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アールグレイの日常  作者: さくら
天竺行路
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チョコっとショコラ(前編)

 私の名前は、ショコラ・マリアージュ・エペと申します。

 何でも、自己紹介すればよろしいかと聞きました。

 あんじょうお頼み申します。


 そうですね。

 家系の事を申せば、エペ家は、およそ200代前の御先祖様が、遥か西の方から来たのが興りだとか。

 それ以前は、2000年続く家柄だとかで、通算で7000年は続いている計算になりますなぁ。

 まあ、それでも天乃扉市から言えば外様に当たりましょう。

 

 私の家系で、ギルドに入ったのは私が初めてです。

 エペ家は、代々侯爵を賜り、ヤマテに屋敷を構えて、都市政府の主に外交、財務系の要職を踏襲するのが通例でした。

 んんん…でも、はっきり言って、それでは何の面白味がございませんわ。

 だから、学校を卒業したおり、家からは飛び出してしまいました。


 以来、家には帰っていません。

 お母様には心配をお掛けしてしまいました。

 でも私は、このままでは、いけないと思ったのです。


 自分の力で生きていきたい。

 その思いを殺すことは出来ません。

 何故なら、それは私自身を殺すことに他なりません。

 選択肢は、ありませんでした。


 それでもお母様は、予想されていたと、後からいただいたお手紙に書いてありました。

 そして、お父様、お兄様が何と言おうと、帰りたくなったらいつでも帰って来なさいとも。

 本当は二人共、とても心配してるのよとも書かれておりました。


 涙が出るほど嬉しかったけど、私は帰る訳には参りません。

 もし私が帰る時があるとしたら、それは真に自立した時です。

 ギルドでは実力が正当に評価されると聞きます。

 下からの叩き上げのブラックは一人前、ブルーは真なる実力者と言えましょう。世間的にはギルドのブルーと言えば、地元の有力者でさえ避けて通る程の強者と認識されています。

 ただ、それでもエペ家では、評価の対象外でありましょう。


 評価の端にでも、引っかかるには格と言うものが必要なのです。


 誰もが認める突き抜ける実力者。

 それこそがギルドのレッド。

 貴族の騎士に該当すると評価されている階級です。

 もし、私がレッドになったら、レッドの制服を着てお母様に会いに行こう。

 エペ家から独立した、マリアージュ・エペ家の当主として。


 その時には対等に、お父様、お兄様とも会話できるに違いないですもの。


 私の人生は、私が決める。

 もちろん私の結婚相手も。

 今の所、そのような予定は無いのですけど…コホン。

 話しが逸れました。


 昇任のチャンスは、意外に早く回って来ました。

 ギルドの受付をしているダージリンのお姉様から聞きました。お姉様とは、私がギルドに入った当初から懇意にしている間柄でございます。それ以前は社交会で挨拶する程度の知り合いでした。


 お姉様も元は貴族。

 ダージリンの受難の際は、本当に心が痛んだものです。

 それでも私がギルドに入った際、お元気にしているお姿を、拝見して安心致しました。


 何でも、あの日には、お姉様は既にギルドに入り独立なさっていて難を逃れたと。

 それでもご家族は未だに消息不明だとか。

 なんて、おいたわしい事です。


 そのお姉様が申しますには、ブルーの若き実力者をレッドに昇格させて、レッドの個の平均実力を上げ、喝を入れ活性化と組織の若返りを図るとか。

 そうそう上手くいくのかしら。


 組織執行部の思惑は兎も角、これは確かにチャンスです。

 私も、今の階級は、青の星三つ。下士官の最上位。

 しかも、まだ20歳です。資格は充分にある。


 お姉様が推薦してくれるらしい。

 ハクバ山探索行の依頼を勧められたら、絶対受けろと言われました。


 思えば、ここまでに至る道のりは、厳しかった。

 何しろ私は、この見た目です。馬鹿にされるされる。

 しかし、私の、このホワッとした柔らかそうに見える外見は、私の性格と言うか気質から来てるものらしいと最近気がつきました。

 生来のもので変えようが無いので、もう気にしないことにしました。


 それよりも技を磨き、多種多様な技能を習得するに努めました。他部署に渡りを付け、交流し、周りを助けて、周りを味方に付けました。

 いつしか私は、周りから一目置かれ、ブラックを卒業しました。


 ブルーの星一つの時は、本当に苦しかった。

 何しろ周りのブルーは、化け物揃いです。


 その時、青の星一つの少女が、セクハラかまして来た金星をブッ飛ばし、大隊を率いて民間人避難任務を達成した話しをダージリンのお姉様から聞きました。

 凄い!

 それも、私よりも歳下の少女の話しです。

 私も泣いてる場合じゃない…。

 格闘技に打ち込み、根本から自己の基本性能を向上させました。


 伸び悩み、星二つから、なかなか進級出来なかった。

 その時、風の噂に、音に聞こえた[侍魂]をボロボロに下し、[鉄鋼弾小隊]を全滅させ、軍の[魔導飛行部隊]を退かした凄腕のブルーの話しを聞きました。

 それも護衛任務の一日の話しだとか。

 もはや都市伝説の類です。

 でもこれは紛れも無い事実です。

 それが私よりも歳下の美少女らしく。…もしかして、前に話しを聞いたあの子?


 ダージリンさんから、その子がレッドに昇格したと聞きました。

 そっかぁ、頑張ってるのは、私だけじゃないんだ。

 まだまだ私にも、伸び代があるはず。

 更に力と技に磨きを掛けました。


 …


 やったー。とうとう星三つに昇格した。

 あれから私は頑張った。血反吐吐くほど頑張った。

 私は、よく後衛タイプに勘違いされるけど、バリバリの前衛です。鍛えに鍛えました。


 その結果、前衛回避防御型のスタイルを編み出しました。血反吐吐いて到達した私の型。このスタイルは私の誇りなんです。

 不思議なのが、これほど鍛えたのに、見た目は、何故だか全然変わらないのです。

 何故なの?


 自分の型を確立した私は、もはや戦いでは勝てない事はありますが負ける事は無くなりました。


 私は更に魔法の初歩を習い始めています。

 まだまだ、今一つですが。

 物理系だけでは勝てない、未来の相手も想定しなければと。



 そんな折、とうとう来ました。

 ハクバ山探索行の依頼。

 やった。レッドへの昇格切符です。

 私は喜んで依頼を受けました。



 

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