選択
前世の若い時の記憶を思い出す。
何しろ、僕は人一人の一生の記憶を持っている。
その時々に感じた様々な感情も覚えている。
前世の若い時分は、決められたこと、マニュアル、基礎、基本、教科書、啓発本を毛嫌いしていた。
決められたことを好まない。アドバイスを聞きたくない。
何の根拠の無い自負が、未確定の未来がそうさせていたのかもしれない。
後年、本に関してだけは、本に貴賎はないと反省して、更に幅広く読むようにはなったけど、その気性は終生変わらなかったと思う。
僕は、別に前世の僕の悪口を言ってるわけではない。
それどころか、僕は彼を尊敬しているかもしれない…これも自画自賛のうち入るのかな?
自分で自分の事を誉めてると考えると…なんだか恥ずかしい奴みたい。
前世の僕、彼の定跡を好まない….その気性は、恥ずかしながら僕にも受け継がれてる。と、思う。
魂の系譜。鷹は、死んだ後も鷹…。
いろんな言葉が思い浮かぶけど。
同じ魂なのだから、別人でも似る処はあるのだろう。
うんうん…直さねばならないね…この悪癖は。
…困った困った。
臆病なのに未知を好むとか全く真逆の性向、矛盾しているよ。
ん…でも、アクセルとブレーキと考えれば、矛盾はないんじゃ無いの?
なるほど…要は使い方次第なのかな。
今日は訓練…失敗しても大丈夫。アクセルを踏む時?
たしか、失敗は訓練の時にしといた方が良いとも聞いたことがおる。
ジッと、フォーチュン君を見る。
フォーチュン君は動かない。
これは、…もしかして、やりたい放題だよね?
きっと彼の実力ならば、きっと何をやっても大丈夫。
大丈夫ったら大丈夫。
僕なりの[水手]対策というか、フォーチュン曹長、僕を対策してみるがいい。