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いつもよりはすこし大きな夜会。

今日はリディアも、侍女としてではなく、令嬢として、夜会に参加する。


楽しみだな。


パーティー会場に行き、いろいろと挨拶を交わしながらリディアを探すも、彼女の姿は見つけられない。

来ていないわけがない、この会場にはいるはずだ。


ふと、会場の隅でイザベラを見つけたが、私の顔を見ると、ひどくおびえたように体をびくつかせていた。


なんだ?


何をしたわけでもない。

最近はイザベラの性格が変わって、親しみやすいと思うようになったところだ。


「アルフレッド殿下」


後ろから静かに声をかけられた人は見なくてもわかる。


「なんだ?ギルベルト。」


「殿下、そろそろ夜会が終わりを迎えますので、もう少ししたら、挨拶のためにお戻りください。」


「あぁ、そうだな。もう少ししたらな」



まだリディアに会っていない。

後はテラスか。


テラスに出ると、


リディアがいた。



他に誰もいないテラスから暗闇で見えもしない庭園を見ている。

その表情はとても穏やかだった。


なにかいいことがあったのだろうか?



「やぁ」


リディアに話しかけるといつものようににこりと笑った。


「ごきげんよう、アルフレッド殿下。」


「何かいいことでもあったのかい?いつもより楽しそうだ。」


リディアに並ぶように隣に立ち、柵に肘を置く。


「えぇ、やっとやっと、うまくいったんです。」



リディアはいつもあまり話さないから、ここで何が?と聞くのは、また品がない。

リディアが何をしようとしていても、それは私が解き明かすのが面白いだけで、今答えを聞くのは面白くない。


それに、


今日のリディアは、いつものように壁を感じない、優しい笑顔。

穏やかな少女のような声。

よっぽどのストレスから解放されたのだろう。


もう、解き明かすとかでもないかもしれない。ただ、リディアが笑顔なら。



「そうかい。それはよかったね。」


「あら、何がとは聞かないのですね?」



リディアが幸せを掴めたのなら、それでいい。




「君の幸せを願うからね。」




その一言が彼女の耳に届いた瞬間、強い風がテラスに吹いた。

リディアは、私の目をまっすぐ見つめ、顔もゆがめず、静かに涙を流した。


突然のことで、私は固まってしまった。

傷つけたかったわけがない。


ただ、


「すいません、目にゴミが…失礼します。」


「そうか、」



私は、真っ暗で何も見えない中庭を見つめることしかできなかった。








また失敗した。


もう何度目か分からない。


涙が止まらない。

急いで、人のいないところに逃げ込み、しゃがみ込む。



何がダメだった?


イザベラ様が破滅しなければループは終わるんじゃないの?


こんなに、今回も頑張ったのに。

イザベラ様は破滅していないじゃない!


誰の好感度上げてないじゃない!


なのに、なんで、また、はじめから?



もう嫌だ。もう何度、私のせいでイザベラ様は破滅し、破滅するたび、またはじめから。


何度同じ場面を見て、何度同じセリフを聞いたか。


今回こそ、うまくいったと思ったのに。


でも、そうか、うまくいくと思った時も、またリセットの合図



「僕は君の幸せを願うよ。」



私の中では、ゼロに戻される悪魔のセリフ。


この言葉を聞くたびにまた絶望する。



また朝を迎えれば、季節は戻り、またはじまる。




少し気持ちが落ち着いた頃、

暗闇の中の庭園に向かう。


肉眼でギリギリ見える程度の暗い中、花壇を見つめる。

花壇を見ているとまた涙がこみあげてくる。


もうすぐ咲きそうなのに。

あぁ、私はまた、この花の色を知ることはできないのね。


何度目の、この諦めだろうか。

次こそは抜けだせるかな。


彼女のために、私のために、また頑張らないと。

泣いている暇なんてない。






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