KO
倒れて起き上がらないルフナの元に、エトワールが、トコトコと走り寄る。
エトワールは、少しの間、ルフナの顔を見下ろして、僕の方に向き直ると、手を振ってバッテンを作って示した。
その後、ブルー達に指示して、ルフナの身体をロッポ中尉達の横に運んで行った。
え?あれれ…。
え、えーー!終わり?
あんだけ期待させといて、終わり?
それは無いでしょう。
なんであろう…この憤りは。
沸々と身体中から湧き出すこのエナジーをいったい誰にぶつければよかろうか?
分かっている。ルフナは悪く無い。ルフナは悪く無い。
自分に言い聞かせる。
全身が蒸気を巡らせるタービンの様だ。
やる気になったエナジーが身体中の穴という穴から噴き出すようだ。
……口から息を細く長くはき出していく。
フーーーー ーーーッ
ギッと、ブルー達を睨む。
「フォーチュン曹長、前へ!」
「えーーー!…オレ?」
あからさまに嫌々と、フォーチュン曹長が、何で俺がぁと何度も呟きながら前へと出て来る。
失礼ながら、あなたに拒否権は無いのですよ。
これは八つ当たりでは無い。うんうん…きっとそう。
僕は、自分を肯定するよう頷く。
実は、フォーチュン曹長の実力を、僕、未だに把握できていない。未知数です。だから暫定的に序列を第4位にしてるだけ。
僕は、疑っている。
実のところ、フォーチュン曹長の実力は僕を凌駕しているのではないかと。
多才なのは分かっている。
普通呪いなど、白兵戦でつかわないよ。能力高いのは分かっているのに発揮するのを、まだ見たことがない。
せいぜい、走っている時、後ろから僕のお尻の辺りをジロジロ見て、近づこうとする気力ぐらいしか、未だ実力を見ていない。…残念な気力の使い方。無駄使いです。
怪しい…怪しすぎる。
ズバリ、陰の試験官って君じゃないのかな?
君の本当の実力を引き出して、見破ってやるぞ。