激・赤龍討伐戦(参)
グリーン(新人)は、修羅場では、まず使いものにならない。
下手をすると足を引っ張って、尚且つ死ぬ可能性がある。
…輜重隊の護衛と称して置いていこうかな?
使えるのは…?
この場の全員にsearchを掛ける。
そうそう、searchがレベルアップしました。
鑑定なみの魔法走査で、個人の各能力の強さが表示出来るようになりました。
なるほど二ヤード君は、紹介通りブルーの星一つ。
前衛寄りの能力が高めですか、前衛としては、今一つ物足りない。代わりに魔法系の能力が高い。
魔法戦士ならぬ魔法騎士ですね。
騎士の一人がブラックの星三つありました…これは予想外、ラッキー。おっと、こちらもオールラウンダーです。
どの能力も、満遍なくそこそこ良い。
逆を言えば、突出した能力無し。あまりにも地味。
なるほど、ブラックの星一つと誤解されるわけです。
でも、この方、あと少し何かしら伸ばせば、ブルーになれちゃうね。…惜しい。
多分、総合力では、二ヤード君より上だよ。
ついでにアナ准尉も見てみる。
アナスタシア准尉は都市軍からの派遣組。
軍の強さは個の強さでは無く、集団の強さを重視しているので、階級と個の強さは一致していない。
期待は出来ないけど…ブルーの星一つと出ました。
うんうん…姉弟揃って優秀ですね。
こちらもオールラウンダー気味ですが、前衛は無理。
魔法系が若干高めなので、後衛には使える。
主計准尉でも、非戦闘部門でも使えるものは使います。
戦場では、縦割り垣根は存在しません。
部隊内に温度差は有り得ません。
目的は、ハッキリしました。
騎士団の強化育成。
その為の第一目標が、赤龍討伐です。
依頼を受けたからには、達成しなければなりませぬ。
達成できませんでした…でも報酬は貰いますでは信用に関わります。
僕らは、自営業です。アルバイトでは、ありません。
仕事とは、責任を取る事です。責任を取る事で、正当な報酬を受け取れるのです。
たまに責任を取らずの姿勢で商売してる輩が目につきますが、それは仕事とは言わない。
責任取りたく無ければ、アルバイトで雇用されればよいのです。
今回の依頼は、騎士の代行ですが、何故にアナ准尉が代行を外注したかというと、赤龍討伐の為であり、最終的には騎士団の強化育成の為です。
一日で、最終目的までは無理ですが、赤龍討伐くらいは達成しなければ、ギルドの沽券に関わります。
「search!」
全方位に、大音量のsearchを打つ。
魔力の音波が輪となり広がっていく。
…
いた!…赤龍級生命体、発見、南西方約50km…って、無理じゃん!
其処、多分タンザニア山系に食い込んでる。
海辺や、海辺の拠点に至るルートは、半開発されてるけど、山々は、未だに人跡未踏の地です。
多人数で攻めるならば、補給線を伸ばして、大隊規模で…いやいや無理無理…山の中では兵隊を展開出来ないし。
すると、少数精鋭で電撃的に攻撃を…。
部隊を振り向いて見直す… …無理ですね。
どうやら、赤龍が来るのを待って迎撃するしかなさそうです。
この世界には、龍が存在します。
うんうん…ファンタジーです。ロマンです。
前世には、居なかったとされてます…見たこと無かったし。
龍とは何ぞやと問われれば、生物最強が具現化した生き物。
見た目から判断すれば、爬虫類の系譜から進化した大型の蜥蜴?!
もしかしたら、人が滅んだ後の後継の種なのかもしれない。
問題は、最強種と言われるだけあって、人間より遥かに強いことです。ソコソコ知能もあります。
もちろん、ピンからキリまであって、今回討伐予定の赤龍は、身長10メートルサイズの交戦的な性格のドラゴンです。知能低めで、言語を解さないらしい。
周期的に村々を襲い、牛や豚を持っていくという。
これまでの被害総額90億イエン。
牛や豚は、まだまだ貴重品、庶民の口には、まだまだ入りません。
報酬が高いわけです。
因みにドラゴン肉も、割とお高めで売れます。
貴重なタンパク質であります。
報酬に上乗せして、お肉くれないかな?
アナ准尉に交渉してみる。
…
成功報酬で、多少貰えることになりました。
アールグレイ少尉の士気が10%上がった!
うんうん…アナスタシア准尉は、分かってらっしゃる。
ミッションにおいて、補給系の激励品は必須。
補給さえ、しっかりしてれば、参謀の杜撰な作戦も、無能な司令官の指揮も、ある程度までカバー出来ます。
よし、今日の夕食はドラゴンステーキです。