後で、漸く秋刀魚を食べ始めた。
もう、秋刀魚冷えてるよ…。
暖かい方が、きっと美味しかったのに。
でも、きっと大切な用だったんだ…仕方ない。
…
お風呂に入って床に着く。
明日は仕事に行こう。
午前5時に目覚ましをセットする。
今日一日平和でありました。ありがとう。
明日も平和でありますようにと両手を組んで祈る。
…お休みなさい。