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アールグレイの日常  作者: さくら
東方見聞録
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捕獲

 「search。」

 火猿さんを。[白掌]で治しながら、探索魔法を掛ける。

 驚くべきごとに、闘うまえには、パターンが真っ赤だったのに今では真っ青だ。もしかして認められたかな?


 そして、少しづつ消えていく。

 まるでショーを見終わった観客のように。


 だが中に奇妙に赤と青と明滅を繰り返す点があった。


 近すぎず遠過ぎない位置だ。

 まるでこちらを観察するに最適な位置どり。

 バレなければの話しだけど、あなた、目立ちまくりですよ。

 

 もう辺りは、真っ暗だ。

 前世のように、街灯は無い。

 ごく決められた範囲内にしかない。

 この場所は、範囲外だ。


 暗視魔法「night vision。」発動。

 視界がクリアになる。


 …いた。暗色のフード付きマントにゴーグルにマスクで覆面。あからさまに怪しいぞ、こいつ。

 しかも、ジリジリと後ろに下がりつつある。


 僕と同じ位小さい。

 つ、つまり、まあ、普通の背丈かな。


 火猿さんのバイタルチェック終了。

 治癒完了と意識に浮かぶ。


 僕は、スッ遠く立ち上がると、不審者に向き直る。

 [瞬動]を掛ける。つまり、速く走る。

 予備動作なし。暗所に土煙りを上げながら駆け出す。

 傍目から見たらミサイルのように見えるかな。

 超低空小型ミサイルだ。


 空気を切り裂いて,音を残して不審者の元へ飛んでいく。

 直前で足ブレーキ。雑草や土が捲りあがり宙に舞う。

 「おいこら!おまえ蜘蛛だろう?」

 右手で、逃げようとする不審者の襟元を掴み、吊り上げる。オイコラ言葉は演技です。

 あれ?この人、僕より、かなり小さくて凄く軽いぞ。

 吊り上げられて、地に着かない足をバタバタしている。

 靴が上げ底ブーツだ。


 「やめてーやめてー。」

 可愛い声がする。

 あっ、子供だ。

 優しく地面にそっと降ろしてあげる。

 バタバタと逃げようとするのを、後ろから抱きしめてあげる。僕、子供の扱いは慣れているのだ。

 子供は、こんなふうに優しく抱きしめてあげると騒がしい子もおとなしくなるのだ。むふぅ。僕より小さい。やはり子供だ。

 「やめて、やめてー。」

 むっ、抵抗するか。

 「降参しますか?おとなしくするなら離しますよ。」

 「するー。降参するー。抱き締めないで。柔らかい。恥ずかしい。」

 あれ、男の子でしたか。僕より小さくて可愛い。なんか離したくない。スリスリ。

 「やめてー。」

 「テンペスト様、それ以上はセクハラです。」

 あれ?いつのまにファーちゃんが来てた。


 なんかファーちゃんの頬が膨れてる。

 まー、もしかして焼き餅ですか。可愛い。


 「やめてー、離してー。」

 僕の腕の中でジタバタしている。

 「逃げないなら離してあげます。約束しますか?」

 諭すように優しく話し掛ける。

 「するー。約束する。」

 抱き締めてた身体を、離してあげる。

 「ありがとう。」

 「まー、挨拶やお礼をちゃんと出来るなんて偉いね。」

 よしよしと、頭を撫でてあげる。


 「テンペスト様、その子、敵ですから。」

 「分かってますよ。でも子供だし。」

 ファーちゃんにニッコリ笑う。

 「うっ、そ、それズルイです。まったく…。」


 僕は、子供に対し正面から言う。

 「人と話す時は、ゴーグルとマスクを外しましょう。」

 子供は僕の顔を見つめて、それからゴーグルとマスクを外した。


 茶髪の可愛らしい顔した男の子だ。

 最初に確認してなければ、女の子と間違えたかも。

 年齢は、10歳位かな。

 アッサム家のキャン殿下と同じ位だ。


 「僕の名前は、アールグレイ。ギルドの将校として、依頼を受けて諍いの仲裁に来ていたんだ。君だよね、ずっと僕を見てたのは。君の名前は?君は蜘蛛に縁の子かな?」

 腰を屈めて語りかける。

 「……。」

 まあ、子供とは言え、そうそう教えてくれないよね。

 うーん、どうしようか。


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