崩芽
砂漠の只中の岩礁の影で、一人、雲一つ無い晴天の青空を観ている。
滅びを待っている。
まだか。
まだか。
しかし なかなか滅びは来なかった。
祈った。
こんなくだらない世界など、滅べばよい。
それでも滅びは来なかった。
溜め息をつく。
滅びとは待っていても来ないものらしいな。
こんなにも恋い焦がれても現れないとは、現実とはなかなか
しぶといものだ。
だが、思えば何もしていない。
祈るだけで 想いが叶うなどとは御伽噺の世界だけ。
現実はやはり厳しいな…ふふ。
能動的に行動しなければ、夢や願いなど叶わない。
そうだな。分かっていたよ。
ならば、意志を鮮明にし、組織を作り、システム化しなければ。
だが、既存の組織やシステムではダメだな。
それでは、ダメだ。
例えば…あやふやで、とらわれず、みえず、まやかしのような、滅ぼす目的を共有できる雲のような自然現象を模するような組織が良いな。
鮮明なのに、捉えられない幻のような…
一つ、滅びの芽を埋めてみようじゃないか。
何事も試すのは悪くない。
失敗するのも悪くない。ただ、滅ぶだけの話しだ。
フッ…滅ぶまでに楽しむのも悪くはない。
そうだろう?