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アールグレイの日常  作者: さくら
天竺行路
187/615

BQ

 ルフナが、ダルジャン曹長に説教されている。



 それを傍目に観ながら、バーベキューを食す。

 因みに鉄板は、僕が土の中の砂鉄を凝縮して創りました。

 …美味し、美味し。


 うんうん…まあ、仕方ないよね。…モグモグ。

 これは禊ぎです。様式というものです。

 彼女達もお風呂を覗かれて、何も無しでは感情的に納得は致しかねるのでしょう。


 ルフナは何も悪くない。

 分かっています。僕も皆も。

 でも善悪の問題では無いのです。


 実際、湯煙でそんなにハッキリとは見えてないはずです。

 一番の被害者は、立ち上がってお湯から半分以上出ていた僕だけで、他の人は湯船に浸かっていたし、ショコラちゃんも胸を僕に押し付けてたから、見えて無いはず…多分。


 ならば、被害者の僕が赦すと言うので、赦して欲しいと、あらかじめ彼女達全員に言って伝えてある。

 彼女達だって本心では許しているはず…だって今日一日共に修練した仲間だもの。


 でも直ぐに許しては、貴族の淑女として、未婚前の乙女としては、沽券に関わるらしい。

 貴族の格が、女性の価値が掛かっている。

 もし、これを無視すると大変な事になる。


 もし、蔑ろにするならば、その報いは100倍返しで戻ってくるので、誰も反対意見すら言う事はない。

 過去には、一言冷やかしただけで翌日川に浮いていた事例や、無礼打ちで、その場で真っ二つになった事例など、枚挙に暇がない。


 貴族の乙女の肌を見た者は、責任を取らねばならない。


 今回は、平民の僕が被害者で、他の彼女達に関しては未遂扱いと全員に言い含めた。

 でなければ、大変な事になってしまう。


 ダルジャン曹長も、さっきから、私達は見られて無いから良かったもののとか、アールグレイ少尉殿の格別の計らいと大いなる慈悲によりとか、償いとして一生涯あなたが、少尉殿に忠義を貫き通す旨の念書を書いたからとか…繰り返し、同じことを言い含めている。

 まるで両者で、契約を再確認してるかのよう。


 最後の項目は、僕以外の女子達で話し合って決められた。

 しかも、それをルフナがあっさりと即座にその場で了承した。

 なんでやねん?

 え?いいの?あわわわ…。

 君、自分の一生が掛かってるんだよ。考え直しなよ、僕なら平気だからと説得してもルフナ曹長の意思は変わらなかった。


 なんで?


 いくら、償いの、形だけとは言え、一生僕に仕えるとか約束するの嫌でしょうに?とショコラちゃんに相談したら、真面目な顔で、これは御褒美になってしまうかもしれませんねと回答して来たから、もう、訳が分からない。


 こうして僕に、アール・グレイ家に、家来が一人出来てしまいました。


 だいたい、僕、見られたと言っても、肝心な処はショコラちゃんが隠してくれてたし、上は、ダルジャン曹長と密着してたから見られてないし、見られたのは、通常、水着で着てる以外の処だけだよ。背中とか肩とか横腹とか…それなのに。

 頭を抱えてしまうよ。


 …



 僕は、今、ロッポ中尉が焼いてくれたトビラ焼きを、ショコラちゃんが切り分けてお皿に乗せてくれたので、それを食べている。

 モグモグ…美味し。

 前世のお好み焼きに近い。中に色々入っていて美味し。


 ロッポ中尉は、何でも出来るなぁ。

 きっとロッポさんは、家では良いお父さんに違いない。

 聞いたら、娘さんが5人いて末っ子に待望の男の子が産まれたとかで、まだ小さいから、まだまだ現役で働かなければと、ワイン飲みながら笑っていた。


 今回の依頼は、突如、黒山羊様が現れたとか、家来が出来てしまったとか初日からアクシデント盛り沢山。

 でも、総じて大当たりの依頼です。

 皆んなに、会えたし。


 食事に関しては、冷却魔法で食材を保存管理してくれてるウバ君と、何でも出来る技能持ちのロッポ中尉のお陰である。


 僕は、食べる前に合掌して、…感謝しました。




 僕は、ほどほど食べ終えると、説教を未だ継続しているダルジャン曹長とルフナと一緒に食べようと誘いに行った。

 だって、美味しいものは皆と一緒に食べると、もっと美味しくなるのを、僕は知っている。




 食べ終えた後は、今日一日の反省の場を設けた。


 すると、山岳トレイルは、皆かなり辛かったらしいと判明した。これはなんとロッポ中尉も同意してたから本当の話しらしい。

 うん…僕、初めて知りました。

 もしかしたら少し辛いかな位しか認識してなかった。

 僕、…反省します。


 自分を基準にしてはならぬと認識する。

 対策として、…相談だ。相談して、意識を認識を正しく調整しよう。


 でも、それはそれとして基礎体力は付けないといけないから、出来れば毎日同じくらいは走ろうねと、あらかじめ皆に言っておく。

 そうだよねと、右横に居るショコラちゃんに相談したら、まあ少尉殿、私達の為にありがとうございますと涙目になりながら賛同してくれた。

 うんうん…早速反省した効果あり。僕、周りの気持ちを相談して確認しました。…喜んで同意してくれているし。僕も同じ気持ちで、とっても嬉しい。


 みんな、頑張ろうね。


 僕、飲んではないけど、抜栓したワインの匂いに酔ったみたいです。

 何だか良い気持ち。

 いつもは無口だけれども、今日はなんだか、滑らかに喋れました。

 

 …



 以前、ギャルさんに習った結界を張り、魔力を流す。

 清浄な空気以外は、通り抜けは出来ないので、見張りの必要が無くなる優れものなのです。

 テント内で、お先に気持ち良く就寝に着いた。

 横になりながら、ペンペン様、ちゃんとご飯食べてるかなと、自宅に想いを馳せる

 …いつの間にか寝ていました。


 朝、起きたら右側にエトワール、左側にショコラちゃんが、寝ていた。更に僕の足元にダルジャン曹長、頭の方にアントワネット曹長が寝ている。

 テント内は、結構広いのに、僕の周りに密集している。

 何故?



 昨日の夕食後の反省会、途中から記憶が抜けているので、皆に聞いたら、「徹底的に反省しなければ、先には進めない。反省しないから同じ失敗を繰り返す。過去を想い、未来を予測し、現在を歩く、それが私達、ギルドのレッドなのです…。」

などと、僕、何やら持論を展開してたらしい。

 ショコラちゃんから、ダルジャン曹長から、他にも、持論を述べたお礼を言われたけど、全く覚えていない。


 …恥ずかし過ぎる。他者にこれ見よがしに、上から目線で高説を述べるとは…僕、何様ですか?

 恥ずかし過ぎて、人が見ていないのを確認してから、頭を抱えて七転八倒して悶え苦しむ。

 昨日の僕、何してくれちゃってるの……。


 …この身体は、アルコールに弱いことが判明しました。


 …いろいろと反省です。



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