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アールグレイの日常  作者: さくら
赤龍討伐
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破・赤龍討伐戦(壱)

 僕の深層意識からのメッセージによると今までの僕では駄目らしい。


 自分から駄目出しくらう僕っていったい…。

 しかしながら人間そんなに変わろうとしてもそんなに変わることは出来ない。


 前世の記憶持ちの僕から言わせると、男女の違いはあるものの性格、姿勢、嗜好等等、前世の僕と今世の僕は、かなり似ています。

 別人なんだけど、同じ魂だからね、どうしても似てきちゃうわけですよ…多分ね。えへん。

 逆に似てない処も多々ありますが。


 つまり、約100年たとうが死んでも生まれ変わったとしても、そうそう人は自分から変わろうとしなければ変わることなどできはしないのだ。

 だからね、無から有を生むのではなく、真似したり、繋げたり、一部を特化させたり、合体融合させたり、掛け合わせたり、化学反応的な、つまり…アレンジが有効なのではないかなと思うわけです。




 ここで僕のこの世界の世界観を述べよう。


 世界は幾つもある。…重なっていると感じる。

 実は世界とはそんなに頑なではないことを僕は知っている。


 物質とは霧や霞の様でもあるのだ…スカスカです。


 異世界を渡って来ている僕だからこそ世界を比較して知ることが出来る。

 物質、重力、固定観念、そうと決めたのは誰?

 僕には確信を持てない。疑問形である。

 全てを疑う。それって本当?嘘ではないかな?


 出来ないことはないと確信さえ持てれば、この世界では出来ないことはないと僕は感じている。

 そもそも魔法からして、この世界の物理法則から逸脱している。


 でも、いいでしょう。この世界に生まれ落ちたからには、この世界のルールには従いましょう。この世界から弾かれない程度には。

 しかし、その程度は割と曖昧である。

 比較検討した結果、確信を持って曖昧であると言える。 

 自由だ。全ては思い込みであるから…碇を落とすように。

 

 もしかしたら、全てを否定すれば、風が吹いた後の霧や霞のように、この世界は消えてしまうかもしれない…。


 

 目前の現実を見る。

 ジャンヌが赤龍に踏み潰されようとしている。

 させない。

 僕がジャンヌを殺させはしない。


 僕は知覚を全開放した。一瞬だけ世界を切り取る。


 都心方向1km先から弾丸が、赤龍の右眼に突き刺さるラインが見えた。…察知範囲外からの高速攻撃…これは当たる。

 弾丸に撃った者の意志の色が見える…純粋な白に銀粉が混じるかのようにキラキラ光っている…フォーチュン准尉?!

 同時に縮地を使用、僕は赤龍の足の下に出現。

 見上げて、右手の人差し指を天空へ突き刺すように伸ばす。


 世界が刻を取り戻す。


 赤龍の右眼に弾丸が着弾した。


 伸ばした右手人差し指の指先が赤龍の足裏に接する…携帯の画面上に指先を滑らすように…僕は着指したままの状態で足裏を推し出すように真横に指先を滑らしていく。

 赤龍の体重を指先一つで支える。

 あり得ない?…いいえ、有り得ます…そう一瞬ならば世界を誤魔化すことが出来る。

 僕は、確信を持ってあり得ると言える。


 赤龍の頭部から大爆発音が聞こえた。

 赤龍の悲鳴が辺りに木霊する。


 まだだ…ちょうど重心が乗ろうとした足が真横に滑ればどうなるか…この世界に重力があり、赤龍が二本足であるならば当然の帰結が待っている。しかも、ちょうど頭に衝撃…魔法を使う暇は無いだろう。

 「橘流合気柔術、浮舟…。」

  赤龍は、脚を投げ出すように真横に呆気なく倒れた。

 高さ20mのビルが、いきなり倒壊したようなもの。

 土煙りが舞い上がり、倒壊音が耳を塞ぐ。


 僕は、呆然と座り込んでいるジャンヌの手を取り、赤龍の足元から離れた。


 まだだ…。

 ジャンヌを汚い足で踏み潰そうとした責任を、僕は赤龍に取らさなければいけない。

 アナさん達は全員避難した。

 もう、周りに遠慮は要らないのだ。


 僕は少し怒っている。

 女の子を足げにするとは… 行儀が悪いにもほどがある。

 

 先程までの体調の悪さが嘘のように吹っ飛んでいる。

 峠は越えたのだ。

 僕の体調は台風が通過した次の日のように晴れ上がっている。


 ここからは、僕のターンだ。


 赤龍よ。ブーメラン現象してやるぞ。

 心して待て。





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