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怪獣のブックエンド

作者: まさみ

「あーーだりーー」

ふやけきったあくびを一発かます。

ダチと馬鹿騒ぎを終えて白けた帰り道、夜明け前の路上にはカラスの群れが舞い降りて生ごみを啄んでいる。

ズボンの尻ポケットに突っこんだスマホが震える。

「げ」

手に取ってチェックすりゃ親からメールが届いていた。

内容は見なくてもわかる。予感的中、そこには『まだ帰らないの』『連絡くらい入れなさい』『明日の学校はどうするの』と既読スルーしたくなる説教がくどくど書き連ねられていた。

思わず舌打ちが出る。

「うっぜえ」

学校は行く気がしない。サボるか。

教師だってどうせ俺みたいな落ちこぼれ見放してる、せいぜい真面目にやってる奴の邪魔をするなよと遠回しに釘をさされるだけだ。

土台俺の偏差値で行ける大学なんてねえし、中高6年通してさんざん馬鹿やらかしたんで内申だって惨憺たるものだ。

「うち帰ってひと眠りすっか……」

時間は朝4時、周囲には薄青い闇がたちこめている。夜明け前とあって人通りもなく、閑静な住宅街には透明な静寂が漂っている。

「ん?」

ポケットに手を突っ込んでぐうたら歩いていた時、ある物が目に入る。

アスファルトを打った道の先、住宅街のゴミ捨て場。そこに場違いな物が捨てられていた。

目をしばたたく。次に擦ってみる。俺はポケットに指をひっかけたまま、ゴミ捨て場の前にしゃがみこんでまじまじとそれを見直す。

「ゴミ捨て場にあるってこたァゴミ……だよな?」

語尾に疑問符が付くのは、それが小学生が夏休みの自由研究で作るような、図工の工作だったからだ。



興味を引かれて手を伸ばす。見たところ何の変哲もない木製のブックエンドだ。ベニヤ板に釘を打って絵の具を塗ってある。おそらくは子供が手作りした物だ。そう直感したのは、黄色い絵の具を背景に、下手くそな怪獣の絵が描かれていたからだ。

「ははっ、すっげえ」

自然と口笛を吹く。ガキが手がけたにしちゃ力作だ。出来栄えはどうあれ、愛情をこめて丁寧に拵えたのが伝わってくる。

ベニヤ板に打ち付けた釘が曲がっていたり、合わせ目がややずれているのはご愛敬か。

ゴミ捨て場にあるんだからゴミに違いない。それなのに何故か俺は、そのブックエンドが誰かの大切な落とし物のような気がしてならなかった。

明るい絵の具で彩色された手中のブックエンドを持て余す。

ゴミ捨て場に突っ返すのは忍びない、とはいえ持ち帰っても仕方ない。

どうしたものか悩んでいると、今にも消え入りそうな声が響く。

「それ、僕の」

顔を上げて驚く。早朝の住宅街にゃ場違いなガキがいた。

年の頃はせいぜい小学校3・4年か、伸びた前髪の奥から内気そうな上目遣いでこっちを窺っている。見るからにいじめられっ子タイプの男の子だ。

しかもパジャマ姿で、素足にサンダルをひっかけている。

「寝ぼけてんの?夢遊病か」

軽い調子でからかうも無視される。可愛げがねえ。

男の子は俺の顔も見ず、俺が手に持ったブックエンドを食い入るように凝視している。

「お前が捨てたの?」

「捨てたんじゃない、落としたんだ」

戯れに聞いたところ即座に否定される。生意気。反抗的な態度に意地悪したい気持ちを抑えきれず、ガキの手の届かない高さにブックエンドを掲げる。

「これお前が作ったの」

「…………」

「だんまり戦法か。いいのかよそんな態度とって、壊す壊さないは俺次第だってのに」

盛大にニヤケて脅せば、ガキは観念して顔を上げる。俺を睨み付ける目には鬱屈した怒りが燃えていた。

「そうだよ、僕が作ったんだ。返して」

「なんでゴミ捨て場にあったんだよ、ゴミと間違えて持ってかれるぞ」

「ゴミじゃない。大事な物だ」

「お前が捨てたんだろ」

激しい勢いで首を横に振る。唇をキツく噛み、目尻には涙が滲む。

「捨てられたんだ」

その返答を聞くや、ブックエンドを粗末に扱っていた手が宙で止まる。

零れ落ちそうな涙をギリギリ押しとどめ、身体の脇で拳を握り込み、男の子が言葉を吐きだす。

「僕が作ったんだ。返せ」

「最初から話せよ、誰に捨てられたんだ」

「馬鹿にするから話したくない」

「そりゃ正真正銘さっき初めて会った赤の他人だが、今はコイツの所有者だ。仮にだ、これがゴミじゃなくてお前の落とし物だとしてもゴミ捨て場にあったんならその時点でショユーケンは放棄されたも同然よ。わかるかショユーケン、漢字書ける?ゴミに出されたんだからどなたでも自由にお持ち帰りくださいって事。よく見りゃ怪獣もなかなかイケてるし配色センスあんじゃん、賑やかしに部屋に飾って……」

「ホント?」

男の子の顔が突然輝く。

「え」

意外な反応にたじろぐ。



「あ……」

褒められ慣れてねえのか、すぐに俯いて下腹部で組んだ手をせわしなく組み替える。微妙に気まずい沈黙が落ちる。

俺は大袈裟にため息を吐き、その場に股を開いてしゃがみこむ。

「……話してみ。誰に捨てられたの」

適当に顎をしゃくって促す。男の子が不安げにこっちを見る。

「他のヤツにゃ言わねーよ。お前と俺は赤の他人だろ」

世の中会ってすぐ別れる赤の他人だからこそ話せる事柄もある。

男の子は唇を噛んで立ち尽くす。サンダルからはみ出た爪先が寒々しい。

たっぷり三分が経過した。

俺は急かすでも脅すでもなく、ブックエンドをもてあそんでガキが口を開くのを待っていた。何でそんな忍耐力を発揮できたのか謎だ。なるべく沈黙がプレッシャーにならないようにどうでもいい態度を装い、ブックエンドの恐竜の絵をくり返し指でなぞる。

ガキが一向に口を開かないもんで、こっちから探りを入れる。

「親?」

首を横に振る。

「友達?」

首を横に振りかけ、止まる。俺にはそれが何を意味するかわかった。

小学生の時、俺はすごいいじめられっ子だった。

靴を隠されたり机を廊下に出されたり殴る蹴る無視されるは日常茶飯事で、最低に惨めな毎日を送っていた。

教科書や体操着袋をゴミ箱に捨てられるのはしょっちゅうだった。

「だよな。お前をいじめるようなヤツ、友達じゃねーもんな」

男の子が顔を上げる。

俺は不敵な笑みを刻み、男の子の顔を近くで覗き込む。

「ずっとひっかかってたわけよ、友達にいじめられたのってお決まりのレーズ。いじめてくるヤツらまで友達に数えなきゃいけねーのかよ、って」


まるでそうするのが正しいとばかりに、この言い回しは鈍感に多用される。

そのたび俺は反発していた、いじめっ子を友達と同列に語る大人の矛盾に。

いいヤツでも悪いヤツでも誰とでも、皆と仲良くしなければいけないと暗に強制する大人の理屈に。


「いじめっ子にとられたのか」

先回りで指摘すれば、男の子の目鼻の位置が歪み、頷くと同時に大粒の涙が零れ出る。

「図工の時間に、作っだ、んだ。センセイに、ひぐっ、はじめて褒められ、で。ランドセルに入んないから手に持って、ぃぐっ、落とさないように気を付けて、も、もぢがえったんだ」


ゴミじゃない。落とし物だ。

大事な落とし物だ。

他の誰にとってゴミでしかなくたって、作った本人にとっちゃ大事な大事な物だったのだ。


「そ、そしたらアイツらがやってきて……先生にほめられて調子のってるって、ムカツクって……こんなのゴミと一緒だ、ゴミはゴミ捨て場に捨てようぜって無理矢理ひったくって、こ、ここにおいでっ」

「どうしてすぐ拾わなかった」

反射的に聞いちまってから後悔する。

馬鹿だ俺は、そんなのコイツに気持ちになってみりゃ一発でわかる。

案の定男の子はヒステリックに叫ぶ。

「こ、怖かった!」

いじめっ子たちが悪ノリし騒いでいる中、ゴミ捨て場に放置された工作を奪還する勇気が、ひとりぼっちのコイツにあっただろうか。

「それだけじゃねえよな」

ブックエンドを男の子に渡し、手にしっかり握らせる。

「惨めになんのがいやだったんだよな」


いじめられっ子にはプライドなんかねえと世間の連中は思ってやがる。でもそうじゃねえ、間違ってる。

いじめられっ子にも意地がある、プライドがある。

いじめっ子連中が馬鹿まるだしで囃し立てる中、ゴミのレッテルを貼られ、ゴミ捨て場に捨てられた工作を拾うのは負けを認めるのと同じだ。

だったら知らんぷりして真っ直ぐ家に帰った方がまだマシだ、あんな物どうだっていいと、また作ればいいさと自分に言い聞かせて辛うじて自尊心を保てる。


「お母さんに見せたかったのに」

「うん」

「だから拾いに来た。迷って遅くなっちゃったけど」

「このへんの子じゃねえの」

言われてみれば確かに見ねえ顔だ。

世間話が好きなお袋ならともかく、現役高校生の俺はさっぱり近所付き合いがねえから、生活圏内の小学生の顔を鮮明に覚えてるか否か問い詰められたら即答できねえが。

すると男の子は何をどう説明したらいいか迷うように目を揺らし、謎めいた言葉を口にする。

「あのね。一回でもゴミに出された物は、ゴミってことにされちゃうんだよ。元の持ち主がどんなに大切に思っててももう変わらないんだ。僕はコイツを一回捨ててる。本当は捨てたくなかったけど、いじめっ子に絡まれるの嫌で、何か言われるのが怖くって、黒いゴミ袋が山積みのゴミ捨て場に見捨ててきたんだ」

「わけがわからねえ」

首を傾げる俺ときちんと向き合い、男の子が小さく深呼吸する。

「ニンゲンの心の隅っこにはゴミ箱があって、そこに嫌なものを捨てるんだ」

大人びて諦念した表情。

寂しそうな瞳。

「思い出したくないこととか誰かにされたいやなこととか。でもたまに間違って大切なモノを入れちゃうんだ。ゴミと見分けが付かなくて、蒸し返されると辛いから、辛くて辛くてたまらないから、ゴミ箱に入れたまんま知らんぷりするんだよ」


ただ落っことしただけなのに。

なくしちゃいけない落とし物なのに。


「僕もそうだよ。コイツをゴミ箱に捨てた。ベニヤ板を持ってきて、頑張って釘を打って、大好きな黄色い絵の具をぬりたくって、図鑑を見ながらカッコイイ怪獣の絵を描いた。かっこよくできて嬉しかった、はじめて先生に褒められた、早く家に帰ってお母さんに見せたかった、お父さんに自慢したかった」

男の子が俯く。

「でも、間違えてゴミ箱に入れちゃったから。お兄さんが見落とさないで拾いあげてくれて、やっとむかえにこれたんだ」

男の子の言い分は意味不明だが、真実を伝えようとする切実な口調が胸にしみた。

ブックエンドを抱いて喜ぶ男の子に素直な称賛を投げかける。

「怪獣の絵、かっこいいじゃん」

虚を衝かれてぽかんとした男が次の瞬間不細工に笑み崩れ、ブックエンドを両手に抱いて帰っていく。



住宅街の舗装道路を歩き、やがて姿を消した男の子を見送り、俺は大きく伸びをする。

朝っぱらから変な体験をした。まあたまにはいいか。

気を取り直して家へ帰る。幸い親はまだ起きてねえ。合鍵で玄関の扉を開けて、忍び足で階段を上がってベッドにダイブしたい。

庭を横切っている最中、隅のプレハブ物置に目が行った。中でガタガタ音がしている。こんな時間に誰が……

「泥棒?」

背中に冷や汗をかく。まだ寝てる両親を起こすのは気が引ける。本当に泥棒かどうかもわからないのに……まずは自分の目で確かめねえと。

自慢じゃねえが不良歴はそこそこ長く喧嘩は強い方だ、不意を突けば倒せる。

プレハブの物置に注意深く歩み寄り、外壁に張り付いてガラスの引き戸の向こうを覗くや、思いがけねえ光景にぎょっとする。

「お袋かよ、朝っぱらからなにやってんだ!」

「やっと帰ってきたのバカ息子、電話にもでないで何やってた」

「るっせえな、学校に間に合うように帰ってきたんだからいいだろ別に」

物置の中に蹲っていたのはパジャマ姿のお袋だった。すっぴんで眠たそうな目をしている。

「ンでそっちは?物置でガタガタ……大掃除?」

冗談を続けかけて笑顔が凍り付く。

入口に背を向けたお袋が持っているのは例のブックスタンドだった。黄色い地に怪獣が描かれている所までおんなじだ。


ガキに返したブックエンドが、なんでうちの物置で埃を被ってるんだ?



目を丸くしてブックエンドを指さす俺を振りむき、お袋がぼんやり呟く。

「変な夢見たのよ」

「夢って」

「昔の……小学生の頃のあんたが出てきて、見せたいものがあるから物置に来いって言うの。どうにも気になったから起きてすぐ来てみたら、これが隅っこにちょこんとおかれてたのよ」


『お母さんに見せたかったのに』

『早く家に帰ってお母さんに見せたかった、お父さんに自慢したかった』


ああ、そうか。


「夢に出てきたアンタの口調があんまり一生懸命だったから無視できなくて」


すっかり忘れていた。

心の隅のゴミ箱に突っこんだまま、嫌な思い出と大切な物をごっちゃにして忘れていた。


『一回でもゴミに出された物は、ゴミってことにされちゃうんだよ』


あれは俺だ。

小学生の頃の、どうしようもねえいじめられっ子だった頃の俺自身だ。

いじめられっ子のくせに負けん気ばかり強え意地っ張りで、いじめっ子に捨てられた工作をゴミ捨て場に這い蹲って取り戻す事もできず、家へ逃げ帰ったクソガキだ。


『お前をいじめるようなヤツ、友達じゃねーもんな』


どうりで終始ダンマリなアイツの気持ちがよくわかるわけだ、俺こそ一番俺の痛みがわかるもんな。

ブックエンドを目の当たりにして昔の記憶が甦る。

ある日の図工の時間、先生に工作を褒められて舞い上がった俺は、早く家に帰って母親に見せようと住宅街を急いでいた。

そこにいじめっ子がやってきて、俺の手から力ずくでブックエンドを奪い、ゴミ捨て場へと放り投げた。

言い返せない自分が惨めで、やり返せない自分が悔しくて、あの日の俺は泣きながら手ぶらで帰ったのだった。


『たまに間違って大切なモノを入れちゃうんだ』


小学生の頃の自分がどんな面をしてたかなんて覚えちゃねえ。

小学生の頃は嫌な思い出だらけで、いちいちアルバムを開いて写真を見返す事もない。もとから写真を撮られるのは苦手だ。

あのガキは前髪を邪魔くさく伸ばしていたから、まず素顔を確認するのさえ困難だった。


俺が今朝たまたまゴミ捨て場に通りかかり、たまたまブックエンドを手にしたから、ゴミはゴミじゃなくなった。

ゴミは誰かに拾われて初めて価値を持ち、心のゴミ箱からすくいだされる。


「……お袋さ、覚えてる?俺、ガキの頃すっげえいじめられっ子だったろ」

「ああ……そうだったね。今じゃスレちゃって見る影ないけど。いきなりどうしたの」

俺の方から昔の頃の話をふっかけるのは珍しい。

どういう気まぐれだと怪訝な顔で答えてから、誇らしげに声を弾ませて蒸し返す。

「アンタ工作好きだったよね。通信簿、図工だけ5だったの覚えてる?」

「うん」

「なんで作るのやめちゃったの、中学の技術はお話にならない成績だし」

「忘れた」

軽く頷いてから物置に足を踏み入れ、お袋の隣にしゃがむ。

「それ、俺が作った」

お袋が驚く。

「なんで物置にあんの、見た記憶ないけど」

「るっせ、あとで見せようと思って忘れてたんだよ。いまいちな出来だったし」

「ふーん」

お袋が腑に落ちない表情で受け流し、ちゃちなブックエンドを両手でひねくりまわす。がらにもなく心臓が高鳴る。

ブックエンドに積もる埃をひと吹き、手でざっと拭ってからお袋が微笑む。

「カッコイイね」


なあ俺、なんでコイツを物置にしまったんだ。

お袋になんて言われるか怖かったのか?

ただ単に恥ずかしかったのか?


ずっとずっと昔、もう記憶が薄れて思い出せないほどの昔、朝早く起きた俺は回収車が来る前にこっそりゴミ捨て場に向かおうとして、玄関でとりやめたのかもしれない。

あの日落っことした未練の残り滓が少年のカタチをとって、夜が朝に移り変わるほんのひととき過去の裂け目からさまよいでたのだとしたら……。


ひょっとしたらすぐそこにあったのに気付かなかったのかもしれない。

ゴミ捨て場で元の持ち主に拾われるのをずっと待ってたのに、中学からグレだして、朝靄の中を寝ぼけて帰る俺は毎回素通りしてたのかもしれない。


お袋に寄り添ってブックエンドを眺め、大人びた苦笑いで感傷に耽る。


「だな。悪くねェな」


ゴミは誰かに拾われて、初めてゴミじゃなくなる。

俺自身がゴミじゃないと認めて、初めてゴミ箱から出てこれるのだ。

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