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アールグレイの日常  作者: さくら
天竺行路
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ディープ・ブルー(前編)

 僕が、集合と声を掛けると皆、ワラワラと歩いて集まって来た。

 うんうん…なってないね。原則駆け足です。



 僕は、仕事中は意識して笑わない。

 学生時代、同室の子から、「アルは笑ったらダメ。後輩や部下から舐められるわよ。」とアドバイスを受けたからだ。

 僕は身体が大きいとは、言えないし、今世は女性だから、か弱いので、どうしても舐められ易くなるに違い無い。

 だから、仕事中、特に部下の前では意識して無表情だ。

 僕、クールに見えてるかなぁ。


 部下8人が僕を注目している。


 努めて無表情を装い、これからの行動を説明した。

 ちなみに一人多い事は、連絡ミスで、最初から8人であるとブルー達には説明した。

 余分な一名は、依頼人のオリッサ少尉であるとした。

 僕の、「今、疑心暗鬼を持たれては任務達成に支障を来たす。」との理由により為された提案にエトワールは、賛成も反対もしなかった。

 中尉は、同意はしてくれた。…よし。中尉が同意してくれたということは、少なくとも常識人の許容範囲内と分かる。


 ちなみに僕の勘では、人事部の手先が紛れていると踏んでいる。表の試験官がエトワールなら、裏の試験官が受験生に潜んでいるに違いないと。

 何故なら…僕でも、そうするから。


 常に複数の見方を確保するのは、基本です。


 その方が間違い無く真実に近づく。

 今回試験官側が、11人と人数によって、事故を明らさまにしたのは、僕の試験も兼ねているからに違いないと思う。

 でも全く支障は無い。

 試験官側の思惑などガン無視です。

 或いは利用出来るかもしれない。


 考えながら、今日一日の流れを説明していく。

 訓練も兼ねているとは、説明するが試験には、まだ触れない。

 さて、模擬戦の前に、ウォーミングアップかな。

 急に、激しい運動すると故障の元だからね。

 今日一日は、準備に入念に使う。



 彼らに興味を持とう。

 今まで僕は、自分自身の事で、精一杯だった。

 狭い範囲で、事足りていた。

 もっと、周りに気を配らないといけないかなぁと感じている。

 僕のsearchだって伸ばせば半径10kmまで範囲内で、通常100m以内ならば、searchを常時展開できる。

 そこまで、行かなくても周りに居る人ぐらいは、どんな人なのだろうと興味を持とうと密かに決めた。


 決めた事は、実行する。

 周りを見渡す。



 アリ・ロッポ中尉。

 髭面の強面のおじさんです。歳は、見た目40歳位。

 中肉中背、短髪黒色、測量技師、様々な技能持ち、一家に一台あったら便利そう。長男が、もう僕位らしい。子煩悩かな。

 良きかな、良きかな。

 多分、僕の事も、内心では子供と思ってるかも知れないけど、おくびにも出さずに対等に対応してくれる大人な人だ。

 今回のミッションの隊長で最年長。

 技術職のレッドだけど、山男と自称するだけあって体力は僕よりありそう。戦闘も、そこそこいけそう。多機能な人だ。

 実際、この人一人いれば、今回のミッションは十分じゃないかなと思っている。

 今回、表の任務の要だ。

 目が合うと、任せとけと言わんばかりに頷いてくれた。

 頼もしい。



 エトワール・ヴァロワ・モロゾフ・アリッサ少尉。

 僕の学校時代の同期。飛び級した時も一緒に着いて来たので、考えて見れば、学校時代通したら唯一の同級生だよね。

 何でも分かる天才で大金持ちの雲上人。

 嫌味で、人を人とも思ってない言動が鼻に付いたので、相手にはしなかったけど、何故か僕の周りに頻繁に出現してた不思議生物。

 卒業してからは疎遠になっていたけれど、ギルド職員に就職していたらしい。

 人事部に所属しながらも、何故かギルドに登録もしていて職員と兼務していて、階級はレッド。

 天才なので、…ほぼ全智かもしれない。

 全能とはいかないだろうけど、実力主義を標榜しているギルドのレッドなので、今回のミッションくらいなら余裕であろう。

 僕が見ている事に気づくと、恥じらうように目を伏せた。

 うっ、そんな今までと違う乙女の様な反応示されても困ります。



 ショコラ・マリアージュ・エペ曹長。

 若干20歳の新進気鋭の曹長成り立てのお姉さん。

 身長は、僕より少し高い。

 …まあ歳上だからね。

 髪は帽子に隠れてただけで、肩まである。

 淡い金髪で、イエローに見える。レモン色だ。

 レモン色って良いよね。僕の好きな色です。

 彼女は、見た目の可愛さとは裏腹に、高位貴族のお姫様なのに下から這い上がって来た根性の持ち主です。

 まだ少ししか会話してないけど、癖の無い常識人であると思う。

 ギルドの、むさい男臭い実力主義の中で揉まれてたら普通歪むけど、真っ直ぐに純粋に育ってくれた稀有の人。

 きっと、しなやかで綺麗で確固とした強さを持った真性なのだろう。

 こういう人には、幸せになって欲しい。

 今も、真摯な目を僕に向けてくれる。



 クール・アッサム曹長。

 20歳、男の体型としては割と小作りながらも引き締まった身体だ。でも僕と比べたら、もちろんでかい。

 髪は赤髪のショート。無造作にボサボサで、ノラショートだ。格好は気にしないタチらしい。

 君、少しは気にしないと女の子にはモテないぞ。

 言動からガキ大将が、まんま大人になったような印象を受けるが、顔の造作はチャラい。男にしては綺麗な顔立ちなので、子供の時は女の子に間違われたかもしれない…苦労した反動の反抗的な態度なのかも。

 同期のショコラちゃんから、アッサム君は真面目ですよ。と言う証言がある事から、見た目言動と内実は違うのだろう。

 でも、今も僕の事をジロジロ見てくるので、何なんですか?って感じです。

 そんなに穴が開く程見ても何も出て来ないぞ。

 恥ずかしいから、控え目でお願いしたい。



 レイ・キームン曹長。

 20歳、光りの加減で青にも見える綺麗でサラサラな黒髪を肩先まで伸ばしている優男。冷静沈着で寡黙。無口では無いので必要な事しか口にしないだけか。

 周りを良く見ていて、困っていたショコラちゃんと運転を変わってあげる優しさを持つ。

 きっと女子にモテるだろう。僕の前世とは正反対、ちょっとだけムカつく。僕の不徳と致すところです。

 運転技能は、超優秀。このタイプは、きっと何をやらしても一定の成果を、あげるに違いない。

 天才肌、ちょっとエトワールに気質が似てるかも。

 天才は似るのか?


 クール・アッサム曹長よ。頑張れ。負けるな。と思わず言いたくなる。

 何故なら彼も僕と同じ凡人だと感じるから。

 人類の9割は凡人で、人類の多数派、主役だ、人類の未来は僕達、凡人の動向に掛かっているのだ。


 ジッとキームン曹長を見たけど、表情変わらず。気づいて無い事は無いはず。顔に出ないタイプか?

 僕、たまに気持ちが、表情に出るみたいで見習いたいです。


 

 アプル・モーニン・フォーチュン曹長。

 僕が乗ってきたバスの最後尾の座席で寝てた人。

 輝く豊かな金髪で目元が隠れていて目線が見えない。

 寝てた癖に、僕を熊から助けようとした反応は一番早かった。僕が熊さんを殴って気絶させなければ、熊さんは彼に消滅させられていたと思う。魔法励起の、その早さは前衛で通用するほど。

 年齢21歳、小柄だけど、れっきとした男性です。

 あくびしているので、上下や社会的な立場に頓着しないのかもしれない。たまにいるよね。組織にはなじまないかも。

 でも、彼は少なくとも僕を助ける為に動いた。

 つまり、そう言う事だ。僕は行動で評価するのだ。



 よし。バスに乗っていた4人のブルーは覚えた。

 後の4人は、訓練しながら覚えよう。と、思った時だった。

 あれ?見知った顔だちの人がいた。顔見知りだ。

 向こうも僕と目が合うと、小さく手を振ってくれた。


 彼の名前は、ウバ・セイロン。

 曹長になってたんですね。この前まで伍長だったのに。

 彼は、僕と同じ位小さいです。親近感湧くなぁ。

 この中の最年少、僕より歳下なのは彼だけですよ。

 年齢16歳。君、凄いね。

 彼とは以前、一緒に任務に就いた仲で、割と気心は知れている。

 彼の魔法の技は、繊細かつ丁寧な超絶技巧。

 下手な力技の上を行く妙手だ。僕も温度調節の魔法を彼に習った。

 それにつけても、今回受かったら少尉確定だよ。駆け足過ぎる。

 彼も一種の天才なのだろうか。






 

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