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第十話

部活終わりの帰り道、コンビニの辺りでの出来事です。

「はぁ…今日はしんどかったなぁ…。」

「そだなぁ…高橋で特訓…いいかなぁと思ったんだけどなぁ…。」

「確かに…はぁ、それにしても…腹減ったぁ…。」

部活終わりの帰り道、駕籠を担いだ土田と北側は今日の練習のハードさを改めて思い知った。

「それにしても…高橋…大丈夫かなぁ?」

「大丈夫じゃね?あいつ、案外打たれ強いと思うよ…あ、わりぃ、勝馬…コンビニ寄っていい?」

「いいけど…つっちー、朝も寄ったって言ってなかった?」

「そう、寄った寄った…おにぎり買った…それよか、今腹減っちゃって…勝馬はなんか買わねぇの?」

「…ん~…。」


デオデオデオデオ。

「いらっしゃいませぇ~!」


学校近くのコンビニに入ると、同じく部活を終えたソフトボール部の面々がいた。

レジでアメリカンドッグを頼んでいたのは、ゴリラ女こと水野めいだった。


あのゴリラ…アメリカンドッグにしたのかぁ…あ、なんかすげぇラブリーな財布…そっか…あんなゴリラでもやっぱ女は女なんだなぁ…あいつのスマホカバーもピンクのふわふわが手垢できったなくなってるもんなぁ…ははは。


土田は水野めいから目が離せなかった。


「なぁ、つっちー…何食べんの?俺、今日特にねぇんだけどさぁ…。」

「…え、あ…そうなの?わりぃ…じゃ、ちゃっちゃと買ってくるから、なんなら勝馬、外で待ってて…なんかソフト部のやつらでいっぱいだから…。」

「そ…だな…じゃ、外にいっから…早めにお願い!」

北側勝馬が外で待っていると、そこに見慣れた制服軍団が迫ってきた。


「あ!」

「あ~!北側、あれぇ?今帰りぃ?」

山形るかは駕籠部の特訓に付き合ってと言われてた高橋なずなのことが少し気になっていた。

「ああ、うん…山形達も?」

「そう!あ、そだ…今日ね、アウトドア部と合同の燻製会だったんだぁ…。」

「ふ~ん…そうなんだぁ。」

「あ、そうそう…北側さぁ…燻製とか好き?」

いきなりの質問の最後の「好き?」の部分に過剰反応した北側は、耳たぶまで一気に赤く色づいた。

「ねぇ、聞いてる?燻製さぁ…お父さんとかお母さんとか家族で燻製好きな人いる?」

「え?あ、ああ、うん…俺もあれば結構食うけど…」

「じゃあさ…」

るかがそこまで言いかけた時、「お待たせぇ、勝馬!」とコンビニからケチャップとマスタードをつけたアメリカンドッグを手にした土田が戻って来た。

「あ!土っ…」

「ん?何?山形達…部活の帰り?」

「あ、うん…うん、そうなんだけど…あ、そだ…土田も燻製好き?」

「ああ、食うかな…。」

「じゃあ…じゃあ…二人に少し分けてあげるよ…これなんだけどさ…」

そう言うなり、るかは手にしていた大きなビニール袋から作った燻製を分けてあげようとした。

するとすかさず、一緒に帰っていた辰巳馬子まこが余分なビニール袋を2枚出した。

「あ、じゃあ…あたしも少しあげるよ。」

「あ、じゃあ、あたしも…こんなにあるから。」

「あ、じゃさ、俺のも少し。」

辰巳馬子まこにつられた形で一緒に帰っていた永田ちかと菅原翔も自分達の取り分の中から、土田と北側に少し分けてくれた。


「なんかわりぃねぇ。」

「な、なんかありがと…」

そう言うと北側勝馬はちらっと山形るかを見た。

そこに買い物を終えたソフトボール部の面々が、コンビニからわいわい出て来た。

「あ、そだ…これさ…少し…そのっ…水野に分けてあげていいかな?」

「えっ?別にいいけど…」

そこにいる一同が賛成すると、重たそうなエナメルバッグを肩にかけものすごく必死な顔でアメリカンドッグにかぶりついている水野めいのところに、土田和男はだだだと駆け寄った。


「どしたの?土田。」

るかの素朴な疑問に、一緒だった北側は「さあ?」としか答えられなかった。


「ああ、わりぃわりぃ…」

「何?どしたの?つっちー。」

「ああ、今日さ、水野に取れかかってたボタンつけてもらったから…なんかお礼しなきゃいかんかなと思ってさ…。」

「なぁんだ…。」

全員が同じ感想を同時に言った。

「これよこれ。」と照れが入ったまんざらでもない笑顔で、つけてもらったボタンを見せる土田の態度に、るかは少しだけ哀しい様な悔しい様な自分でもまるで説明できない感情が内に広がっていくのを感じた。

そんなるかの様子をいつも一緒にいる永田ちかは全く気づいていないけれど、辰巳馬子まこは薄っすら気がついていた。

それだけじゃなく馬子は、北側が抱いているるかへの想いもこの短いやり取りですっかり把握したのだった。

ちかは燻製会の出来事をまだ引きずって、普段の様な気持ちになかなか戻れずにいるのだった

最後まで読んで下さり、本当にありがとうございました。

お話はまだ続きますので、どうぞよろしくお願い致します。

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