後日
「今日はお客さん来ませんね・・・」
エーリカは愚痴をこぼす。
「まぁそんな日もあるよ・・・。それよかエーリカ、あんたはあの男を見送ったってね?」
マスターはニタニタした顔でエーリカに話しかける。
「マスターがそうしろと言ったんじゃないですか!」
「え、俺はそこに行ったとしか言ってなかったんだが?」
「ム・・・」
「それより、今日の新聞見たか?」
「いえ、まだですけど・・・」
「そうか、なら見てみるがいい。きっとおもしろいぞ」
そう言って新聞を投げつける。
「これは・・・」
「あいつ、あちこちのコロニーを回ってるんだと・・・。あきれちまうよ。『人間の美点は人間を信じること』かぁ・・、よくこんなくさい台詞を堂々言えるね・・・」
「私は素敵だと思いますよ」
マスターの顔は豆鉄砲を食らったようになる。そして見る見るうちに笑い顔に変わる。
「はっはっはっは。そうかい、そうかい」
「何ですか、いきなり笑い出して。失礼ですよ・・・」
「いやいや。まぁ、くさい台詞って言うのは言われ続けた台詞だからな。だから馬鹿に出来る。しかし、くさい台詞をくさいと思わなくなってしまったら、それこそお終いだな。エーリカ、お前わかってるじゃないか」
「もう、いいです」
エーリカは照れた顔をするがすぐに笑顔に戻る。
「あの男はまたこのコロニーに来るのか?」
「ええ、人間を信じ続けることが出来たならこのコロニーに来て、ここで暮らすでしょう・・・」
「そっか・・・」
二人が浸っているところに玄関のカウベルが鳴り響く。
「いらっしゃいませ〜」
その日もエーリカの声は店に響くのであった。
無事連載を終えることが出来ました。かなり下手な作品だと自分でわかってるつもりです。しかし、最後まで読んでくださった方、この場を借りてお礼を申し上げます。そして、いつか投稿される別作品もよろしくお願いします。至らないとこだらけの私ですけど、よろしくお願いします。