自由闊達
何でもお試ししてもOKなんだ…。
心が軽くなる。
僕の自由自在なんだ。
そっかぁ…何をしても良いのか。
空を見上げる。
空は、宇宙に通じている。何処まで行っても果てが無い。
風が吹いているのを感じた。
僕らは、本来、もっと自由なんだ。
誰からも束縛されず、誰をも畏れず、己れを貫き通す。
身体から力を抜く。
息を吐く。リラックスです。
動かない…でも…
僕は、光りの一閃を放つ。
放ったのは、先程拾っていたキームン曹長の匕首です。
キームン曹長が、先程の模擬戦で見せた薙刀での光りの様な一閃、あれは見事だったな…うんうん。
だから、僕も無拍子からの一閃。
何の準備動作無しの、ただ速さのみに特化した攻撃。
これは、素晴らしい…シンプルイズベスト。
ただ、正確さも頓着しなかったので、フォーチュン曹長の右頬を掠めて、あさっての方向へ飛んでいってしまいました。
ああ、さようなら。多分あの匕首は見つからないだろう。
フォーチュン曹長は、動かず。
むむ…見切られましたか…それにしても一歩も動かずとは、胆力も凄いや。
僕は、フォーチュン曹長の真後ろで、そう考える。
…
え?何で後ろにいるかって?
それは…跳びましたから…一瞬、曹長の目が、匕首に逸れたので(光りのような速度で進む匕首を見ることができるとは凄い。)…その隙に、ジャンプして月面宙返りして、静かに曹長の後ろに降り立ったのです。
人も、速さだけに特化すれば、この程度の芸事は可能であることが、分かりました。
フォーチュン曹長の真後ろに降り立てたのは、偶然です。
ですが、戦いは偶然も実力のうち。
きっと、これは傍目から見ていてブルー達も、10.0の点数を出してくれる程の出来前ですね…えへん。
この芸当は、猫のように身体が柔らかくないと無理ですから、良い子は真似しないようにね。
きっとフォーチュン曹長の眼には、僕の姿が消えたように映ったに違いない。
僕の心臓がエンジンの様に鼓動する。
後ろにいるのバレてるかな?それともバレてないかな?
フォーチュン曹長は、まだ動かない…。
ドキドキ…ドキドキ。
きっと、彼は、僕対策に奇想天外な一手を打ってくるに違いない。…なんて楽しみなの。
ドキドキ…ドキドキ。
ま、まだかな…。
ドキドキ…ドキドキ。
「……ま、負けました。…もう無理っす。」
こちらを、振り向きもせず両手を上げて、フォーチュン曹長は降参した。
え?ま、また…?
またですかー!?