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第三十四話

お話の続きです。

どうぞよろしくお願いします。


…えっ?え?嘘!嘘でしょ?なんで?だって…だってさ、わざわざこんな可愛い、しかもピンクの封筒だよ!じゃあさ、じゃあ、聞くけどって…誰にって話なんだけど…まぁ、いいや…ピンクの封筒を女生徒から受け取りましたってなったらだよ…絶対、絶対誰だってラブレターかなぁって思っちゃわないか?なぁ…って、誰もいないけど…って、なんだよぉ~、あいつらぁ…そそくさ逃げるみたいに走って…そりゃ、そりゃあさ、ちょっと気まずい風だったかも、だったかもしれないけどさぁ…え~…おいてく?俺をさぁ…俺、曲がりなりにも数年前までお前達を教えてた教師だよ…先生なんだよ…それをさ…おいてっちゃうんだねぇ…そうなんだねぇ…え~え~そうですか…はぁ~、薄情なやつらだなぁ~…もう…それにしても…なんだよぉ~…進路調査表ってさぁ…確かに今日、締め切りだからって先生、言ったよ!言いましたけど…朝のうちに、みんなぞろぞろ前に出てきて、教壇のとこに置いてったけどさぁ…っつうか、先生、声かけて、集めました…ああ、ええ、集めましたよ…集めた、集めないで言ったら、確かに集めました、大事なものですからね…ええ、ええ…そうですとも…でもさぁ…みんな、裸で…って裸っつうのも…なんだ…その…紙、そのまんま出してたよ…なのにさ…細田はさぁ…細田にこは…ん~…まぁ、その、なんだ…丁寧な子…ってのか…なんだ…そういうの提出する時、きちんとしてんのかな…うん…そうか…そうなのかな?…普段から誰かになんか借りたりしたら、返す時いちいち綺麗な袋とかに入れて寄こしてくるタイプなんだろうな…そっか…家でそういうのきちんとしつけとしてやってんのかな?…まぁ、確かに、細田はきちんとしてるもんなぁ…誰が見ても優等生って感じだものなぁ…大人なしいグループだしなぁ…そっか…そういうことなのかな?…はぁ~…てっきりラブレターだと思った先生が悪い…んだな…うん…そっか…受け取ってから、ずっと…もう、今日なんてず~っと気になっちゃって気になっちゃって…駕籠部の生徒達から、にやにやしてるけど…なんて言われちゃったけどさ…言われちゃうほど…だってさ…教師になって、そこそこ経つけど…今までバレンタインだって、女生徒から一度もチョコレートもらったことないけどさ…女性の先生達の連合軍からもらうだけで、後は妻から…はっ!あっ!いやっ…違う!違うんだよ!まさみちゃん…君が出産で実家に帰ってるからって…女生徒からラブレターもらっちゃったぁ~んって、浮かれてた訳じゃな…くもないけどさ…やましい気持ちとか、そういうのはちょっともない…とは言えないかもしれないけどさ…あ、でも…ほら、漫画とかでよくある憧れの先生っての?あれ風に振舞ってたかもしれないけどさ…ちょっとウキウキしちゃってたかもしれないけどさ…あ、でも、でもさ…愛してるのはまさみちゃん…君だけだから…そんな…生徒なんか…生徒としか…ねぇ…ちゃんと生徒として見てますよ…ええ、ええ…天に誓えますって…そんな…細田はちょっと…その…なんだ…胸のあたりが…その…ふっくらしてる系だけど…全然…変なことなんか想像してないし…ないから…ええ、ええ、ないですとも…ないってば…っつうか…そんな紛らわしい形で進路調査表持ってくる細田が悪い…ってのか…そういう行動ってどうよ…教師だって人間だよ…わかるよねぇ…ねぇ…って…ははは…はははは…ははははははは。


「あ~あ…まさみちゃんに会いたいなぁ…。」


出産を控えて実家に帰省している愛妻まさみの優しい笑顔を思い出すと、柳沢の目からいつの間にか涙がツーと頬を伝った。

そう思うや否や、柳沢はカバンからスマホを取り出すと、すぐさま愛妻まさみに電話をかけた。


「はい?」

「あ、まさみちゃん?俺…。」

「あ~、ごめん…今、ちょっと無理なの…後でね。」

「えっ?な、なんで?」

「ああ、今ね、お兄ちゃん達来たから、みんなで焼肉屋さんに来てんの…あ~…ごめん…じゃね。」


「焼肉…かぁ…そっかぁ…焼肉…なんだぁ…そっかぁ…そっかぁ…みんなで焼肉なんだぁ…そっかぁ…俺いないのに…あんなに楽しそうに…焼肉…なんだぁ…そっかぁ…。」


柳沢は家に帰る途中いつものコンビニで、普段は躊躇してなかなか買えないちょっとゴージャズなプリンアラモードを買った。

最後まで読んでくださって、本当にありがとうございました。

お話はまだ続きますので、引き続きよろしくお願いします。

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