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デスコメ  作者: nanto
3/5

ゲームスタート

前回もう少し早く出せると書きましたが、結局さらに遅くなってしまいました。申し訳ありません。

次話投稿もまた同じくらいかかると思われますがよろしくお願いします。

「ゲームって言うのはリク君がさっき体験してきたことだよ」


 俺がもち肌を弄んだ後再びイシュは元の場所に戻るための話を始めた。

 と言うか、リク君か。女の子に名前呼ばれるのなんかいいな。


「さっき体験したって……、寝てる時にいきなり刺し殺されたアレのことか?」


「そう。リク君が体中からいろんな液体を噴出する原因になったアーー痛ひだひだひだひ!」


「お前は無駄口挟まないと会話できないのか?」


 俺はイシュの両頬をつまんで引っ張るともちのように伸びた。


「もう! 顔がパンのヒーローみたいになってお嫁に行けなくなったらどうするの!」


 イシュは涙目になりながらプンスカ怒り出す。


 本当表情がコロコロ変わるなこいつ。でもまあ、ちょっとやりすぎたかもな。しょうがねえ。


「その時は責任とってやるよ」


「え!?」


 イシュは何やら驚いた表情を浮かべてすぐに赤くなった。


 どうしたんだ、急に?


「せ、責任取ってくれるの? 本当に?」


「ん?お、 おう、どんとこいよ」


「いいの?」


 俺に向けてくる瞳には熱が篭っていた。


 な、何だよ。俺になに要求するつもりだよ。だから金は無いと言ってるだーー


 そして俺はイシュが不安そうな顔をしていることに気づいた。それはまるで捨てられるのが分かっている犬のようで、胸が締め付けられるような感覚を覚えた。その顔をどうにかしたくて俺はーー


「取るって言ってるだろ」


 思わずイシュの頭を撫でていた。

 触れた瞬間イシュはビクッとなったが嬉しそうに頬を緩めて俺にされるがままになっていた。髪はサラサラと流れて指通りがよく、手に伝わる温もりが心地良い。

 しかし、しばらく続けていると無性に顔が熱くなってきた。


 何これ? なんかすげー恥ずかしい。少女漫画のヒーローかよ。あいつらポンポン頭触りすぎなんだよ。


「そういえばさ」


 頭から手を離すとイシュは「あっ」と少し残念そうな顔を見せたが


「何?」


 と可愛らしく首を傾げた。


 イシュお前可愛すぎるだろおぉぉぉ!


 思わず抱きしめたくなったが、ギリギリ理性で抑え込み話を続けた。


「さっきの話の続きなんだがあれがゲームならどんなジャンルなんだ?」


 いくらか予想はついていたがわからない部分が多々あったので聞いてみた。


「たぶん美少女ゲームつまり恋愛シュミレーションゲームだと思う。女の子の好感度を上げて恋人同士になればクリアできるはずだよ」


「思うってどういうことだ?あれはお前が作ったんじゃないのか?」


 てっきりイシュが作ったのだとばかり思っていたが。


「私はこのゲームのマスコット兼サポート係てところかな」


「サポート係ねぇ、だらけてた奴がよく言うな」


「う~、だって面倒なんだもん」


 少しだけバツが悪そうな顔をしつつもスタンスを変える様子はない。ぶれないなこいつ。


「クリア条件は予想してたのと同じだからそれはいいが、好感度はどうやってあげるんだ? 選択肢でも出てくるのか?」


「そういうものはないかな。リク君の行動、発言によって変化するよ」


 まじか、ボッチでコミュ症だぞ、俺。クリアできるのか? 

 それに妹が刺殺してくるような世界だろ……


「他にどんな女の子がいるんだ?」


 そうだねぇとイシュは考え込む仕草をした。


「いちいち説明するの面倒だからこれを見てもらおうかな」


 イシュはソファーに座り直し、ポンポンと手で自分の隣を叩き俺にも座るよう促す。

 俺が腰を下ろすとイシュはお互いの腕が触れ合うくらいに近づいてきた。


 ち、近い!


 思わず身構えるがイシュは顔を赤らめながらも携帯機器を取り出す。そして何かしら操作した後、俺に見せてきた。そこには



 〈キャラクター紹介〉


 『湯前莉紅(ゆのまえりく)

 

  このゲームの主人公

  七夕高校に通う2年生

  両親は仕事の都合で海外 にいるため妹と二人暮らしをしている……etc



 という文章とゲームのキャラが写っていた。


 これはあれだ。アニメのHPやゲームでよくあるキャラクター紹介の画面だ。


「このゲームについてまとめてあるからわからなことがあったらこれあげるから見てもらえばいいよ。ヒロインたちの好感度も確認できるから」


 なるほど便利だな。なんでもっと早く出さないんだとも思うが。

 それよりも、気になることがあった。


 このかっこいい男子だれ?


 俺と同じ名前の主人公キャラはとても端正で人当たりのよさそうな顔つきをして、|(ゲーム中の高校のものと思われる)制服を身に纏っていた。


 爽やかオーラが半端ないな。俺こんなイケメンじゃないぞ。


「何かゲームでの俺?がカッコよすぎてヘコむんだけど」


「そりゃあ、君の見た目で女の子にモテるわけないんだから、変えるに決まってるじゃーーンゴッ」


 俺がイシュの鼻の頭を押すと豚のような声を出した。


 自分で言うのは良いが、他人に言われるとイラッとするよな。だからこいつが悪い。


「や〜め〜て〜」


 イシュの鼻を押したまま指をグリグリした。


「いじめっ子!良くない!」


 イシュは俺の手を振り払った後、またプンプンと怒り出す。


「もう……えへへ」


 と思ったら嬉しそうに笑った。


「何笑ってるんだよ、変な奴だな」


「だって、さっき……えへへ♪」


 いじりすぎてバカになったか? いや、元からか。


 イシュの頭を撫でながら先ほどの画面の続きを流し見る。次が妹ちゃんのページだった。

 名前は


 『湯前緋衣(ゆのまえひい)


 と言うらしい。名前の横にした半分ほどピンクに染まったハートマークと【好感度 50/100】と書かれていた。キャラ画像はシルエットになっていたため分からなかった。


「ヒロインの顔は見えないのか?」


「にょへへへへ……、うん?」


 俺の声に気付いてイシュは顔を上げる。まだお花畑にトリップしていたらしい。


「この絵は見えないのか?」


「まだちゃんと顔を見ていないからだと思うよ。先に分かっちゃうと面白くないしね。リク君が認識すればポ〇モン図鑑みたいに埋まるよ」


 そうか、なんか無駄に凝っているな。


 お礼代わりにまたイシュの頭を撫でるとえへへいとにやけ始めた。

 続いて、妹のプロフィールに目を通す。


 主人公の義理の妹で、湯前家の家事全般をこなしている、か。

 うんうん、なるほどね。

 思い込みが強く、スイッチが入ると周りが見えなくなる……と。

 まあそうみたいだな。実際刺し殺されてるし。次は機嫌を損ねないように注意しないとな。


 こんな感じで軽く読み飛ばしていった。

 とりあえず攻略対象は妹ちゃん含めて5人いるみたいだ。内容も女の子たちと仲良くなっていく恋愛ゲームで間違いないらしい。


 あと知りたいことといったらゲームオーバーになるとどうなるかと回数制限はあるのか、だな。

 状況からみて行動不能になったらこの部屋に送られるのだろう。できればぶち殺されてゲームオーバーは避けたいところだ。


 ページを移動させていくと目当てのページが見つかった。



 〈ゲームオーバーについて〉


 ・ゲーム内において攻略継続不可能となった場合『窓のない家』に移動する。

 ・『窓のない家』で攻略可能状態になったのちセーブポイントから再開する。

 (セーブポイントは自動で更新される)

 ・ゲームオーバーになるとペナルティが課せられる。



 とあった。


『窓のない家』は多分ここでいいんだよな。

 だがペナルティって何だ?

 こんなゲームやらされてるのがある意味ペナルティだがそれは置いといても。

 そんなもの受けた覚えがない。ゲーム側のミスか?

 でもまぁ、何もないなら別に気にしなくていいか。言って変なことされても嫌だしな。


「さてと」


 大体のことは分かったからゲームを始めようとイシュの方を見ると。


「スピピピ」


 変わった寝息を立てて眠っていた。


「むにゃむにゃ、お菓子がいっぱい。しあわせ~♪」


 能天気なやつだな。


「むにゃすぴ、食べたら眠くなってきた」


 こいつ夢の中でも寝ようとしてやがる。


「だらけ過ぎだ」


「ふにゃ!?」


 ピシッとイシュの額に凸ピンをかました。




「この扉をくぐるとゲームの世界に入れるよ」


 この場所は『窓のない家』の通り一軒家のような構造をしているらしい。

 廊下の途中に下へ降りる階段と2つ部屋の扉があり、それぞれの扉には『まーくん』、『しょーちゃん』と書かれたネームプレートが掛けられていた。

 今はさっきまでいた部屋を出て、廊下を突き当りまで行ったところにある扉の前にいた。


「んじゃ、さっそくいくか」


「ちょっと待って!」


 扉を開けて入ろうとしたところをイシュは俺のジャージの裾を掴んで引き留める。


「どうした?」


「えっとね……その、目……瞑って?」


 イシュは顔を赤らめモジモジしながら上目遣いで懇願してくる。


 この展開はまさかKiss!? 二人の恋のHistoryが始まっちゃう的なあの!? 

 いや、落ち着け。人工呼吸と同じだ。唇が触れるだけだ。紳士的に振る舞ーー


「うひゃい!?」


 イシュが俺の頬に手を添えてきた。


 思わず変な声出ちまった。イシュさん積極的ですね!?


「口開けて」


 ああ、お父さん、お母さん、俺今から大人の階段を上りまーーんぐっ!?


 口の中に何か入ってきた。甘い、これは……飴?


「どうかな? 私が作った黒飴なんだけど」


 え、つまりキスじゃなくて飴食わせたかっただけってこと? な、なんだよぉ……。


 俺はがっくりと項垂れた。


「リク君?」


「お? ああ、うまかったぞ」


「そ、そっか♪」


 イシュはさらに顔を赤くしてもじもじと恥ずかしそうに俯いた。


「じゃあ、気を取り直して、行ってくるわ」


「うん、頑張って」


 イシュは心配そうにしながらも俺を笑って送り出す。


「よっしゃ、ゲームスタートだ」


 俺は扉の中に飛び込んだ。
















































書いているうちに前回登場したイシュちゃんとイチャイチャするだけの話になってしまいました(リア充爆発しろ)。

主人公が死にまくると前書きに書いておいてまだ一回しか死んでいないという始末。

ということで次からはちゃんと殺しまーす♪

次もよろしくお願いします。

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