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第8章 芸術の批評 『正しい評価や鑑賞はまずどのようにしてなされるか』
作品に対する批評は、世間一般の意識レベル以上において行わなければならない。
間違った批評は、単なる自分の思い込みやエゴの投影であり、それでは外部の芸術を適切に判断することはできない。
ゆえに、芸術を生み出す者は、常に自らを省み、自らの行いを自らで批評する精神を持たねばならない。
批評の立場には、破壊的批評、創造的批評、観照的批評の三つがある。
破壊的批評は「負けるものか」と芸術家を奮い立たせる。
創造的批評は「なるほどそういう考え方もあるのか」と芸術家を暗示し、別の答えを示してくれる。
創造的批評家には芸術を生み出す側の者と同じだけの資格が要る。
観照的批評は完成された芸術作品に対してのみ行われる。
社会の意識レベル以上でもたらされる批評に対しては、芸術を生み出す者もまた同じく社会の意識レベル以上で答えなければならない。
それでも生じる論争ならば、それはより新しく建設的な答えに導いてくれるだろう。