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第三十六話

お話の続きです。

どうぞ宜しくお願いします。

…にこ、あんた、富田のこと…好きなんだね…そっか…そんな泣いちゃうほど好きだったんだぁ…ごめんね、友達のくせにそんなことも気づかないで…ホントにごめん、にこ…にこのこと、やっぱりあたしが守ってあげなきゃ駄目だよね…にこにはあたしがいなきゃ…あたししかあんたのこと守れないと思う…だから…そんなに…気を落とさないで…にこ…いつもみたいにケラケラ笑ってよ…ねぇ、にこ…


哀しそうなにこの後姿になんて声をかけたらいいのか、樹里はわからなかった。


…あ、そだ、るかったら、この間貸した漫画まだ返してくれないけど…忘れちゃったのかなぁ…あ~、早く返してもらえないかなぁ…でも、返してなんて催促できないし…どうしよう…あれ、あたしのじゃなくて、妹のきこのなのに…あ~、今日返してほしいなぁ…じゃないと、ま~た、きこにしつこくしつこく、ねちっこく責められちゃうからなぁ…まぁ、あたしもきこの漫画を勝手に人に貸しちゃったのが悪いんだけどさ…あ~、それにしても…富田ベーカリーのパンもらえるなんてラッキー!うふふふふふ…まさかパンもらえるなんて思ってなかったから、ちょっと涙出ちゃったよ…ははははは…学校に来るベーカリーのパンも勿論美味しいんだけど…もらったミニクロワッサンとかチーズラスクとかは持って来てないみたいだからさぁ…お店に行かないと買えないやつだから…なんかラッキー!いっつも食べたいなぁって思ってても、家と反対方向だからなぁ…パンだけ買いにわざわざ行くってないから…あっち方面の誰かの家に遊びに行く時か、もしくはお母さんと買い物に行く時、車で通る時ぐらいしか買えないものねぇ…しかも、チーズラスクは人気だから、なかなか買えないから…今日もらえてすんごく嬉し~~~~~っ!どうしよう、一人で全部食べたいけど…あ~、今日はお弁当持って来てるからなぁ…あ~、これ、自分の部屋で食べたいよ…あ、でも、きことみこにばれないようにこっそり食べなきゃ駄目か…あ~、でも…う~ん…きこに漫画のお詫びも兼ねて、ちょっとだけ分ける?あ、でもでも、そうなるとみこも絶対嗅ぎつけるよねぇ…そんでお姉ちゃん達だけでこっそりずる~いって騒いでさぁ…そんでお父さんかお母さんに告げ口してさぁ…結局、叱られて…みんなで食べる羽目になるんだよねぇ…家のみんな食いしん坊だからなぁ…なんでかねぇ…ああ、意地汚いってのか…食い意地が張ってるってのかさぁ…かといって、放課後、自分で作った飲み物と一緒に食べたらいいんだろうけど…部活は部活でおやついっぱいあるからなぁ…もらったこのパン達を差し入れっつって、みんなで分けるのも…あ~、一人でゆっくりじっくり漫画かもしくは小説でも読みながら、自分のペースで食べたいなぁ…あ~…嬉しいけど…どうしよっか…考えなくちゃ…放課後までに、考えておかなくちゃ!それはさておき、やっぱ富田君って…るかかちかちゃんのどっちかのこと好きなんだぁ…やっぱそうだったぁ…へへへ…あたし、当てちゃったぁ…へへへ…前々からそうじゃないかなぁって思ってたんだぁ…あの恋してますっていう目とか表情…かーっ!青春してんだねぇ…いいなぁ、るかもちかちゃんも…結構モテて…って…あ…あたしも勘違いされてるとかって…樹里ちゃん言ってたっけ…そうなのぉ?そう言えば樹里ちゃん、あたしがもじもじしてるって…それも言ってたか…だって、男の人とあんま話したことないから…恥ずかしいもの…家なんてお父さん以外全員女だからさぁ…おばあちゃんにお母さん、あたしときことみこだもの…それにおばあちゃんもお母さんもどっちも姉妹ばっかだし、お父さんもお父さんと死んじゃったおじいちゃん以外、兄弟は姉妹ばっかだし、従姉妹とかも女ばっかで…学校は共学だけど、でも、やっぱりあんま男子と話したことないから…恥ずかしいんだもん…すんごい勇気いるんだもん…でも、忘れ物とかしちゃったら、貸してくれるの男子ばっかなんだもん…しゃあないんだもん…


細田にこの脳内は忙しかった。

言葉に出せないことがぐるぐると渦巻いていた。


振り向くとそこに眉をへの字にした樹里が立っていた。

だが、それよりもにこは両手でしっかり抱きしめるように持っている紙袋を思い出すと、急ににやにやが止まらなくなっていた。


…あれ?どしたんだろ?にこ…さっきまで泣いてたと思ったんだけど…なんかにこにこ笑って…なんで?なんでなの?


…へへへへへ…そうだった、そうだった、あたし、富田ベーカリーのパン、もらっちゃったんだった…へへへへへ…あ~、嬉しいなぁ~!へへへ…嬉しいなぁ~!好きな食べ物もらえるのって、すんごく嬉しい!下手におしゃれ雑貨とかもらうよりも、絶対こっちの方が嬉しいに決まってるよん!へへへへへ…


「ねー!樹里ちゃん!えへへへへへへ。」

「え?あ?うん?」

「行こ!行こ!へへへへへ。」

そう言うと細田にこは若干強引に戸惑う樹里と腕を組んだ。

組んでいない方の手に持った富田ベーカリーの紙袋から、美味しいチーズラスクの香りがふんわりとしていた。

最後まで読んでくださって、本当にありがとうございました。

お話はまだまだ続きますので、どうぞ宜しくお願いします。

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