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第六話

学食でのお話です。

昼休み、学校に来ているパン屋もお弁当屋も引き上げてしまっているので、買いそびれた生徒達は「まずい」ことで評判の学食でお昼ご飯を食べるしか道は無い。


「あ~…しくったぁ…。」

「そだな…あ…でも、確かさぁ…つっちー、おにぎり買って食ってなかったっけ?」

「そう…買ったし食っちゃったの…でも、なんか食わねぇと午後もたねぇから…仕方なくぬるくてしょっぱいラーメンで腹膨らまそうと思って。」

「あはは、そっか…そりゃしゃあないわなぁ…部活あるしなぁ…。」

「そう…って、北側は?弁当買いそびれたの?」

「違う…俺、弁当とか買ってないけど…家から持って来たおにぎり、1時間目終わりに食っちゃったから…4個。」

「えっ、そうなの?そっか…じゃあ、しゃあないよな…あ、あいつらは…好きでここに来てんのか…。」

土田和男と北側勝馬しょうまは、学食の一番後ろの席にいるチャラチャラした男子を眺めた。


少し伸ばした髪を遊ばせた、いかにもチャラい男子の一人、大森ジョーは2人の仲間とまずいラーメンを食べ終えると、すぐさま持って来たアコースティックギターを弾きだした。

すると、彼のファンらしき女子が30数人ほど囲むように集ると、曲に合わせて手拍子が始まった。


「お待たせぇ~!可愛いベイビー子猫ちゃんベイビーちゃん達!」

キャーキャーキャーキャー!

一番簡単なコードを弾きながら、大森は大声でねちっこく歌い始めた。

すると、その両隣りに仲間の上田と下田が曲にあわせてドラムを叩く真似と、ベースらしき楽器を弾く真似を始めた。


~プリーズ!ストップ&ゴー! プリーズ!ストップ&ゴー! プリーズ!プリーズ!ストップ&ゴー!ゴー!

 もう縛られないしがらみ 古い慣習をぶっこわせ!

 越えられない壁なんて はしごをかけてやればいい!

 プリーズ!ストップ&ゴー! プリーズ!ストップ&ゴー! プリーズ!プリーズ!ストップ&ゴー!ゴー!


きゃあああああ!ジョーく~ん!かっこいい~~~~!


ぶーっ!


ぬるくてしょっぱいラーメンを啜っていた土田も北側も、歌を聴くなりすぐさま口の中の物を噴出した。

「あ~あ~あ~あ~…わりっ…。」

「ごめん…つっち~…。」

二人は慌ててティッシュや台ふきで処理しながら、「なんだ、あの歌…。」と同時に呟いた。

「そして、何?あいつら…。」

「大森達の…ファン…なんじゃない?」

「そっか…ファン…なんだ…そっか…」

「そう。」

「なんかさ、ファンってすげぇね。」

「ああ、そだね…あんな歌にあの盛り上がり…俺にはわかんないけど…きっと女子には、かっこいいんだね。」

そう言いながらも、土田と北側は「あんなことまでしてファンになってもらいたくないかなぁ。」と思っていた。

そうしてる間に、2曲目に突入していた。


~イエイ!イエイ!ウォウウォウ! イエイ!イエイ!ウォウウォウ! イエイ!イエイ!イエイ!イエイ!ウォーッ!

 マジックナンバースリー!ツー!ワン!ゼロ! これから生まれる俺とお前のディスティ二ー!

 全宇宙かかってこいよ! 震えてんなよ!

 マジックナンバースリー!ツー!ワン!ゼロ! 子猫ちゃんベイビーと俺のディスティニー!

 全世界かかってこいよ!びびってんなよ! 


土田も北側も、そして、食堂にいる別に彼らのファンじゃない生徒達も先生達も含めた全員がそれぞれの場所に戻る時、馬鹿すぎるとわかっているあの曲らをついつい口ずさんでしまったり、脳内でぐるぐる再生してしまうのだった。

最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。

お話はまだまだ続きますので、どうぞよろしくお願い致します。

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