第003話「ギルドと魔法」
なんとなく考えついた死亡フラグ。
パート2。
「殺ったか!?」
因みにこの前書きは本文に全くと言っていいほど関係ありません。
携帯電話のアラームを切っていなかったため、その音で目覚めた。
もしかしたら昨日の出来事は全て夢だったのかもしれないと思ったが、自分の部屋ではなかったので改めて認識した。
現在5時。
まだまだ薄暗い。
因みにアラーム早すぎるだろと思うかもしれないが、二度寝したいが為のこの時間だ。
いつもだったらこの後2、3時間だらだらと惰眠を貪るが、今日は色々とやる事があるのでもう起きよう。
とりあえず持ち物を確認しておこう。
服一式、要は今着ているやつだ。
半袖なので、新しいのを買う必要ありか。
この国に居る間は日陰がかなり多いからこのままでも大丈夫だと思うが、そのうち必要になるだろう。
次にスマートフォン、携帯電話、腕時計だ。
スマートフォンは既に充電が切れていた。
バッテリー消費が激しいからな。
携帯電話はまだ三分の二ほどバッテリーが残っていたが、充電する事が出来ないので、いずれ切れるだろう。
腕時計は三つの中で唯一半永久的に使える。
少し値段が高かったが、買っておいて良かったと思う。
ソーラー最高。
エナメルバック。
道着、袴、木刀、竹刀二本、水筒、手ぬぐい。
要は剣道セットだ。
防具は道場に置いてあるので無い。
道着や袴は使いどころが難しいが、何かの役に立つかもしれないので、お金に余裕があるうちは手元に置いておこう。
手ぬぐいは、体を拭くのに使えそうだ。
この世界一般的には風呂がなさそうだからな。
あったとして上流階級の人達の家か、高級宿だ。
実際今宿泊している宿に風呂は無く、代わりに桶一杯のお湯が1円で売っていた。
昨日は疲れてたから利用しなかったが、今日は使おう。
結局の所、必要なのは服とタオル的な物。
歯ブラシ等の生活用品、これは最悪無くてもいいがあったほうがいいだろう。
そして出来れば武器だ。
この時代で全くの無防備じゃ駄目だろう。
値段が高くて買えなかったら、まあ竹刀か木刀でなんとかするか。
なんて事を考えていたらそろそろ6時だ。
外もかなり明るい。
谷底という立地故直射日光は無いが。
朝食を食べ、とりあえずギルドへと向かう。
因みに朝食はパンとサラダと具材が夜の物より入ったスープだった。
ご飯が食べたい。
さて、ギルドに向かっていたのだが、その前に本屋というか何でも屋があったので、覗いて見る。
一通り見て回ると、欲しい物が三つあった。
一つ目は魔術初級と書かれている本だ。
少し見てみようと思ったが、店のおじいさんに止められた。
二つ目は日本刀だ。
少し欠けたりしているが、経過した年月に比べれば奇跡とでも言うくらい綺麗だった。
科学が進んだ時代もあったみたいだから、保存方法が確立されていたのかもしれないが。
三つ目に銃弾だ。
自分には何口径だとかは分からないが、100発位置いてある。
大きさは全部一緒であるから1つの銃で使えるのだろうが、肝心の銃の方が無い。
とりあえずこの三つを買いたいと思った。
「すいません!これ欲しいのですが」
「なんじゃ、弱そうな剣なんか欲しいのか?その金色のやつも旧時代の物だとは、分かってるが使い方がわからんのだぞ?それに魔術書は高価だぞ、買えるのか?」
まあそれなりにするのは分かってたが、というか自分のいた時代は旧時代とか言われているのか。
「因みに合計幾ら位ですか?」
「ああ、剣は500円、金色の物は一つ1円…確か105個あったから全部買うというなら100円でいいじゃろう。そして魔術書だが、これは1000円じゃ」
魔術書高っ!!
紙の生成技術が無いか、ほぼ無いのかもしれない。
もしかしたら使ってる紙も自分の時代…旧時代の物を使ってるだけかもしれないし。
劣化しすぎてよく分からないが。
そして日本刀が安い。
使い方が分からないと日本刀細くて弱そうだからな。
主に上質な鉄に付いた値段なのだろう。
銃弾は、まあこれも使い方が分からなければゴミに等しいだろうからな。
まあいい、今自分には少し余裕がある。
余裕があるうちに買っておこう。
最悪売ればある程度戻ってくるし。
「大丈夫です。買わせてもらいます」
「そうかい。じゃあ1600円じゃ」
1600円払い店を出る。
ベルトに日本刀を挟み、銃弾は道着を入れていたエナメルバックに入れる。
他のは宿に置いてきた。
もちろん捨てたのではなくしばらくあそこを拠点とするべく10日分お金を払っておいた。
現代…まどろっこしいから旧時代では銃刀法違反とかあったが、今はそんなのないだろう。
道行く人の半分近くは武器を持っていて、大剣を背負っている竜人もいる。
…うん、そろそろ現実逃避はやめよう。
普通にいるんだよ。
人数は少ないが、人間以外の種族が。
さっきのおじいさんの耳もエルフ的な長さだったし。
鱗の付いた竜人っぽい人。
身長のやたら低くてがっしりした人、ドワーフか?
まあその他色々いたのだ。
昨日はテンパってたのか気づかなかった。
自分は差別をするような人ではないので結局の所はどうでもいいか、という感じになるのだが…さっきすれ違ったエルフの女の子は可愛すぎるだろう。
さらに途中にあった服屋で服一式を3セット600円で買う。
服にしては高いし材質は悪いが、文句は言えないだろう。
いい物は高いのだ。
因みに自分の来ている服一式は3000円で買い取ってくれるらしい。
売らなかったが。
その後も細々したものを買っていき、ようやくギルドに付いた。
ギルドに入ると、目の前には5人位並べそうなカウンターがあり、左の壁には依頼の紙がランクに合わせて大量に貼ってある。
右側には長椅子が置いてあった。
自分も登録するかと、カウンターに向かうのだった。
「こんにちは」
「はい、こんにちは。どのようなご用件でしょうか?」
丸めがねをかけた、そばかすのある純朴そうな女性に受け答えされた。
因みにわざわざこの人の所に来たわけではなく、ベルを鳴らしたらこの受付さんが来てくれたのだ。
まあ自分も男なので、可愛い子が来てくれて嬉しいが。
「ああ、ギルドに登録したくて」
「かしこまりました。手数料として100円頂きます。ではこちらに記入お願い出来ますか?代筆等もありますが」
「大丈夫です。分かりました」
自分は見本に従って、書いていった。
名前はやはり外国のように名前が前に来ていた。
職業の所は、学生と書いても意味ないので、自分の最も使えるアドバンテージとしては、旧時代の事を知っているという事だ。
つまり、考古学者と書いたわけだ。
「え…考古学者って本当ですか?」
なんか驚かれた。
え、まずいの?
「はい、地元ではそう呼ばれていました。資格とかを持っているわけではないのですが…すいません田舎者でして」
「あ、はい別に考古学者には、資格等はいりませんからだいじょうぶですよ。キョージュと言う資格を取るには試験を受けるか、功績を立てるかしないといけませんが」
「では何故驚いたのですか?」
「この国に考古学者と呼ばれる人が10人もいないからですよ。もちろん言ってるだけの人は多くいますが。考古学者と言うことは旧時代の文をある程度読めて、魔術も使えますからね」
考古学者って魔術使えるの?
魔術書読んでれば良かった。
後で確認しておこう。
「因みにこれを訳せますか?」
差し出された紙にはそこそこの長さの日本語の文が書いてあった。
ほとんどひらがなで1つ2つ漢字が書いてあるだけの文だ。
「きょうはいい天きですね。いいことがあるかもしれない。どこかに出かけてみよう。ってかんじですかね」
「…本当に読めるみたいですね。しかもその解読の速さだったらキョージュになれるかもしれません」
「考えときます」
「では…はい、大丈夫みたいですね、これで登録します。少々お待ちください」
受付さんが紙を箱のような物に入れると、なかからカードが出てきた。
パスモと同じくらいだ。
「では、ギルドカードの説明を始めます」
「お願いします」
「このギルドカードには様々なデータが記録されます。倒した魔物の数や、こなしたクエスト、仕事の種類や内容等です。ギルドでは銀行も行なっているので、預かっている金額等も表示できます。基本本人しか使えないのでなくしても大丈夫ですが、手数料として100円頂きますのでご注意下さい」
「分かりました」
そして、自分はカードを受け取る。
驚いたことに厚さ二ミリ位しかないのにスマートフォンみたいに使えた。
文字情報しか記録出来ないみたいだが。
「ではクエスト受注の方法ですが、まず誰しもランクFから始まります。他のランクを計10回以上こなせば、その10回こなしたランクが今の物より高かった場合、そのランクとなります。それらが書かれた紙を掲示板からはがしてカウンターにお持ち下さい。クエストを受けていなくとも、魔物を狩ると報酬が出るので、時々申し出て下さい。そのときどきに報酬をお渡しします」
「どのランクを受けてもいいんですか?」
「はい…大丈夫ですが、全て自己責任となります。それに、クエストを達成できなければクリア時の報酬の三倍の金額を払ってもらう事になります」
いきなりSランクとか受けたら死ぬということか。
受けないけど。
ペナルティも結構大きいな…。
「では、大体このような感じですね」
「ありがとうございました」
「いえ、仕事ですので、分からないことがありましたら、いつでもお越し下さい」
「はい」
その後2000円ほど預けて、掲示板を適当に見て、SSS級になるとドラゴン退治とかあって、ドラゴンなんてのまでいる事に驚いたりして、ギルドを後にする。
昼ごろだったので、適当に屋台で串焼きとかを買って食べて宿に戻り、先ほど買った魔道書を開くのだった。
魔術は魔力を消費し旧言語を用い影響を周囲に及ぼす。
魔力とは、誰しもが持つ力であり個人差があれど持っている物である。
魔力を指先に集中させ、空中に旧言語を書き記せば、その効果があらわれる。
書き方や文字が合ってるかどうかで、消費魔力は大きく変わる上に威力も左右される。
現在攻撃魔法として知られているのは、火、水、土、風等があり、その文字を書くだけでも初級の攻撃が出来るが、魔術全てに言える事だが、イメージにより効果が変わる。
もちろんそれぞれの文字の意味も知っていなくてはいけない。
上記の文字の前に大等威力を上げられそうな文字を入れると威力は上がるが、下手に入れても威力が逆に下がる場合もある。
例としては大大大大大火等。
の等つなぐ文字を入れても良いが、これも上記と同じで逆に威力が下がる場合もある。
例としては大の火等。
この場合は大きな火と書いたほうが良い。
他にも色々書いてあったが大体こんな感じだった。
考古学者イコール魔術が使えるに納得である。
あと、自分が魔術使えるとしたら有利だ。
この本に書いてあった火という文字はかなり形が崩れていたし、右の点がなぜか無かった。
雰囲気で読めたが、文字があっているかどうかで色々変わるなら今まで長い間使ってきた日本語だ。
有利というかとんでもない。
イメージについても情報社会に生きてきた自分だ。
この世界の人々よりよっぽどいいイメージが出来るだろう。
書く文は、まあかっこよければそれなりの文ができるだろう、という結論に達した。
中ニ病最強。
さて実際に使ってみようと指先に力を込めてみる。
『小さな灯火』
ボッ!!
…付いたよ。
部屋の中で危ないから小さなものにしたけど。
あっけなく出来た。
これはとんでもない事なのでは。
まあ出来るに越した事はないだろう。
というかかなり嬉しい。
ファンタジーの代名詞の魔術を使えたのだ。
喜ばない方がおかしいだろう。
その後もいろいろと実験をしていたら時間が経つのを忘れて、危うく夜ご飯を食べ損なう所まで熱中していた。
ギリギリまにあったが。
しかし、ここまで魔術を使っていてほとんど疲れていない。
魔力を消費している感じがしないのだ。
文字が正しいから消費魔力が少ないか、規模が小さいからか分からないがかなり使えるみたいだ。
実際この後わざと崩して、書いてもそう違いはほとんど無かった。
後者の方が少し疲れるかな?と思った位だ。
イメージもいいからかな。
テレビ番組か何かで見たけど、江戸時代の田舎の人の一生で知り得る情報量は現代人の一ヶ月の情報量と同じくらいという話があった。
今はそこまでの差は無いにしろ、旧時代にテレビ、インターネット、新聞等があった頃に比べると全然違うだろう。
よって、その情報量分のイメージが良くなるのは当然の事だ。
その後、本に書いてある方法で、魔力を感知し魔力表と照らし合わせると大魔導師1000人分以上の魔力量があった。
単純に基礎魔力量が多く、イメージが良く、文字も正しいからこそのこの魔力量だ。
基礎魔力量+イメージ+文字の正確さ=魔力量または、そのまま魔力となるらしい。
…困らないからいいか。
むしろこれで生活がかなり楽になるだろう。
明日はギルドにいってなんかクエストを受けてみるか。
この後夜遅くまで魔術の練習をするのだった。
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書類を整理しながら今日のお客さんの事を思い出す。
「かっこよかったな…」
目つきは鋭いがどことなく優しそうな彼を思い出しながらため息をつく。
でも私の事なんか見向きもしないんだろうなぁと。
身長高くないし、胸ないし、肉はなさすぎだし、肌だってそばかすが多くて見れたもんじゃないし…メガネだし。
はぁ。
まあいいわ。
ここで登録したという事は、ある程度この国を拠点にするはず。
ほかの国は遠いしね。
会えるだけでいいわ。
「今日はもう上がっていいわよ~」
「あ、先輩。分かりました」
さて、そろそろ帰りますか。
「お疲れさまでした」
「お疲れ~」
旧時代の特に日本ではメガネ萌えや、貧乳はステータス、希少価値だ!や、そばかす等、少しのコンプレックスが好きな人種がいたことを彼女は知らない。
彼がそうだとは言わないが………。
因みに日本刀が上質な鉄なのに500円なのは量が少ないからです。
一般的な剣を作るためには、少なくとも2倍以上の鉄の量が必要です。