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第006話「戦艦金剛」

なんとなく考えついた死亡フラグ。

パート5。


「素晴らしい!最高の化け物が出来た!!」


因みにこの前書きは本文に全くと言っていいほど関係ありません。

問題です。

10日間の制作時間。

『認識阻害』『錬金』『吸着』『地面液状化』『解析』この5つの魔術。

遺跡で手に入れた船の設計図。

これらで出来る物とは、一体何でしょう?

答えは大日本帝国最初の超怒級戦艦である金剛級、金剛でした!


「何を作っとるんだおまえは!!」


キュラちゃんがどこからともなく取り出したハリセンが、自分の頭に当たる音が辺りに響きわたった。


「いや、しかしですね…」

「しかしも案山子も無い!」

「でもこの国からほかの国まで行く為には、地理的な問題で膨大な時間がかかるんだよな?だったらと思って張り切って作ってしまったのだが」

「まったく…まあこれだけの物であれば楽ではあろうが…。所で、ほかの国へ行く時は私も一緒に連れてってくれるのだろうな?」

「え?いやでも、さすがに宮廷魔術師が、しかも今では実質実力1位が抜けたら…」

「連れてってくれるよね?」

「いや…でも」

「ね?」

「…分かりました、いいよ」

「当たり前だ」

「ちなみに断ってたらどうしてたの?」

「王に危険物を所有していると助言して取り上げてもらう。で、使いたかったら監視役として私を乗せればいい事にする。キョージュの性格からして断ったり、強引に何かをしたりなんて事は無いだろうからな」

「………」

「それで、これはどんな性能なんだ?」

「性能ね。これは…」


基準排水量19000トン

全長214.72メートル

最大幅28.04メートル

魔力動力炉2基4軸164000馬力

速力48ノット

航続力30ノットで25000海里

主砲36センチ連装電磁砲4基8門

副砲15センチ単装電磁砲16門

魚雷53センチ水中発射管8門

高角砲12.7センチ連装高角電磁砲4基8門

機銃25ミリ連装電磁機銃


「こんな感じだよ。水密区画の構造や装甲の材質とかは分からないから大体だけど、全体的に軽く作ることができたし、機関の馬力がとんでもない事になった。魔力電池を魔力動力炉の隣に設置してあって、まだ増やす事も出来るから航続距離を伸ばす事も出来るよ。いやぁ、魔術は正確なイメージがないと上手く出来ないけど、逆に言うと魔力さえ膨大に出せば大体のものは作れるんだよね。まあそれでもある程度のイメージは必要だけど。そして魔力動力炉。これは魔力を直接その他のエネルギーに変えてくれるから無駄がないし、大魔導師何人分注入という感じに魔力電池に入れるだけだから楽なんだよ」

「…電磁砲というのは?普通の大砲と違うのか?」

「ああ、電磁砲は別名レールガンとも言って、磁力の力で弾丸を飛ばすんだ。砲身に弾丸が当たりにくいから砲身の寿命は長いし、何より発車時の初速が違う」

「どれくらいだ?」

「秒速8キロ位」

「………」


キュラちゃんは呆れたようにそろそろ帰るか、と小さくつぶやいた。

なんか現実逃避成分が少し含まれてそうだ。


「じゃあ、そろそろ家に帰るぞ」

「そうだな」


と、いつもどおりキュラちゃんの手を握った。

もう既に近くにいれば、平常時であれば楽に『転移』位使えるが、キュラちゃんがガッカリしたような顔で見てきたのでつなぐようにしている。

さて、帰ったら旅の準備でもするか。

そんな事を思っていたが、どこでフラグを立てたのかそんな事はしばらく出来なくなる上に、早速戦艦金剛を使う事になるとは、思いもよらなかったのである。




『転移』を済ませると、いつもの外壁の辺りに人だかりができていた。


「何かあったのか?」

「分からない。聞いてくる」


とキュラちゃんは走り出す。

最初は外壁の門にいつも立っている兵士に止められていたみたいだが、宮廷魔術師だと相手が認識すると、通してもらえたみたいだ。


【で、どうだった?】

【!!なんだこれは?キョージュか?】

【ああ、今『念話』の魔術で話しかけている】

【そうなのか、今度教えてくれ】

【いいよ、今度ね。それでどうだった?】

【一言で言うとまずい事になった】

【…どんな感じに?】

【魔物が出たとこの間話しただろう。Aランクのクエストに匹敵する魔物】

【そういえば言っていたね】

【それで、帰還するであろう日時を過ぎてもなかなか帰ってこなかったんだ。もちろん怪我人の多さによっては、このくらいの遅れは十分にありえたのでそこまで気にしていなかった。伝令すら来ないのはおかしいとも思っていたのだが…】

【だが?】

【たった今帰還した…3人だけだがな…】

【………】


それはまたなんとも…。

まずすぎませんか?

確か兵士1000人は派遣していたんだよね?

しかも民兵とかでは無く正規の、精鋭と言ってもいい位の。


【Aランクの魔物を倒す事自体初めてではない。そして今回は十分に余裕を見ていたはずだ。それが撤退をする事も出来なかったとなると、指揮官が最初にやられて総崩れになったか、敵のランクを測り違えていたか。宮廷魔術師長も助かっていない所を見ると…】

【キュラちゃんは一回城に…】

【そうだな、私は城に行ってくる。場合によっては…キョージュに頼みごとをするかもしれん。…私はこれでもこの国の事が好きなんだ】

【キュラちゃんの頼みだったらいくらでも。自分は可愛い子の願いは聞くようにしているんだ】

【…馬鹿///】

【じゃあ先に家に帰っておくよ。あ、兵士の治療とかしたほうがいいかな?】

【大丈夫だそこまで迷惑をかける事は出来ないし、重傷者はいない。重傷者は…ここまでたどり着けなかったのだろう】

【そうか…じゃあまた後で】

【ああ】




夜も更けた頃キュラちゃんが戻ってきた。


「キョージュ、今すぐ城に来て欲しい」

「やはりそうなったか。支度は出来てるよ」

「すまない」

「大丈夫だよ。さっき言った以外にもキュラちゃんは自分の弟子だもの。師匠は弟子のお願い事位軽く聞くものだ」


自分の家から王城までは比較的近い。

一等地を買ったというわけではなく、岩がゴツゴツしていて何をするにしても難しい土地だったからだ。

さすがに王城に近くても買い手がつかなかったらしい。

貴族の土地となっててもおかしくはなかったが、この国は基本的に貧乏である。

何かに使えるかもしれない土地を買うならともかく、まず使い道のない土地は買わないのだろう。

それに下級貴族のエリアにあるため、余裕のある中級や上級貴族もなかなか買わない。

10分ほど歩き、大きな城門の前にたつ。

転移でこなかったのは、あまり急に目の前に現れても失礼だと思ったからだ。

そのままキュラちゃんの顔パスで場内に入り、王の間へと向かった。


「よくぞ来てくれたキョージュ殿。早速ですまないが協力してもらいたい事がある。ああ、堅苦しい事はしなくて良い。私自身堅苦しいのは苦手だし、今はそんな場合ではないからな」


30代後半のダンディなおじさんが愛想よく話しかけてくる。

上から目線だったらどのみち手伝うことは手伝うが、お金を取ろうと思っていたが、これなら素直に協力出来そうだ。

キュラちゃんの為にはなりたいが道具扱いされるのはいやだし、舐められたら今後にも影響してしまう。

まあ大丈夫そうで良かった。


「魔物ですか?」

「話が早くて助かる。大臣」

「は!」

「説明を頼む」

「かしこまりました。キョージュ殿、既にご存知と思われますが、我が国は魔物の驚異にさらされております。魔物の名前はグラウンドワーム。Aランクの魔物です。今回派遣した軍は総合でAランク、犠牲を多く出す覚悟があればSランクの魔物でも倒せるものでした」

「それが倒せなかったと」

「はい。それでも帰還兵が3人というのはあもりにも少なすぎる。…それもそのはずでした。今回の敵はヘルワーム。斥候が確認したときは8本ある内の7本の首及び身体の多くが砂にうもれていたためグラウンドワームに見えたらしく、1本の首でもグラウンドワームと同等の大きさを誇る物が8本。さらにグラウンドワームにはないヘルワーム固有の魔術効果。倒せるはずがありませんでした」


大臣が悔しそうに拳を握る。


「キョージュ殿、新たに魔術師長に就任したそなたの弟子から聞いた。キョージュ殿ならなんとか出来ると。ご助力お願い申す」

「無論私からも頼む。頼んでいる立場でなんだが褒美も私に出来る事であれば取らせる。王位を譲ってもいい」

「王様!流石にそれは…」

「いや、実際にヘルワームは、逃げ帰ってきた兵を追ってゆっくりとだが迫ってきておる。いま国に残された戦力は近衛騎士団を含めても500にもみたぬ。どのみち何とか出来なければ滅びるのだ。そして、滅びるよりは何倍も良い」


「分かりました。王位はいりませんが、褒美のことは考えておきます。安心してください、すぐにすみます。心配でしたらいいものを見せてあげましょう。キュラちゃん王様を連れて城門まで行っててくれ。俺はアレをとってくる」

「やはりアレを使うのか。フフ、ヘルワームがなんだかかわいそうになってきたぞ。キョージュなら丸腰でも勝てるだろうに」

「アレとはなんだね?」

「見ればわかります。キュラちゃん大体の説明よろしく。ではまた後ほど。『転移』」


「…では行きましょう王様。話は歩きながらにでも。失礼かと思いますが緊急事態なのでお許し下さい」

「うむ。大臣もついてこい。念のため護衛に近衛騎士10人も呼べ」

「は!」



■■■



城壁の見張り台に上がり砂漠の方を見ていると、高速で何かが近づいてきた。

これが言っていた戦艦金剛というものか。

想像していたよりも、遥かに大きい。

武装も自国の大砲などが玩具に見えるほどだ。

しかもこの大砲の威力は従来のものを超越するらしい。

なんなのだこれは。

まるで要塞、いや、そんな物でも無い。

それをも遥かに超えておる。

なんにしろ、いやがおうにも認めてしまう存在感。

敵だったら、地位も名誉も投げ捨てて逃げただろう。

だが、今は味方だ。

これ以上ない安心感に、まだ事が終わっていないのにも関わらず安堵のため息をついてしまう。

それにしてもキョージュ殿は何者なのだ?

…でもこれを聞くのは失礼に値するだろう。

私たちは助けてもらう立場だ。

まあ、なにはともあれ、今回の事件は一応解決するだろう。

失った兵を再建するのは大変なことだが、国が残っていればいつかは取り戻せる。

せっかくキョージュ殿に助けてもらったのだ。

今以上に素晴らしい国にしていかなくては…王になってくれないかな、ならないだろうな…。

ああ…戦後処理、遺族への保証、書類が…。



■■■



現代のイージス艦も真っ青な速さと正確さで狙いを定めると砲塔がそれに合わせて動き、全ての電磁砲、電磁銃がヘルワームに向く。

普通は多くの人間の手が必要だが魔力式コンピュータによって、全部制御されているので集中管理室つまり艦橋で一人が管理するだけでいい。

今のところ動かせるのは自分だけの設定だが、そのうちキュラちゃんに教えてもいいだろう。

瞬時にエネルギーの充填が始まる。

といっても、そんな物はものの数秒で貯まる。

全砲門一斉射撃でなければ、ほとんど無いと言ってもいい時間。

弾丸は有り余るほどある。

エネルギーも満タンには程遠いいが、それでも半分はある。

今日は魔力バッテリーに充電してないからもしもの時は逃げる事も出来る。

遠くからヘルワームが近づいてくる。

大きい。

100メートルはあるか。

見た目はヤマタノオロチとミミズを足して2で割った感じだ。

それでも、自分の乗っている200メートル以上ある金剛は自分にこれでもかと安心感を与えてくれる。

十分に引きつけ、尚且つ安全な位置で発射の操作をした。


船を鈍い衝撃が襲う。

つんざく様なカナキリ音がなると同時に弾丸が発射される。

衝撃波。

周辺一帯に破壊をもたらしながら弾丸は進み、着弾し、そして貫通する。

ヘルワームの張る『シールド』の固有魔術等無かったかのように。

この金剛でも直撃には耐えられない。

衝撃波も、撃つ瞬間だけ膨大な魔力を使い、某心の壁的な物をはらねば諸刃の剣となりかねない。

そんな破壊の化身とも言えそうな物が全て命中したのだ。

ヘルワームは鳴き声一つ残さずに爆ぜ、その巨体は跡形もなくなった。

固有魔術=常時展開しているその種族特有の魔術。

似たようなことを出来ないわけではありません。


遅れてすいません。

頑張ります。

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