自己練習
hana♪担当
国王視点
佳奈に魔法を教わった夜、魔道書を借りてこっそり外に出る。
ゴットマザーと佳奈は寝たのを確認した。だから心配かけることは無いし、怒られることもない。
まぁ、二人が起きなきゃだけど…
多少物音を立てても大丈夫なように小屋から少し離れた場所へと足を進める。
辺りは木々が生い茂っていて視界が悪い。
でも毎日遊びまわっているところだからなんとなく道が見えるような気がする。
光源は世界を照らすお月様しかない。家からランプを持って来ればよかったと遅すぎる後悔を胸に開けた場所を探す。
「ここで、いいかな…?」
少し、かどうかは分からないがとりあえず開けた場所に出た。
早速魔道者を開き、面白そうな呪文を調べる。
光魔法や、爆発魔法、天候を変える魔法まである。
うーん、種類豊富。佳奈はこれ全部使えるのかな?
…使えたらすごいなぁ。私も出来るようになるかな…
二人の役に立ちたいし。守られてばかりなんて嫌だもん。私だって二人のことを守りたい。
料理や家事はゴットマザー、整理整頓や農作は佳奈、私は…昔の知識を活かして薬草とかを山から採ってくるだけ。
全員町へ降りて仕事に行く日もあるのに二人は私に比べて沢山やることがある。
手伝いたくてもいつもやらせてもらえない。
「危ないから」だとか「失敗するでしょ?」とか言って…
だから、魔法を上手くなって二人を楽にしてあげなきゃ!
パラパラとページをめくり、いい魔法を探す。
しかし、攻撃系の魔法の多いこと。まさか持ってくる魔導書間違えた…?
「あ、あれ…?おかしいな…」
爆発魔法、氷魔法、束縛魔法、雷魔法、炎魔法、闇魔法、切り裂き魔法、心理魔法…
攻撃系統と危なそうな魔法しかない。
どういうことだってばよ。やっぱり間違えた…?
「あっ!」
危なそうな呪文の中にひとつだけ使えそうなものを見つける。
口を三日月型に緩ませて、早速暗唱してみる。
「『ラーリングシップ』!」
目の前に転がる石ころに向かって手を突き出す。
昼間に感じた魔力を手のひらに集める。
力を込めて足を踏ん張る。額には玉のような汗が滲む。
なかなか石は浮き上がってくれない。
必死に身体中の魔力をかき集める。
…あんまり無いのだけど。
「あっ…!」
フワッ、とほんの少しだが足が浮かぶ。
ユラユラと少しづつ宙に浮かんでいく石。
嬉しくなって手を高々とあげるとそれに合わせて石も上がる。
「やったぁ…!!出来たぁ!」
佳奈に見せたいが起こしに行ったら確実に怒られる。
嬉しさに泥を塗られるなんて嫌だ。仕方ない。諦めよう。
次の瞬間、後ろの茂みから枝の折れる音がする。
「誰っ…?!」
遅くなりました…
いやぁ合作なのにサボってしもうた…