表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アールグレイの日常  作者: さくら
アールグレイの冒険
22/615

指定依頼

 制服に袖を通す。

 黒地に赤ラインの制服だ。ああ…僕、レッド(士官)になっちゃったよ。ちなみに准尉なので階級章に星は、まだ付いていない。

 階級が変わろうと、働かなければ食ってはいけないのは世の理である。この理に外れることができる者は、扶養されてるお子様と、働き終わった御隠居様だけである。

 かくいう僕も労働者のゴールである定年退職からの年金生活を補助とした自給自足のスローライフが夢だ。そのために若いうちから年金を積み立てしている。

 夢がかなうといいなぁ。

 

 さて、今日も依頼を受けにギルドに来ている。

 前回の件以来、指名依頼が増えた。

 今までは悪評から指名依頼など無きに等しかったが、どうやらセイロン家の姫を守り通したことで、評価が上がったらしい。

 半自営業の身の上の僕には有り難い話であるが、スローライフを夢とする僕にはもったいない話ばかりなので、丁重に断り、原則週休二日制は堅持してます。

 よって、今日の依頼は、郊外の植物採取がよかろう。と思ったら、受付から呼び出された。

 受付嬢いわく、植物採取等の依頼は、グリーン(新人)やブラック(兵隊)の仕事で、せいぜいブルー(下士官)までの依頼で、レッド(士官)が取る仕事ではないと小言を言われた。

 初耳だ。と言い返したら、暗黙の了解です。と言われる。

 ならば規則に明記されてないならば良いではないか。と言い返すと、レッドの指定依頼受忍義務を明示してきて、山ほど指定依頼を持って来たので降参した。

 受付嬢が、ニッコリ笑顔で指定依頼の中から一件選んでくれた。

 端末からデータを画面上にだす。

 こ、これは、貴族の10歳児童の護衛任務…。

「アールグレイ准尉は、貴族の接し方が上手いと評判ですから、きっと貴族様にご満足いただけると思います。指定依頼を受けるとギルドと准尉の評価もあがります。期待してます。」

 言葉も返さないうちに、勝手に受注扱いして、「次の方〜。」と他のギルド員を呼び込んで話しを終わらせている。

 まだ受けるとも言ってないのに、何という押しの強さだ。

 呆然と佇みながら、仕方なく詳細データを読み込む。


 期間:一週間

 対象:キャンブリック・アッサム10歳

 

 アッサムは、現都市王を輩出している名家中の名家だが、キャンブリック君の家は、中央から若干外れている。

 それでも僕からみれば、雲の上には変わりなく、ランクでいえば、侯爵よりの伯爵といったところだ。

 トビラ都市の衛星都市を領土に持つ辺境伯の次子で、一週間の都市見学中の護衛が任務だ。

 むろん護衛はいたが、歓迎に出された牡蠣に運悪く当たり、身動きできない状態らしい。そこで、規律の厳しい西門ギルドに依頼を出したようだ。

 添付されている写真には、利発そうな顔立ちの子が写っていた。茶色の髪が長い。女の子?


 うーん、子供の世話は、ちょっと苦手かも。

 それとは別に、なんだかやな予感がするよ。

 今世、僕の勘は良く当たるのだ。

 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ