ミステリアス
僕、女性なのに女心が、良く分かりません。
これは、女性としては由々しきことではないでしょうか?
これを、このまま放置してはいけない。
なにより謎問題過ぎます。
探知、知覚、情報を重要視する僕の信条としては見過ごすことは不可。
又、逃げることは否としたい。
さすれば、合理的に考えていきましょう。
僕とショコラちゃんは友達。
ショコラちゃんとアントワネットは友達かも。
僕とアントワネットも友達かも。
僕とアントワネットが仲良くしてたらショコラちゃんは怒った。
ショコラちゃんとアントワネットが仲良くしてても、僕は怒らない。
でも、僕だけ仲間外れにされて、仲良くしてたら、少し寂しいかも。
うんうん…多分、ここら辺が鍵。
つまり、ショコラちゃんは、自分を仲間外れにして、僕とアントワネットが、仲良くしていると勘違いして、怒った…。
うん、これですね!
よし、確証を得る為、分かってそうなアントワネットに聞きに行こう。
ショコラちゃんに直接聞いては、なんだかダメな気がするし。
…
「…少尉殿、その解答は、全然ダメです。それは合理では解決しません。感性の問題です。直接、ショコラ様に聞きに行かないのは、懸命でした。」
テント内に居たアントワネットの元には、ダルジャン曹長もいて、一緒に聞いて、回答をくれた。
えー!合理的な理由が無いのに、僕、怒られたの?
「少尉殿、世の中、合理では解決しない事の方が多いではございませんか?合理的に解決できる問題は、どちらかと言うと、たやすき問だけです。」
確かに、ダルジャン曹長の言うことは、ごもっともです。
「ショコラ様のお怒りは、どちらかと言えば不合理です。でも、少尉殿は見られた時、マズイと感じられたはずです。」
はい、その通りです。
「少尉殿の、その感性は正しいです。ご自分の感覚を信じることです。…どうも、少尉殿は男性的で合理的な見方が強いようですね。私には理解できますが、他の女性陣からは理解を得るのは難しいでしょう。よろしければ、このダルジャンが、少尉殿のご相談に乗りましょう。」
本当?ダルジャン曹長、ありがとう。
「それでは、まず一つ御指導致しましょう。少尉殿の相談役に就任するにあたって、まず私に対する呼び方が固いです。相談しやすいように呼び方は、愛称で呼ぶのが良いかと思います。さあ練習です。私のことは、ジャンヌとお呼び下さい。」
何だか、急に愛称で呼ぶ事になった。
ちょっと恥ずかしいです。
「恥ずかしくはありません。これも修練の一環だと思って下さい。さあどうぞ、私なら気にしませんから。さあ。」
ダルジャン曹長が、凄い積極的に協力してくれる。
前から思ってたけど、何て良い人なんだろう。
「…ジャンヌ。」
「はい!ジャンヌでございます。さあ、もう一度。」
ジャンヌさん、何だか呼ばれて、凄く嬉しそう。
僕の方は、何だか、とても恥ずかしいです。
多分、僕、赤面している。
「でも、ダルジャン曹長、歳上の女性を、役職や階級ならともかく、愛称を呼び捨てでは失礼ではないかと…。」
「Non、Non、Non!私が良いと言ってるのですから、良いのです。さあ、もう一度、鉄は熱いうちに打てと言います。私の名を呼び捨てで、呼んでくださいませ。」
うう…やっぱり恥ずかしい。でも協力してくれるジャンヌさんの為にも言わなくちゃ。
「…ジャンヌ。」
面と向かって言えなくて、小さく呟くように言う。
「はい!少尉殿の生涯の友、ジャンヌでございます!」
チラリと見るとジャンヌさんのお顔が喜びではち切れんばかりの笑顔だ。
まるでコリーのような大型犬が尻尾を振っているかの喜びよう。
何でそんなに嬉しそうなの?
ジャンヌさんの隣りにアントワネット曹長がいるけど、スッカリ貴族の傲慢さが鳴りを潜めて、ジャンヌさんの影に半分隠れて恥ずかしげに黙っている。
でも、クイックイッとジャンヌさんの袖を引いている。
ジャンヌさんが、それに気づいて、二人でコショコショと話しをしている。
何だろう?気になる。
「コホン、少尉殿、アントワネットが申しますには、私も愛称のアンネと呼んで欲しいそうです。」
えー、でも、でも、良いの?
「少尉殿、ご逡巡は最もですが、女性陣で一人だけ名前を呼ばれない気持ちは、想像できるでしょうか。」
うっ…そ、そうだよね。
「ア、アンネ。」
そう呼ぶと、アントワネット曹長がコクコクと嬉し気に頷く。
「それでは、私達二人共、ショコラ様と同じように、これからも宜しくお願い致します。」
ジャンヌさんとアンネさんは、僕に対し、正座して頭を深々と下げてきた。
それを見て、僕は何かを、二人に了承してしまったと感じた。
もしかして、僕、何か失敗した?
急に僕は不安になる。
僕の不安感が顔に出たのかも知れない。
ジャンヌさんが、もう一度、深々と頭を下げた。
「少尉殿、騙すような気分にさせて、申し訳ございませんでした。二度とこのようなことは致しません事を誓います。」
そして、二人共、一旦立ち上がると僕の両脇に来て座った。
ち、近いです。二人共。
僕の両腕に手を巻き付ける程に近い。
「大丈夫です。ショコラ様からは了解を得てますから問題ありません。以後は、私達が少尉殿を護りますから、お心を煩わすことはありません。それから心の中でも、ちゃんとジャンヌとお呼び下さいませ。」
ジャンヌが直近から、僕の左耳に囁く。
何だか、心の中を見透かされてるようです。
「少尉殿とは勝負中ですよね。私が勝ったら、お願い聞いてもらいます。もし負けたら、私、少尉殿のお願い何でもききますから。アンネと呼んでください。」
アンネが直近から、僕の右耳に囁く。
かなりパーソナルスペースが近いような気がしますがと、ジャンヌに聞くと、女の子同士なので問題無いそうです。
それでも、ちょっと近いのではと言うと、少尉殿は私達の事、嫌いなのかとアンネが哀しそうな顔をするので、嫌とは言えなくなってしまった。
友達だよねと聞くと、二人共、もちろん友達ですと答えてくれる。
うーん、友達、たくさん出来ました。…嬉しいな。
でも、友達って、こんな濃厚な感じなのかしら。
前世を通じて、こんなに歓迎されたのは、初めてで戸惑ってしまう。
ジャンヌは、割と公正に答えてくれそうなので、聞いてみた。
「そうですね。正直にお答えますと、普通と違います。他の方達は分かりませんが。私に関して言えば、少尉殿に対し、尊敬と敬愛、高揚と熱狂、萌と推し、支持と信頼、崇敬と畏怖などなどが入り混じった気持ちでして、これは君主に仕える騎士の気持ちに似て非なり、教皇を崇拝する信徒の気持ちに似て非なる…なんとも形容の出来ない気持ちですが、少尉殿の近くにいると幸せな気持ちになって、愛でて護りたいと思うのです。ですから少尉殿と友達になるなんて、感動と感涙の極みです。」
ジャンヌの想いが重い。
僕、そんなに大した者では、ございませんが。
うう、いつか落胆させそうでプレッシャーです。
「ジャンヌ、そんな風に言ったら少尉殿にストレスだよ。失敗は誰にでもあるから気にしないで。私は少尉殿が失敗しようがしまいがどうでもいい。でも助けが必要なら手を貸すから。」
何故アンネから、こんなに支持されてるのか分からないけど、ありがとう。
友達増えた。嬉しいな。
ちょっと濃いけど。
友達と言えば、殿下やギャルさん、今頃どうしているだろうか?