ブルー
出発するに際し、人員は中型バス2台に分乗した。
これは、もし1台がエンジントラブルなどで動かなくなった時の保険だ。
積荷の大半は水と食料だ。
僕は先頭車に乗る。
何故かエトワールも隣に座る。何故に?
スポンサーのエトワールを別にすれば5人乗車している。
半分ずつ乗車だから、乗車完了かな。
よし。出発だ。
しばらく荒野を走る。
割とアップダウンが激しい。
…運転手のブルー、もし試験だったら減点ですね。
まあ、試験でもなんでもないので口には出さない。
僕、不親切かなとも思うが、自分で気づいて自分で直す分野であると思う。
昵懇の間柄でもなければ指摘しない。
何故なら指摘された方は、内容の正しさよりも距離感を優先するからだ。
自分が信用する相手じゃなければ、内容の正しさを吟味することすらしないと思う。
つらつらとそんな事を思いつつ、左の車窓から外を眺める。
荒野の所々に朽ちた廃墟が、草や土砂に埋もれている姿がいくつか見える。
自然と人工物との融合…歴史…時の流れ…昔の人々の営みが垣間見えるようで、ロマンだよね。素晴らしい。
「まったくつまらん景色だ。何の価値もないな。揺れが激しいぞ、アルが壊れてしまう。なっとらん。クビだ。運転手は他と代われ!」
僕の隣から怒鳴り声が聞こえてきた。
僕の方を気にしてチラチラ見ているのが分かるので、絶対隣を見ない。
僕、やっぱりエトワールとは気が合いそうにないよ。
「一人で運転だと疲れるでしょう。順番に交代しましょうか。」と運転してるブルーに声を掛けると、蒼ざめた顔が、ホッとした顔に変わった。
隣をチラリと見ると、エトワールが、ガーンとしたショックを受けた顔をしている。
…知りません。
ツーンと顔を背ける。
「…何を間違ったのかしら。何を間違ったのかしら、ああ…何故、嫌われた?嫌われた?何故、何故、何故、何故…。」
エトワールは、俯くと、ガクガクと震えながらブツブツ言っている。
エトワールは、学生時代から、時々、こんな風になる。
全く、雲上人の動向は理解不能だ。
…まあ、僕には関係無いけれど。
エトワールと会うのは、このミッションだけだから。
運転を変わったブルーは、上手かった。
ほぼ振動が無いが、スピードは出ている。
この速度だと昼頃には、麓に着くかな。
それにつけても、今回のミッションは、隊員が全員ブルーだ。なんて贅沢な。
ブルーの依頼料は、ブラックの数倍。
技量が全然違うからだ。
僕でも全員倒すには手こずるかも。
しかも、ここに居る全員、階級は皆星が三つだ。ブルーの最上位。
しかもしかも、皆20歳代だ。叩き上げの若い超優秀人材が、このミッションに集結している。
どう言うこと?
情報が少な過ぎる。…分からない。
偶然?…いや、分からない。
…ひとまず保留です。