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今日はアルフレッド殿下の手伝いもあり、仕事が終わるのが遅くなった。
外も暗く、静まり返った王宮のサロンの近くを通ると明かりが少しだけ見えた。
こんな時間に明かりなんて、誰かいるのか?
と、音を立てないように扉を静かに開ける。
中ではリディアさんが椅子の背もたれに手を置き、その手に顎をのせていた。
足を延ばし、体をひねり、窓の外を眺めていた。
何の音もなく、ただ月明かりと、机の上に置いてあるろうそくの火だけが彼女を照らす。
普段は絶対に見ることはできない、リディアさんの姿。
その姿は、なにかに疲れているようで、なにかに悩むようにも見える。
彼女を助けることはできるのだろうか。
分かりやすく扉をノックしてこちらに気づいてもらう
私の存在に気づいた彼女は、スッと立ち上がりまたいつもの笑顔を見せる
「お見苦しいところをお見せしました。」
そういいながら深々とお辞儀をする彼女はいつも通りの完璧な姿だ。
「いや、君はいつも気を使いすぎているんだ。もっと自分を見せていいと思う。」
自分を作るのはしんどいことだ。
誰でもいい、自分を見せることのできる人がいれば。
自分が自分でいられる相手がいれば。
「お互い様ですね。」
すべてを見透かされているようなその一言に彼女の目を見つめると、
またいつものようににこりと笑った。




