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アールグレイの日常  作者: さくら
天竺行路
175/615

自由闊達

 何でもお試ししてもOKなんだ…。


 心が軽くなる。

 僕の自由自在なんだ。


 そっかぁ…何をしても良いのか。


 空を見上げる。

 空は、宇宙に通じている。何処まで行っても果てが無い。


 風が吹いているのを感じた。

 僕らは、本来、もっと自由なんだ。

 誰からも束縛されず、誰をも畏れず、己れを貫き通す。



 身体から力を抜く。

 息を吐く。リラックスです。

 動かない…でも…




 僕は、光りの一閃を放つ。


 放ったのは、先程拾っていたキームン曹長の匕首です。


 キームン曹長が、先程の模擬戦で見せた薙刀での光りの様な一閃、あれは見事だったな…うんうん。


 だから、僕も無拍子からの一閃。

 何の準備動作無しの、ただ速さのみに特化した攻撃。

 これは、素晴らしい…シンプルイズベスト。


 ただ、正確さも頓着しなかったので、フォーチュン曹長の右頬を掠めて、あさっての方向へ飛んでいってしまいました。

 ああ、さようなら。多分あの匕首は見つからないだろう。


 フォーチュン曹長は、動かず。


 むむ…見切られましたか…それにしても一歩も動かずとは、胆力も凄いや。

 僕は、フォーチュン曹長の真後ろで、そう考える。


 …



 え?何で後ろにいるかって?

 それは…跳びましたから…一瞬、曹長の目が、匕首に逸れたので(光りのような速度で進む匕首を見ることができるとは凄い。)…その隙に、ジャンプして月面宙返りして、静かに曹長の後ろに降り立ったのです。

 人も、速さだけに特化すれば、この程度の芸事は可能であることが、分かりました。

 フォーチュン曹長の真後ろに降り立てたのは、偶然です。

 ですが、戦いは偶然も実力のうち。


 きっと、これは傍目から見ていてブルー達も、10.0の点数を出してくれる程の出来前ですね…えへん。

 この芸当は、猫のように身体が柔らかくないと無理ですから、良い子は真似しないようにね。


 きっとフォーチュン曹長の眼には、僕の姿が消えたように映ったに違いない。


 僕の心臓がエンジンの様に鼓動する。

 後ろにいるのバレてるかな?それともバレてないかな?


 フォーチュン曹長は、まだ動かない…。


 ドキドキ…ドキドキ。



 きっと、彼は、僕対策に奇想天外な一手を打ってくるに違いない。…なんて楽しみなの。



 ドキドキ…ドキドキ。



 ま、まだかな…。



 ドキドキ…ドキドキ。





 「……ま、負けました。…もう無理っす。」

 こちらを、振り向きもせず両手を上げて、フォーチュン曹長は降参した。


 え?ま、また…?

 またですかー!?



 




 

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