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デスコメ  作者: nanto
5/5

ツンパン幼馴染は真っ赤な花を咲かせる。

久しぶりの投稿となります。

気軽にお読みください。

だいぶ主人公が暴走気味ですが、温かい目で見守ってください。

 ぼんやりとした意識の中チュンチュンと小鳥の鳴き声が聞こえる。

 もう朝か、とデジャブを感じる状況判断をしていると。


「兄さん、起きてください。朝ですよ」


 これまた聞き覚えのある声が俺の耳に心地よく響く。

 同時に何かが頭に流れ込む感覚がし、自分が置かれた状況を思い出した。


 そうか俺……ってこのやり取り本当何回目だよ。

 いい加減に読者に飽きられるだろ。

 さっさと次に進めろよ。


 と誰に対してかわからない愚痴をを連ねていた俺を。


「もう!起きないと遅刻しちゃいますよ」


 現実に引き戻す天使(文字通り天に導く)の声がした。

 相変わらず寝ぼけているせいか瞼が重いがどうやらそばにいるようだ。


  っと、呑気に構えてる場合じゃなかった。

 またサクッと殺されるのはごめんだからな。

 それじゃあ計画通り行くか。


 名付けて「看病イベント大作戦」


 えーと、まずは想像するんだ。

 夏休み最終日。

 明日から学校が始まると考えた時気持ちを。

 行くぞ。


「あー、だるいー」


 うん、いい感じだ。休み明けの気だるさをうまく表現できたぞ。


「そんなこと言ってないで起きてください。良い天気ですよ」


 緋衣も俺の言葉に反応している。

 うまくいってるみたいだ。

 このまま緋衣を誘導して殺されるのを回避するぞ。


「なんか、体が痛い」


 さっきの調子で体調不良を訴えてみる。


「え、大丈夫ですか!? 風邪でも引いたんじゃ?」


 そう言うと緋衣は何かを額に当ててきた。

 どうやら体温を手で測っているらしい。

 柔らかくひんやりとした感触が心地よい。


「熱いです。やっぱり熱があるじゃないですか。これは私が兄さんの看病をしないといけませんね。

 そう私が、兄さんを……ふふふ」


 この子人が体調悪いのを知って喜んでるんだけど。

 恋する乙女は恐ろしいな。


「そうと決まればさっそく準備しなきゃ」


 ガチャとドアノブを回す音が聞こえた。

 どうやら緋衣は部屋を出ようとしているようだ。

 だがそのまま行かれては困る。まだ言わなければいけないことがあるから。


「手に持っているものは置いてきて」


 そう緋衣は2回と鋭利な刃物で俺を刺し殺している。

 だが彼女がそれを何処かかから取り出している様子は感じられなかった。

 つまり今も握っている可能性が高いのだ。


「あれ、私ったらうっかりしてました。料理をしていたからそのまま包丁を持ってきてしまったみたいですね。恥ずかしいです」


 いやいや、普通は気づくだろ。


「では、少しの間待っていてくださいね」


 まだ少し照れた声色でそう言うとガチャンと音を立てて足音を遠ざけていった。


 ふう。これでいきなり刺し殺されることはないだろう。

 それにしてもまさか本当に熱があるとは思っても見なかった。

 どうりで体が言うことを聞かないと思ったぜ。

 だがここまでは計画通り進んでいる。

 この看病イベントで好感度を上げてゲームをクリアしてしまおう。


 ガチャ


「お待たせしました。兄さん」


 戻ってきた緋衣は俺に声をかけて近寄り何かを床に置いた。


「とりあえず水と市販の風邪薬を持ってきました。起き上がれそうですか?」


 体を動かそうとしてみるが力が入らない。

 やはり自力では無理そうだ。


「じゃあ、ちょっと失礼しますね」


 できないと判断したらしく緋衣は首の下から手を回して俺の肩を掴み引き寄せるようにして起こそうとする。彼女から漂う女の子特有の甘い香りが麻薬のように俺の思考をふわふわさせる。


 やばい、熱が上がってきたみたいだ。


「ああ、良い匂い」


 思わず感情が口から溢れる。


「い、良い匂いって、ちょっと兄さん何嗅いでるんですーーキャッ!?」


 突然のセクハラ発言に態勢を崩した緋衣を巻き込みながら俺の体は布団から崩れ落ちた。


 ガシャン!


 ああ、身体が熱い、喉が乾く。水が欲しい。

 唇に湿った感触を感じる。

 俺は少しでも水分を得ようと舌を伸ばすと柔らかいものに触れる。

 それを搦めとるように舌を動かす。


「ーーっ!?」


 何か聞こえた気がしたが気にせずに吸い付く。

 俺の脳に何かが流れ込んでくるのを感じる。


 しばらくするとぼんやりしていた意識が戻り俺は目の前のものから口を離し瞼をゆっくり開いた。


 この世界で初めて俺が見たものは白い肌を紅潮させて幸せそうに気絶している黒髪の女の子だった。


「この子もしかして緋衣か? 可愛い声してるとは思ってたけど、見た目もすげー可愛いな。イシュとは違って和服のよく似合いそうな古風な感じだ。胸は似たような大きさだが。特に綺麗に切り揃えられた長い髪がグッド!」


「て、冷静に分析してる場合じゃねえ! こんな状態誰かに見られた一発でしょっぴかれるぞ」


 急いで緋衣から距離をとった。


 スカートやら制服やらがめくれてしまっている彼女に俺の身体が覆い被さっていて、傍から見れば襲っているようにしか見えないだろう。


「ん? そういえば体が動く、声も。なんでだ?熱も下がったみたいだし」


 疑問に思っているとポケットの中でピロンと何かが鳴った。


 調べて見ると緋衣からもらった携帯機器が入っていた。

 画面には「ペナルティー解除」と表示されている。

 その文字をタップしさらに進むと。



 ペナルティー【熱など風邪にキスが効く】*が解除されました。

 それではゲーム攻略に向けた頑張ってください。


 *【熱など風邪にキスが効く】

 風邪と同じ症状になります。

 解除するためには女の子とキスをしましょう。

 だだし用法、容量を守って正しくお使いください。

 問題が発生しましても当方は一切責任を取りません。



 とあった。

 つまり、俺があんなに苦戦したのはこのペナルティーが発生してたからなのか。


 しかもペナルティーの解除報告だけでペナルティーの発生報告はない。

 これではどんなペナルティーを受けてるか、解除されるまでわからない。


「こんなの厳しすぎるだろ」


 しかも元の世界に戻っていないということはゲーム自体はクリアできていないってことだ。

 これから俺は知らされないペナルティーも考慮しながらよく知らない女の子たちを攻略しなければならない。


「だけど、このままってわけにもいかないしな」


 ずっとこんなよくわからないゲームを続けるなんてまっぴらごめんだ。

 早く誰か女の子と恋人にならないと。


 と言っても緋衣は気絶したまま起きないし。

 とりあえずやれることをやって行くしかないか。


 まずはこの部屋から調べるとしよう。

 見た所普通の高校生らしいシンプルな部屋だ。

 家具は俺が寝ていたベッドに勉強机と本棚があるくらいで綺麗に片付けられている。


 特に特筆する点はなさそうなので緋衣もベッドに寝かせて、次は他の部屋を探索することにする。


 部屋の外に出て廊下を少し進むと緋衣の部屋があった。だが中を見るのはなんとなく怖かったのと女の子の部屋に勝手に入るのもアレだったので先に他の場所を回ることにした。


 風呂場、トイレ、台所などあらかた見て回ったが特に特筆すべきものは緋衣のパジャマしか見つからなかった。

 とりあえず戦利品をクンカクンカしてみる


「女の子ってなんでこんなにいい匂いするんだろうな」


 ふうと一息入れてみる。


 困った、ここからどう動けばいいかわからない。

 緋衣が目を覚ます様子もないし。

 パジャマだけでは物足りなくなってきた。


 こんなことなら緋衣にいたずらしておくべきだったかもしれない。

 せめて下着だけでも拝借してこよう。

 こんなチャンス二度となさそうだし。

 よしそうしよう。


 と次の方針が決まったので行動に移そうとした時。


 ピンポーン、ピンポーン


 コンビニで流れる音と同じインターホンの音が鳴り響いた。


 だ、誰かきた?こんな朝早くから?

 いや待て、そういえば主人公には確かーー


 ガチャッ


「お邪魔しまーす……何よ、起きてるじゃない。ならさっさと出なさいよね! 」


 ツンツンと擬音が聞こえてきそうなくらい気の強そうな女の子がこちらの顔を見るや否や話しかけてきた。


 そう、この主人公にはギャルゲーやなどのラブコメよろしく幼馴染キャラもいるんだ。

 おそらくそれが目の前にいる女の子で、たしか名前は『雪雫花咲里(せつなかざり)』。

 しかも家は隣同士という一度は憧れる王道展開。


 そのうえその子がまたえらい美少女で俺の好みのどストライクだった。

 髪型は定番の長い髪を頭の高い位置でまとめたポニーテール、目は切れ長でイシュや緋衣ちゃんの可愛い系とは違い、美人という印象が強く、佇まいからも凛とした雰囲気を醸し出している。


「な、何よ、ジロジロ見て」


 そして何より特筆すべき点は思わず釘付けになるほど大きな彼女の双丘だった。

 今は体を抱くようにして隠しているがそれでも腕から零れ落ちそうなほどのボリュームが見て取れる。

 今まで貧乳キャラしか出てなかったが俺は巨乳キャラも大好きだ。


 もしこの子と付き合えたらあのおっぱいを俺の自由に……ふひひ。


「あんた大丈夫? 目がキモいわよ」


 ハッ! いけねぇ。主人公らしく振る舞わないと。えっと。


「綺麗だからつい見とれちゃって」


「は、はあ!? いきなり何言ってるのよ? あ、あんたそんな事言うタイプだっけ?」


 正直に答えると花咲里は顔を赤くして動揺を見せた。

 あれ、間違えたか? この主人公爽やかイケメンだったからチャラいのをイメージしてたのに。


「ご、ごめん」

 

「べ、別に嫌ってわけじゃなくて。むしろ言ってもらって嬉しいというかその……」


 うんやっぱりツンデレキャラはいいな。

 この照れ隠しの顔がたまんねえ。

 あ、昂ぶってきた。


「そう、じゃあ遠慮なく。 ほんとにモデルさんみたいに美人だし 、今みたいに照れて赤くなった顔もすげー可愛い。長めのポニーテールも柔らかくふわっとしていて指でクルクル弄びながらうなじを舐め回したい」


「そ、そう……、はあ!?」


「その後は恥ずかしそうにスカートをまくりながら、黒のパンティーストッキングに包まれたおみ足で顔面を踏んでほし……どうしたの?」


「ひっ!」


 花咲里はうさぎのように怯えて俺から距離を取ろうとする。

 おかしい、主人公らしく自分に正直になって褒めまくっていただけなのにひかれてしまったぞ。

 これはいけない。

 何としても好感度を取り戻さないと。


「なあ」


「変態!近寄らないで!」


 駄目だ、聞く耳を持とうとしない。

 俺に汚物を見るような眼を向けて来るばかりだ。

 やだ、何か目覚めそうだわ。ビクンッビクン!!


「そこまで嫌がらなくてもいいじゃないか。これくらい健全な男子高校生なら普通だぞ、たぶん」


「そんな汚物どもは肥料になって自然に報いなさい」


 んひぃーー!!

 俺の敏感な部分を抉ぐる鋭い毒舌。

 なかなかやるじゃないか、ハアハア。

 だが、俺だってただではやられないぞ。


「まぁ、花咲里が無理ならしょうがない。緋衣に頼むことにするよ」


「な、何言って!?き、兄妹でそんなこと、ダメに決まってるでしょ! そもそもなんでやるって話になっているのよ!?」


「だって他に頼める相手いないしなあ。緋衣ならきっと受けてくれるだろうし。それに俺もう辛抱たまらんのです」


 うう〜!と倫理観と嫌悪感の狭間で揺れる花咲里を俺はうねうねと急かす


「早うしてたもう〜〜」


「わかったわよ、好きにすればいいでしょ! 間違いを犯させるわけにはいかないもの」


 ウヒョヒョ、チョロいぜ。


「じゃあとりあえず後ろ向いてくれるか?」


「これでいいの?」


 俺は後ろから抱きつくような形で近づく。

 そして花咲里の太ももから腰のラインにそって撫でるように触る。


「ちょっとどこ触って、ひゃうっ!?」


 うなじに顔を埋めると女の子らしい可愛い声を上げた。

 フローラル系の甘い香りが俺の劣情を駆り立て、思考を奪っていく。


「このパンティストッキングのスベスベした感触は素晴らしいな、ずっと触っていたいわ」


 太ももを撫でながら彼女の髪を鼻でくすぐるように堪能する。


「息が…当たって、んっ!」


 花咲里は悶えながら、時折艶かしい声を漏らす。

 次に俺はスカートの方に伸ばしかけていた手を戻して自身の頰を思いっきり叩いた。


「痛ってーー!?」


 はっ、何をしているんだ俺は。 もう少しで健全な美少女ゲームにあるまじき展開に陥るところだったぞ。

 このまま続けるのは精神的にまずいな。


「あ、ありがとう、そろそろ……ッ!」


「どうっ…した、の?」


 花咲里は頰を蒸気させトロンとした目でこちらを見つめてくる。


「そろそろ次のシチュ行こうか」


 もう少し楽しんでも問題ないよね。

 最悪やばいシーンはカットで朝スズメが鳴いているシーンを流せばいいし。

 俺は花咲里の正面に正座して前のめりになる。


「今度はスカートを自分でめくって見せて」


「えっ、す、スカートを?」


 スカートの端をつまみながら花咲里は顔をさらに赤くしながら尋ねる。


「あ、あの…その、本当にやらないとダメ?」


「だ、だめだ」


 くっ、かわいい! 思わずやらなくていいと言いそうになったが心を鬼にして(煩悩でいっぱいにして)先を促した。


「う〜、恥ずかしい」


 つままれたスカートが少しずつ上がっていき、パンティストッキングに包まれた太ももが露わになっていく。

 あとちょっとで見える。


「早く、早く♪」


 俺はおやつを待ちわびる子供のように急かす。


「う、う〜」


「はやく、はやく、はやーー」


「っ!ーーやっぱり無理!」


 ドシュッ!

 という人体から聞こえるはずのない類の音が響いたと思ったら世界が反転していた。

 違う、正確には俺の頭が上下逆さまになっていた。


 そして何かを蹴り飛ばしたような態勢の花咲里の側に頭部のない俺の体があった。首からは大量の血が噴水のように噴き出している。


 なんてことはない。

 蹴り飛ばされたのだ、俺の顔面が。

 頭と胴体が引き離されるほどの花咲里の脚力で。


 と、状況を冷静に分析している自分に気づいた。


 そしてまた意識の断絶が俺を襲った。


 ーGAME OVERー









 














お読みいただきありがとうございました。

新キャラ花咲里ちゃんの登場です。

しつこく迫られるとノーと言えないツンデレチョロインで、主人公をワンパンで殺せる系ヒロインです。

取り扱いには十分お気をつけください。

では、次回の投稿までさようなら

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