会離
僕のバカンスは、終わった。….まあ仕事なんだけどね。
終わる時は、本当に呆気ない。
あれから皆んなでお昼ご飯食べて、バスに分乗して帰った。
夕方になる前には、ギルド本部に着いてしまった。
測量結果は、ロッポ中尉が作成してくれるし、全体的な報告書は、エトワールが作成してくれるってゆうから、僕はやる事がない。
よろしくお願いしますと、二人と別れる。
名残り惜しい気持ちは、あるけど、皆とお別れです。
これからは、別行動です。
私用の連絡先を交換しあう。
ショコラちゃんが、別れたくないと泣いて抱きついてきた。
このままでは帰れないので、ジャンヌとアンネに腕を掴まれ、連行されていった。
男子達とは、抱き合うわけにはいかないので、握手でお別れする。
僕の手が、小さくて柔らかいと驚かれる。
皆の中で、どんだけゴツいイメージされてるのだろうか?
「師よ、いつか道場を立てて迎えに行きますから。」
レイ曹長よ、期待しないで待ってます。
「おう、俺も、対等になったら迎えに行くぜ。それまで待っててくれ。」
クール曹長、待ちませんから。
「もう、貴女とは、二度と会いたくありませんが、色々とお世話になりました。」
うんうん…君もお疲れさま、フォーチュン曹長、皆のレッド合格よろしく頼むよ。
「じゃあ、またな…。」
ルフナ曹長、さようなら、またね。
…
…ルフナさん、手を離してくれないと帰れませんが。
バイバイと、皆に手を振って、別れる。
そして、僕一人だけになった。
一人になるのは、いつもの事だから、寂しくはない。
…キュッと、頭の上で鳴き声がした。
僕が此処にいるよと存在を誇示している。
あっ、シロちゃんがいたね。ごめんごめん。
一緒に家に帰ろうか?
…
「ただいまー!」
元気良く声を出して、自宅の扉を開けて中に入る。
あれ…これは、なに?
中は、戦場のようだった。
な、な、なにこれ?
まるで、泥棒に入られたように、あらゆる物が散乱し、中に入りこみ台所を見ると、シンクは使い終わった食器で埋もれている。
戸棚には、ほぼ食器が無く、台所の至る所に鍋やフライパンが放置されている。
室内は足の踏み場が無い。
ゴミを捨ててない。袋が山となっている。
掃除など一回もしてないのだろう。
埃が溜まっている。
しばし、…茫然とする。
ハッ、ペンペン様は?ペンペン様は何処に?無事?
居間では、テレビがついていて、ハン国ドラマが映し出されている。
その前に、ゴミに埋もれながらペンペン様が、テレビを見ていた。
「ペンペン様、無事ですか?」
ゴミを掻き分けながら、近づいて声を掛けた。
「キュウ?クウー。」(お腹空いた、ご飯まだ?)
一瞬だけ、こちらを向くも、直ぐにテレビドラマを見始める。
良かった、無事だ。
いつものペンペン様だ。
横に、空になった蜂蜜の瓶が転がっている。
「御免なさい、ペンペン様、直ぐに台所片付けたら、ご飯にしようね。」
待っていてくれた。
「ペンペン様、只今帰りました。」
待っていてくれる人が居ると嬉しい…ペンギンだけど。