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アールグレイの日常  作者: さくら
天竺行路
156/615

アールカレー

 うむ。カレー美味し。

 目を瞑り、味を堪能する。


 なんてゆーか、文明崩壊から5000年経つのに、変わらぬ味です。よくぞ、この長い年月を生き残ってくれたと褒め称えたい。

 僕が王様だったら、カレーの美味さに爵位をあげちゃうね。伯爵くらいでちょうど良いかな。個人的に真ん中辺りが好きなのだ。中道と言うやつです。

 アールは、元は伯爵という意味だったらしい。

 だから、カレーは、アールカレー?

 うん…ちょっとシックリこないかな。

 今の話しは、無しで…モグモグ、ゴックン。


 やっぱりカレーは辛いのが美味しい。

 芋がゴロゴロしてて、牛肉の挽肉を入れて 隠し味にツユの元入れたら僕好みの味になります。


 飲み物は、冷えた牛乳が飲みたい。

 でも、流石に持って来ては無いだろうけど。


 「お飲み物を、どうぞ。アールグレイ少尉。」

 「ありがとう。ちょうど飲み物が欲しかったんだ。」

 しかもグラスに入った冷えている牛乳でした。

 なんて、気が利いている。誰?


 受け取りざま、お礼を言いつつ顔をみる。

 ニコリと笑ったショコラちゃんでした。

 「いいえ、こちらこそ料理のご指導ありがとうございました。」

 ショコラちゃんは、僕にキチンと対面して頭を下げてお礼を言いました。


 しからば、僕も、スプーンとグラスを置いて、立ちあがり礼を返す。

 「こちらこそ、どう致しまして。」


そして、魔法で隣りに椅子を作り、ショコラちゃんに勧めた。どーぞ、どーぞ。

 僕自身はズボラだけど、礼儀正しい子は好き。

 だって、見てるだけで、気分が晴れ晴れとして来ませんか?


 僕がショコラちゃんに教えたのは、料理前の手洗いと、手を切らない包丁の使い方だけ。

 あとはショコラちゃん達に指示してやってもらいました。

 正に一を聞いて十を知るような優秀さで、見本を見せれば、直ぐ覚えてやっていただいたので、非常に楽でした。

 

 食べながら、訓練方法について話したり、話題のデザートについて話したり、ラーメンについて…

 いやいや、この子凄いよ。どんな話題にも付いてくるし。

 どんだけ幅広い知識持ってるのさ。

 僕なんか興味ある事さえ、浅薄な整理されてない知識しか持ち合わせしてないし、こちらが恥ずかしくなってしまうよ。

 やっぱり貴族って凄いんだなぁ。


 逆にショコラちゃんの興味あるものを聞いてみた。

 だって僕ばかり話してるからね。

 これも一つの礼儀だと思う。

 すると、初めてショコラちゃんは言い淀んだ。

 チラチラと僕を見る。

 「そうですね。今、興味あるのは…ズバリ、レッドに相応しい実力を、どう付けるかですかね。」


 ハラショーです。流石ショコラちゃん。

 そこまで考えに至っているのであれば、近々身に着くに違いないですよ。

 でも、そうですね。教えたり、お助けすることは難しいですけど、考えの参考になる一助くらいは、僕でも見せられますから、午後からは、そのつもりで見てて下さいね。


 「はい、ジックリと見さして頂きます。」

 うんうん…良いお返事です。

 ショコラちゃんがレッドに上がって来るのが待ち遠しいです。そしたら僕達、対等の友達になりますよね。


 ああ、これが幸せなのかなぁ。

 何だか胸のうちが暖かくて、良い感じです。

 無意識に笑ってしまう。

 部下の前では、無表情に徹しなければならないのに…。


 「あっ……。」

 ショコラちゃんは、僕を見て、言葉にならない声を出して、真っ赤になってしまった。

 どうしたの?もしかして具合悪い?超心配ですよ、僕。

 思わず近づいて、オデコに手を当てる、熱無いよね。


 「ひっ…。」

 ますますショコラちゃんの様子がおかしい。

 女の子同士だから、オデコ触っても支障ないよね。

 「大丈夫?シッカリして。」耳元で囁く。


 「あっ…もうダメ。」

 ショコラちゃんは、一言言うと倒れそうになった。


 「ブレイク!離れて。」

 そこへエトワールが、突然現れ、僕とショコラちゃんの間に割り込んだ。

 何故か気絶しかかっているショコラちゃんを、ダルジャンとアントワネットが抱きかかえ、介抱している。


 え? 

 この後、エトワールから淑女のなんたるかにつき、わけの分からぬ説教を受けた。

 要は、笑ってはならぬと言いたいらしい。


 学生時代、同部屋の友達から言われた事を、思い出す。

 で、でも、ショコラちゃん達も淑女だけど、結構微笑んでたよ。そ、それに、もうショコラちゃんは友達みたいなものだし…。

 と、反論すると、それはそれ、これはこれと、又もわけの分からぬ説明をしだす。

 君、本当は天才じゃなくて、頭わるいだろ。


 とにかく、貴族様方は、あからさまな感情表現に慣れていないのかもしれない。

 むっ、ならば、これならどうだ。

 少しだけ、はにかみながら微笑んでみる。


 「はぅっ…。」

 今度は、エトワールが倒れ掛かった。


 な、何故に…?



 


 

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