夢の跡先
僕が落ちていく
眠りの海だ
いつかは、ここに混じり消えていくであろう原初の海である
懐かしくも恐ろしい
生まれ落ち、やがて還る場所である
ん?鮭が産まれる川のようなもの…?
ちょっと違うかも…
ブクブクと暗闇の底に落ちていく
…
…
(アルファルファよ 明けの明星よ、北へ向かえ…)
北?…寒いのは嫌
(……。……。北に向かえ、…救いなさい…その出会いがあなたをやがて救ける。)
…面倒事は嫌だなぁ
(… … …。 美味しい物が待ってます。)
ん!…ならば良し!
僕の潜在意識は分かってらっしゃる。
美味しいのは好き。
北?秋の味覚は何?実に楽しみである。
眠っていた僕の意識は急浮上した。
ふふん…葡萄、梨、秋は収穫の秋、栗、キノコ。
優雅に紅葉狩りも良い…風情がある。
思えば前世の僕は秋が一番好きであった。
今世の僕は春が一等好きであるが、秋も悪くはない。
…
僕は、瞼を開けた。
いつもの家の天井である。
…
そう言えば、赤龍討伐から数ヶ月経ち、季節はもう秋。
少し、寒い気がします。
今でもクス姉弟との交流は続いている。
…あれから即、騎士団は解体された。
アナスタシアの派遣は突如打ち切り、軍に戻った。
団員は、元所属に復帰。
全ては、元に戻り、騎士団は跡形もない。
まさに砂状の楼閣騎士団。
ニルギリ公爵の思い付きですか?
試行錯誤の結果なのか分からないけど。
しかし、ニルギリ公爵家の騎士団は解体されたけど、一度結成された僕の騎士団は健在らしい。
…らしいというのは、ジャンヌとアナスタシア間で連絡を取り合い、有事即応できる騎士団構想を模索中とか。
いくら騎士団は解体されようが、一度繋がった人との絆は切れないのだ。
アナスタシアとは、主君、家来の間柄だけど、畏まらずに友達感覚で連絡を取り合っている。
一度眼を開けたが、まだ眠い。
昨日は、24時間以上働いて、自宅に着いたら泥のように眠ってしまった。
流石に疲労していたらしい。
お陰で、妙な夢を見た。
北ですか…。
ギャルさん達、元気かな?
僕は二度寝する為、また瞼を閉じた。
今日は休日です。
そう決めました。
働いた後には、お休みがあるのは当然なことですから。