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第十三話

詩とポエムの会の彼の気持ちがいっぱいなんです。

どんな君も好き。

どんな君も好き。

たとえどんなことがあろうとも、僕は君が好き。


どんな君も好き。

どんな君も好き。

たとえ君が誰かのものでも、僕は君が好き。


晴れの日は君の笑顔を思い出す。

雨の日は君の泣き顔を思い出す。

風が緩やかな日は、君の寝顔を思い出す。


美味しそうに食べる君は可愛い。

本を読んでる君は凛々しい。

走ってる君は煌いている。


ああ、僕は、僕は君が好き。

君を思わずにはいられない。

手の届かない君。

いつか「好きだ」と言えたらいい。


あっ…加藤…あ…


玄関の階段に腰掛けて思いついた詩が頭の中から消えないうちに書き留めていた高島ひろきは、木村つよしと仲良く手を繋いで歩いている加藤レイラに気がついた。

楽しそうな二人を数秒見つめた後、何とも言えない気持ちが胸の中いっぱいに広がった。

中学から一緒だった加藤レイラに告白する勇気もない自分。

映画やドラマの様にかっこよく、木村から彼女を奪い取る勇気も自信もない自分。

ただこうして、可愛い彼女を目で追いかけるだけ。

それしかできない自分。


や…だって、そんなことしたって…告ったって…俺のこと好きになってくれるかどうかの保障なんてないじゃん!どうせ、ふられるのがオチに決まってるし…それに…あいつら両思いなんだから…俺がつけいる隙なんてある訳ないし…いつか…もしかしたら…あいつら別れたら…そしたら…チャンスあるんだろうけど…中学の時だって…何度かチャンスあったけどさ…だけど…ギャル系の加藤なんか…地味で存在感が薄くて、暗いって言われてる「詩と朗読の会」の俺のことなんか…一緒の中学だったことすら覚えてないかもしんないし…ってか…今だって…俺の存在なんか…きっと知らないだろうし…告ったって気持ち悪がられるだけだろうし…加藤が好きそうな…見つけたら、もしかして声かけてくるかもしれないキーホルダー、買ってカバンにつけてみたけど…全然見てもらえないどころか…好きでも何でもねぇ、クラスのブス女が騒いじゃって大変だったし…


「こうやってぐじぐじしてんのが一番駄目なんだよなぁ…。」


来年までに…来年するまでに…木村がいようが…何だろうが…一回当たってくだけてみよっかな…ちゃんと告って…こっぴどく、かっこ悪くふられないと…玉砕しないと…いつまでも…俺…あいつのことばっかで…一歩間違えたら…ストーカー…いやいや…そこまでしつこくしたら、逆に嫌われるってちゃんとわかってっから…そこまでなっちゃうほど、俺、理性失ってないし…でも…だけど…きっとそれじゃあ…前に進まないよなぁ…希望の大学にも入れねぇ気がする…来年、本格的な受験勉強始まるけど…気持ちにちゃんとけじめつけないと…すっきり勉強なんて出来ねえよなぁ…ちゃんと加藤を諦めないと…これからの俺の人生…全部駄目になる気がする…木村がいたっていいじゃないか…ぶん殴られるかもしんないけど…


立ち上がって昼間から夜に移り変わる空を見上げ、大きく深呼吸した。

ひんやりした空気が沁みると、目の縁に涙粒がはみ出た。


「さてと…帰ろ!腹減ったなぁ…。」

「あれっ?高島君、今帰り?」

声をかけてきたのは、1年の時同じクラスだった樋口まみだった。

「ああ、うん、そう。」

「どっち方面?」

「バスセンターだけど…。」

「ホント!よかった…あたしもね、バスセンター方面なんだ…一緒に帰ろう!」

「あ…ああ…うん。」

「うふふふふ。」


少し馴れ馴れしい樋口まみの可愛い笑顔に、高島ひろきの心は幾らか楽になった。

最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました。

お話はまだ続きますので、どうぞよろしくお願い致します。

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