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アールグレイの日常  作者: さくら
天竺行路
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春うらら

 …ああ、お麺ライダー面白かったなぁ。


 ペンペン様もポップコーン食べながら堪能したようだ。

 御機嫌な鳴き声をしていた。

 よしよし。


 ペンペン様は、ペンギンの魔法生物だけど、もはや僕の家族と言っても過言ではない。近しい人が幸せだと、僕も幸せな気持ちになる。



 さあ、今日から気持ちを切り替えて、お仕事です。

 出来れば、今回は探索系が良い。

 護衛とか、揉め事の仲裁とか、精神的に疲れてしまうからね。

 4月からは士官講習なので、探索の仕事ならギリギリの期間かも。

 それと朗報です。

 何と講習期間中でもお給料が出るらしいのだ。

 もちろん最低限度額だけど、慎ましい生活すれば暮らしていける。足りなければ週末に依頼受ければ良いし。

 もう僕ずっと講習でも良いや。


 ペンペン様と一緒に遅い朝ご飯を食べ終えてから、ギルドに向かう。

 電車に乗る。


 暖かくなってきたから、山に行きたい、渓流釣りもしてみたい。

 ウバ君やルフナ兵長と食べたキャンプカレー美味しかったなぁ…。

 前世の僕がやりたかった事を、ドンドンやって行きたい。

 やりたい事を思い描く。

 僕一人だし、やりたい放題だよ。


 夢というのは、思い描いて、叶う過程が楽しいと言う。

 序破急の内、序の部分だよね。

 人生は短いのだ。前世を経験した僕は知っている。

 楽しまなくては。


 守破離で言えば、前世が守で、今世が破かな?

 でも、僕は守の大切さも学んだ。

 最初は、何でも守で、基礎を学べば応用が効く。

 だから僕は、今世では最初から基礎を重要視して繰り返し繰り返し習得しました。基礎の重要さを既に知っているから。


 お陰様で、今世の僕の成績はトップクラス、頭一つ飛び抜けている。これって狡いかなぁ?

 いいや、違うと思う。

 だって、やろうと決めたのは僕で、行動したのも僕。

 苦労して修得したのも僕だ。

 前世という記憶の遺産を継承した僕。

 経験というのは、一つの財産だと思う。

 だから僕は、これからも色んなことを経験していくんだ。


 そして最後は、あー面白かったと笑顔と感謝で旅立ちたい。

 そう切実に思う。


 電車に揺られながら、フリーに思考を飛ばす。

 席が暖かく温もる。

 暖かいだけで幸せ。

 何故なら、極寒で一晩過ごした経験があるから。


 ああ、そうか…なるほど。比較できる経験がないと、そう感じることを思い描けないのか…なるほど。

 だとしても、寒くて、疲弊して、ひもじい経験は、あまりしたくないなぁ。


 電車を乗り換える


 トビラ市の囲むようにして線路が敷かれているグリーンハンド線だ。都市民からは通称サークルラインとか呼ばれている。

 僕は、単に、まん丸線と呼んでいる。

 乗り換えてから降りるまでの約30分間が、僕のフリータイムだ。

 自由な時間。

 何だか得した気分である。

 そう考えるると、あまりにも通勤時間が短いのも面白味が無い。

 学校は全寮制だったから、通学時間が無かった。

 こういう無駄と言うべき時間が人生を彩るのかもしれない。


 座れた。

 座ってる人の間にスポッと入る。

 これで席は、全部埋まったので、おしくら饅頭効果で暖かい。眠くなってしまうよ。


 警戒は、ほぼしてない。

 電車の中は基本平和なのだ。


 対面の窓から外を見る。

 大半が朽ちて崩れかけのビルだ。

 あいだあいだに緑色の樹々が伸びている。


 電車がギコギコ鳴り揺れている。

 電車も老朽化しているのを騙し騙し使っている。


 今日は何も考えずに、窓の景色をボーと眺め続けた。

 こんな時間も良いよね。


 …


 駅から降りて、徒歩5分、ギルドに着く。


 受付嬢のダージリンさんの姿が目に入る。

 「遅い。遅いわ。何で直ぐに来ないの?」

 開口一番言われる。


 え?遅くないよ。だって、まだ7時過ぎだよ。

 多少寝惚けた頭で考える。


 「昨日、ずーーーーーーーと待ってたのよ、私は。その私に何か言うことは無いの?」

 厳しい怒り顔のダージリンさん。

 「…ごめんなさい。」

 なんで僕謝ってるの?なんたる理不尽。

 「よろしい。許してあげるわ。待ってたんだからね。」

 ふふんっと満足顔のダージリンさん。

 そんな顔を見てると、まあ、いいかという気分になります。


 「それよりアールグレイ少尉、次の仕事ですよ。ふふん。」

 何故だか自慢顔のダージリンさん。

 探索系だと良いなぁ、違ったら断るけど。


 「今回のお仕事は、何と、ハクバ探索行です。指揮官はアリ中尉、指揮官からの御指名でーす。行きますか?」

 おおー、オフコース、アイドゥですよ。



 

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