表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アールグレイの日常  作者: さくら
アールグレイの生活
15/615

銃撃

 弾痕が、ブスブスと車の天井に出来る。

 それも…何発も。

 

 天井が、現在進行形で、凹んでいきます。

 これ…撃たれてます?


 周囲の状況を把握する為、周りを見渡す。

 道路は、夕方の帰宅時間で渋滞中…車では身動きがとれない。歩道も人で一杯で。

 夜は、一部を除き真っ暗となる為、この時間は、帰宅を急ぐ人達で渋滞するのだ。


 運転中の蒼星が、少佐に、「渋滞で前に進めません。」と言ったら、少佐が、「あちらに広い道があるではないか。」と歩道を指差していた。


 マジか?!この少佐。

 そのお言葉に、少佐のお顔を振り向いてしまった。

 真面目な顔で冗談を言っているような顔ではない。

 ヤバイ、この少佐、マジモンだ。


 古今東西、似たような言葉を吐いた者は、何人も居るが、僕の知る限り、全員碌な死に方をしていない。

 もっとも人はいつか死に行く者だけれども。

 もしかして、今回、少佐に加担している僕って悪人側の方?

 だとすると、正義側の主人公から滅ぼされかねない。


 少佐のあまりの言葉に、流石に運転している蒼星も絶句して、躊躇している。

 大丈夫、あなたは正常です。


 しかし、このままの状況もまずい。

 打開しなければ、包囲されて袋叩きの刑は、目に見えている。


 まずは、情報収集。

 僕は小さく呟く。

 「search。」

 索敵魔法の波紋を打ち、魔力の輪が広がっていく。


 ん…感じた、パターン赤、一個中隊規模。

 僕の顔色が変わるのが分かる。


 マズイマズイマズイ!


 きっと、さっきの弾痕は勇み足で、未熟者が撃ったに違いない。または降参勧告の威嚇?

 「少佐、右前方地下鉄出入口。」

 僕は、出入口へ向かうよう指し示す。


 少佐に対し無礼は、承知の上、僕の命の尊さには代えられない。


 少佐は間髪入れず、ドアを開けると同時に、令嬢を引っ張り、車から飛び出す。

 何故か令嬢にずっと手をつながれてた僕も引っ張られる。


 僕は、とっさに後方に防御壁と身体に防御膜を張った。

 勘だ。

 こういう時の勘には、逆らわない。

 魔力の無駄使いとは、思わない。


 張ったと同時に、何発か防御壁に当たる音が聞こえた。跳弾となりベクトルを変えて、どっかに飛んでいったと思う。


 ひゅーー  ドドドドドガガガがゴン!!


 一瞬後に、先程とは比べることも出来ない程の強弾が、ガトリング弾の如く車を貫く。

 全損です。

 車は、穴だらけとなり、ガソリンに引火して爆発した。

 おそらく鉄鋼弾を魔法の力を上乗せして飛ばしている。

 敵は一個小30人、一人5発飛ばしたとして150発の鉄鋼弾の嵐だ。ひとたまりもない。


 敵に未熟者がいなければ、僕ら終わってたよ。


 運転席にいた蒼三さんは、間一髪で逃げたけど、何発か当たってた。動かない。運が良ければ助かるだろう。

 助手席にいた蒼一さんは、初動が遅れ南無三である。

 彼は位置も悪かったが、運も悪かった。


 運も実力も、どっちも必要だ。




 僕らは、ひとかたまりとなり、地下鉄の出入口に雪崩れ込む。


 残りの護衛で、出入口を守るだろうが、時間稼ぎがせいぜいだろう。

 少佐が走りながら、無線で応援を依頼していた。

 どうやら、いくつも応援部隊を待機させてるようだ。


 流石、少佐。

 流石だけど、今回な依頼は、命がいくつあっても足りないような。


 10日間分の報酬では、全く割りにあわない。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ