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アールグレイの日常  作者: さくら
天竺行路
135/615

模擬戦(残)

 華麗で豪華で豪快。

 迷いが無く、思い切りが良い。

 正々堂々と不意打ちで大斧を真上から、大上段で振り落とす。

 これ当たったら、真っ二つのアールグレイになっちゃいますね。あー大変大変。


 マリー・アントワネット曹長は、外れたのに不敵に笑う。

 「やりますわね、あなた、フフフッ…。」


 二人と一旦距離を置く。

 アッサム曹長の蹴りを受けた左腕が、まだ痺れている。


 途端に、高笑いしながらマリー曹長の鞭が飛んでくる。

 軌道が読めないなぁ。


 身体を丸めるようにアッサム曹長が突っ込んで来る。


 フォーチュン曹長の呪いが、僕に降り掛かる。


 前衛、中衛、後衛、揃い踏みの攻撃、連携の妙。

 ははは、凄い、凄い。




 はははは



アールグレイ少尉の顔が無表情になった。



 はは…つまらない。

 それが、あなた達の覚悟?


 今までの、あなた達から、一歩も踏み出さないで、僕に勝てるとでも、本気で思っているの?

 なんて、つまらない、時間の無駄。

 僕は、あなた達の本気が見たかっただけなのに。


 心が沈む。

 落胆した。あー落胆。落胆。

 いったい、あなた達はリスクも無しに、何を為すのか。

 少なくとも、前の子らは、足掻いていた。

 自分の限界を、越えようとする気概を感じた。



 小さくまとまって、小山の大将である、あなた達に問いたい。

 勇気とは何か?真剣とは?真実を知りたくないのか?

 遥かな先には何があるのか?


 そして、あなた達に冒険者を名乗る資格はあるのか?


 僕は、先へ、行くぞ。


   呪いは、爽やかなシャワーの時雨

   鞭は、そよ風のように優しく

   突進は、子犬が戯れるかの如く

   全て何ほどの事も無し


 詩を口ずさみ、ただ真っ直ぐに歩く。


 軸をブラさずに、ひたすら真っ直ぐ歩く事だけに集中する。


 途中で、アッサム曹長を跳ねる。吹っ飛ぶ。

 アントワネット曹長にビンタをかます。吹っ飛ぶ。

 フォーチュン曹長が足に引っ掛かる。吹っ飛ぶ。 



 吹っ飛んだ先で、もう、誰も動くものはいない。

 そして、誰も居なくなった。


 


 

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