表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/4

◆紅神龍との遭遇

挿絵(By みてみん)


ここは、とあるダンジョンの96階層。  


コミュ症でパーティーを組むことが苦手な勇者アレフ(36歳)は、ダンジョンを単独攻略中だったのだが、73階層の転移トラップによって、一瞬でこの96階層まで飛ばされて来たのであった。


アレフの現在のレベルでは、80階層あたりが攻略の限界と思われ、この96階層は進むにしても、引き返すにしても99%は命を落とすことになる。


そして、いままさに目の前には紅神龍が鋭い眼光で、縄張りに侵入したアレフが隠れている岩陰を直視していた。


「やつのレベルは、875・・ 今の俺のレベル560では絶対に勝ち目は無い」


アレフは死を覚悟した。


「俺がコミュ症でなく、パーティーを組んでいたなら、こんなことにはならなかったんだろうな」


いまさら後悔しても、現状が変わるわけでもない。



戦って100%死ぬなら、逃げて1%生き残る方にかけるしかない。


今アレフが潜んでいる岩陰から、50mほど後方に洞窟らしき場所が見える。


そこまで全力で駆け抜ければ、もしかすれば何とかなるかも知れない。



しかし、竜が放つ超高熱のブレスは、半径数百メートルの範囲を焼き尽くすだろう。


竜がブレスを吐くために息を吸い込むのには4秒か5秒を要す。


アレフが buff up しても、ギリギリの距離と時間である。



「どうせ、このままでは岩ごと溶けて死ぬ運命。  もうやるっきゃない!」


そう決心し、近くの魔鉱石のかけらを拾い、自分が進む方向の斜め後ろに投げ、竜の視線を逸らしてから洞窟に向けてダッシュした。


しかし竜がアレフに気づくまでには1秒もかからず、竜は大きく息を吸い込む。


その音はすさまじく、アレフもその空気の流れに体を持っていかれそうになる。


4、3、2・・・ 竜はもうすぐ息きを吸い終わる。


あと5メートル。  その時、竜は勢いよく巨大な炎を吐き出した。


ゴォォーーーッ


その炎がアレフの体を包み込む寸前、アレフは洞窟に飛び込み、その勢いのままゴロゴロと回転しながら奥へと飛んで行った。


間髪おかずに、その頭上を竜の炎が洞窟の奥に向かって突き進む。


もし、アレフが耐熱マントを着用していなければ、そのまま炭になっていたことだろう。


「やれやれ、いままでで最大のピンチだったな」


アレフはすぐさま、大きな岩の陰に移動し、竜の動きを観察するが、竜はもう攻撃してくる様子はない。


おそらく竜は敵を縄張りから追い払ったので、それ以上無駄な攻撃をするのをやめたのだろう。



「しかし、ここが安全な場所とは限らないし、食料も水も数日分しかない。 前方には紅神龍・・・ つまりこの洞窟を進むしか道はないか・・」


アレフが運よくこの洞窟を抜けたとしても、その先は96階層に変わりは無く、自分より強い魔物はわんさかいるに違いない。


また奇跡的に、この階層を攻略中のパーティーと遭遇するなどということもあり得ないだろう。


なぜなら、未だに96階層まで到達したパーティーなど存在しないからだ。


アレフは重い足を引きずりながら、洞窟を奥へと進んで行った。




時間の感覚は狂っていたかも知れない。  しかし、あれから既に2日は経っていると思われた。


要所要所には、目印をつけて進んで来たので、洞窟の中を堂々巡りしているとは思えない。  想像以上に広い洞窟だ。


食料は節約してきたが、持ってもあと2日。 その後は飲まず食わずでも3日~5日の命かも知れない。


ただ唯一ラッキーだったのは、洞窟内に魔物が全くいなかったことだった。


そのことで無駄なエネルギーを使わずに済んでいる。



そして死の恐怖と戦いながらの4日目、ようやく前方に小さな明かりが見えて来た。


このときまだ、これが運命の出会いになることになるとはアレフは思っていなかった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ