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君と僕の世界

そこに僕がいなくても

作者: サキバ

「君がどんな状況だって僕が君を守ろう」


「あら、ありがとう」


「いやいや」


そうでもしないと僕はどこで命を使えばいいか分からない。

というか僕の命はそう燃やすしかないだろう。

彼女のために。


例えば彼女が死ぬか僕が死ぬかと問われれば迷いなく僕の命を差し出すだろう。

例えば彼女か彼女以外のこの世界の人達を選べと言われても迷いなく彼女を選べるだろう。

彼女のいない世界に価値などない。

誰に責められても甘んじても受けよう。

それでも選択は変えない。


世界なんてどうでもいい、彼女さえいれば。

誰に裏切られても彼女さえいれば。

彼女に裏切られても彼女がそこにいたならそれでいい。

いやこんな想像は彼女に失礼だ。

彼女は僕を裏切らない。

こんな世界がどうなったって、きっと。


僕らはきっとどこかおかしいのだろう。

この世界で二人ぼっちな僕たちは。


それでもそれが僕らを構成するのだろう。

それが彼女を構成していることを僕は愛おしく思う。

僕の構成する全てがそう言っている。

そんな彼女を僕はいつまでも見ていよう。


「でもあなたが死ぬ前に私があなたを殺すわよ、あなたの最期が誰かに奪われるなら」


君がそういうなら嬉しいよ。

君がそう言ったなら僕は君にどこまでもついていこう。

僕も君の最期をしっかり見ていよう。


「だからあなたも私が死ぬ前にあなたが私を殺してね」


「もちろんだ、そして君を殺した後は僕は君に殺されよう」


「ええ、あなたに殺された後はあなたを殺しましょう」


彼女は僕の胸を叩いた。

問いかけるように。

あるいは心臓を握り潰すように。


「覚悟していてね」


「君こそ」


そうして僕たちは一緒に笑った。


僕らの想いは誰が聞いてもわからないだろう。

僕らの狂気を。

僕らの凶器を。

それでも確かに共有している。

僕の想いも。彼女の想いを。


それはナイフごしなのかもしれない。

僕あるいは彼女を殺したナイフでどちらかの胸に刺すのかもしれない。

そうして僕たちはまた繋がる。

それがどんな凶器でもそれは変わらない。


「その前に殺されてしまわないでね、殺し直すのは疲れるから」


もちろんだ、僕は彼女以外に殺されるつもりは無い。

死んでまで彼女に迷惑はかけたくないしね。


「君も誰かに殺されることがないようにね」


「当たり前じゃない」


きっと僕は笑ったのだろう。

彼女も笑っているから。


だからこの世界は退屈しない。

そんな日が来るのを楽しみにしていよう。


どこにいても、そこに僕がいなくても僕が君を殺すだろう。

彼女もそれは同じだ。


この世界に僕は話続けよう。

非難をされてもけがをしても僕は言うだろう。

この証明が間違っていないことを。



これが僕たちの愛の証明だ。

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